みなさん、こんにちは。
全日本モトクロス、Honda PRブース担当です。
今回は、レースの見どころの一つ「コーナリング」について説明したいと思います。
2輪・4輪を問わず、1つのコーナーをいかに速く走れるか?!だけを考えた場合、アウト・イン・アウトと呼ばれるコース幅をいっぱいに使った、一番効率のいい曲線(この走る道を「ライン」といいます)を走る事が、サーキットを走る際の基本的なテクニックとなります。

バイクは急に曲がれません、こうしてカーブの曲がり方を滑らかにすればするほど、スピードを落とさずに曲がっていく事が出来ます。
※次のコーナーまでの距離や、曲がる方向(次が右か、左か)、路面のカント(角度)、タイヤのグリップ力、車の性能、ライバルのバイクの性能、走り方などなど、、、、ラインどりについて細かい話をすると、1冊本が書けてしまうほど複雑なので、話を簡単にしています。
ロードレースを見ているとわかりますが、サーキットのレコードライン(レコード=記録)を出せる一番いいラインは1つしかなく、ほとんどのライダーがそのラインをトレースして曲がっているのがわかります。
モトクロスは?!
モトクロスにおいても、路面が完全にフラット(平ら)でコース幅も広く、タイヤのグリップ力(路面をつかむ力)も一定の条件ならば、こうして曲がるのが定石と言えます。
しかしながら、ロードレースとモトクロスの一番大きな違いはどこでしょうか?!
そう!路面が柔らかい土や砂でできている為、どんどんとコースが変化していくのです。

IAライダーが走った後には、このように膝よりも深いワダチが出来てきます、初心者が入ると安全に走って帰ってこれないレベルの「谷」です。
轍【ワダチ】をいかに利用するか?!がカギ!
レースが始まると、数周でイン側の一番曲がりやすい部分にワダチが出来てきます。

モトクロスの場合、土が盛り上がると壁になり、その部分にタイヤを当てる事で、このように鋭角に曲がる事が出来ます。 軽量でハイパワーなモトクロッサーはこのように走るのが一般的には一番速いとされています。
実際の全日本モトクロスのレース中の動画をご覧ください。
いかがでしたか?このようにワダチでラインができてしまうと、ロードレースのレコードラインのようにベストラインが決まってしまい、前のライダーを抜くことが難しくなってしまいます。特にマディ(泥)コンディションの時はワダチができやすい為、抜かしづらい=いかにスタートで前に出れるかが勝負のカギとなります。
でも、レースを見ている方としては一度、序列が決まってしまい、「トレイン」と呼ばれる縦列走行を延々と見ているのもつまらないと思います。
でも、大丈夫!?
モトクロスには、レースを面白くしてくれる要素があるのです、それは・・・
ワダチが崩れ、ベストラインが変わる
ワダチを作って、壁になっているものは「土」、ライダーの激しいアクセルワークや、他車との競り合いなど、色々な条件で壁が崩れてしまう場合があります。
こうなると、もう一つのベストラインを開拓する必要があります。
モトクロスコースのコーナーの外側には、コース逸脱を防ぐ意味も含めて高く盛り土をしてあり大抵の場合は、走りやすく内側に向けて傾斜がつけられて(バンクと呼びます)になっています。
ちょうど競輪場やオートレース場のような感じです。
イン側のラインがダメになった際に、アウト側のラインを使いますが、走り方は全く別物になります。

アウト側のバンクを利用したライン、ほとんどスピードを落とさずにコーナリングスピードを高めたまま曲がるので、脱出速度も高くなります。
イン側を周っていた時と違い、ほとんどブレーキをせずにスピードを高めたままぐるっ!っと回ります。
先日のSUGO大会、IA1クラスのライダーが、途中から外側のバンクを使い始めた時の動画をご覧ください。
いかがでしたか?外側の壁を生かしているとはいえ、飛び出してきそうなスピードで回る スポーツランドSUGOの最終コーナーは大迫力!SUGOでレースを観戦する際に、おすすめのスポットの一つです。
(本当に外に飛び出してくる可能性があるので、柱の後ろなど安全な場所で観戦してください)
アウトか?インか?新ラインか?!
モトクロスのレースを見る上で、一番盛り上がるのは「パッシング」と呼ばれる抜きあいではないでしょうか?
先を走っているライダーはもちろん抜かされたく無いので、「ブロックライン」と呼ばれる一番、イン側の抜かれにくいラインを選びがちになります。
そのコーナーはブロックできますが、次のコーナーへの脱出スピードが落ちる事があり、それを見越した後ろのライダーが、アウト側のラインからスピードを載せて一気に抜き去る、、、
逆に、ブロックラインを通らずに、自分の一番速いラインを選ぶ事で、後ろのライダーが抜きあぐねる、、、、
※イン側を開ける為、先を走っているライダーは度胸が必要
マディコンディションの時には、「そこ?!」と言いたくなる、だれもが通らない新ラインに突っ込み、豪快に抜かしていく!
・・・なんて、駆け引きもモトクロスレースの魅力の一つです。
いかがでしたか?
2021年の全日本モトクロスも残り少なくなってきましたが、Hondaライダーへの熱い応援をお願いいたします!
会場にこれない方は、
「MFJ Live Channel」で、世界中どこからでも応援できます!