九州ツーリングで大きな楽しみになるのがグルメ。
自然に囲まれた九州は美味しいものの宝庫。
今回はツーリング先で食べてみたい、地元ならではのグルメをご紹介します。
我々ライターの後藤と佐藤が実際に行ったお店を中心にセレクトしているので、若干個人的な好みが強めに反映されてしまっているかもしれませんが、そこはお許しください。
今回は九州北編です。
海鮮の2強が競い合う(佐賀県)
博多でバイクに乗っている友人たちに話しを聞くと、西方面にツーリングに行くときはいつも呼子でイカを食べるか、松浦のアジフライを食べるかで悩むのだと言っていました。
それくらいこの2つはライダーにとって魅力的なランチのようです。
透き通ったイカの活き造り
東松浦半島の呼子は全国でも有名なイカの町。
街中にイカを食べさせてくれるお店があります。
今回立ち寄った河太郎は、元祖イカの活造りをうたっているお店です。
イカって身が白いものと思っていませんか?
違うんですよ。
生きているイカの身は透明に近いんです。
注文が入ってから料理人さんが活イカをさばくこの店で、活き造りを食べればそのことが良くわかります。
九州の甘いお醤油もこのイカの刺身にベストマッチ。
実は私(後藤)、最初の一口を口に入れた瞬間、あまりの爽やかさで噛むことを忘れそうになってしまったほど。
至福の味を楽しんでしまいました。
お刺身を食べ終わると一度お盆が下げられ、ゲソが天ぷらになって再登場。
軽くお塩をつけて食べると、これまた優しくて上品な甘さが広がります。
河太郎は人気店なのでランチタイムは平日でも混み合います。
休日や行楽シーズンはそれなりの待ち時間を考慮しておいたほうがいいでしょう。
住所:〒847-0303 佐賀県唐津市呼子町呼子1744-17
営業時間:月~金 11:00~20:30(L.O.19:00、最終入店18:30)、土日祝日 10:30~20:30 (L.O.19:00、最終入店18:30)
※仕入れや予約状況により、最終入店時間を繰り上げる場合があります。
定休日:当面の間 水曜・お盆・年末年始
Web サイト:河太郎
アジフライの奥深き世界
松浦を通ると、オッと驚かされるものが出てきます。
町のあちこちにアジフライのモニュメントがあるんです。
アジフライの聖地と書かれているのがおわかりでしょうか。
松浦はアジの水揚げ日本一を誇ります。
そしてアジフライ推しが猛烈。
これが立て続けに出てきたら、アジフライを食べずに素通りすることは許されない雰囲気になってしまいます。
一口にアジフライといっても、お店がたくさんあるので調理方法や味付けも違います。
刺身にできる鮮度のアジを使っているのはもちろんなのですが、とれたてを使うお店もあれば、切り身にしてから一度寝かせて旨味を強くして調理する店もあります。
ウスターソースやタルタルソースなどへのこだわりも忘れていません。
「アジフライって、こんなに美味しかったんだ!」なんて驚かされることは間違いないはずです。
海軍の町で生まれた3大グルメ(長崎県)
古くから貿易で栄え、外国の人たちから多くの文化が伝えられた長崎では九州の中でも独特の食文化が育ちました。
どれもが人気になって全国に広まっていきましたが、本場の料理はやっぱりグルメの舌を唸らせます。
お腹にも心にも優しいちゃんぽん
長崎って言ったらやっぱりちゃんぽんですよね。
豚骨から取った濃厚スープと太い麺の上に豚肉と大量の野菜、海鮮などをたっぷりとのせたちゃんぽんは、お腹がいっぱいになるだけじゃなくてヘルシーってとこが嬉しい料理。
ダイエット中でもちゃんぽんなら罪悪感なく食べられるのではないかと思います。
夏と冬では具材が変わるのも楽しいところ。
豚骨主体のコッテリ系長崎ちゃんぽんと、鶏ガラ主体のアッサリ系小浜ちゃんぽんがあるので、片方を食べるともう片方も食べたくなってしまうのが困りものです。
皿うどんは一つじゃなかった
皿うどんも長崎が本場です。
一般的に、パリパリに揚げた細麺の上からあんかけの具材をかけたものが皿うどんだと思われていますが、長崎の人に言わせるとこれは細麺皿うどんなのだそうです。
もう一つ、ちゃんぽんに使うのと同じ太麺皿うどんがあり、こちらは具材と麺をフライパンで炒めるので食感も味もかなり違ったものになります。
こちらも食べ比べてみたくなるので、長崎で滞在時間が短いとお腹がパンパンになってしまいます。
途中からはテーブルにあるお酢やウスターソースをかけて、味が変わっていく様子を楽しみながら食べてみてください。
佐世保は日本有数のバーガー激戦区
最近、日本各地に人気が広まりつつある佐世保バーガーは、その名の通り長崎県佐世保で生まれました。
戦後、アメリカ兵からレシピを聞いて作り始め、少しずつ進化を遂げてバンズにパティとタマゴ、ベーコン、チーズ、野菜がたっぷりと入った現在の形になりました。
豪快な見た目とボリュームが特徴です。
他の地方でも似たようなハンバーガーはありますが、一緒にしてはいけません。
佐世保はハンバーガーの名店が多いことから、それぞれが切磋琢磨しているのでメチャクチャレベルが高く、日本屈指と言われるような店が軒を連ねているのです。
佐世保バーガーを食べるためだけに長崎に行く人が多いという理由も、実際に食べてみれば納得することでしょう。
豊後水道と地形が育んだ郷土料理(大分県)
九州は海に囲まれていますが、大分が他の県と違うのは豊後水道があること。
瀬戸内海と太平洋の海水がぶつかり合うこの海域で育った魚は、ひときわ身がしまって美味しいのだと言います。
また、土地に古くから伝わる伝統的な食文化が多いのも魅力です。
究極の青魚、関サバと関アジ
関サバ、関アジを提供する店は大分にたくさんあります。
関サバはお刺身で食べられるのも特徴。
他ではなかなか食べられない新鮮なサバのお刺身を堪能してみてください。
りゅうきゅうは刺し身の別世界
大分で魚を食べるのであれば、もう一つトライしていただきたいのが「りゅうきゅう」です。
お刺身をタレに漬け込んでネギやゴマを散らして食べると、また違ったお魚の美味しさが舌から伝わってきます。
小麦文化の独自進化
大分は稲作に適していない台地が多く、昔から小麦粉などを使った料理が生まれました。
だんご汁は、小麦をこねてきしめんのように伸ばしますが、とてもコシが強いのが特徴。
寒い時期のツーリングで体が冷えたときなど、だんご汁を食べたら心から暖かくなってきます。
熊本の記事で紹介した、だんご汁と良く似ていますが、食べくらべてみるとだんごなどが色々と違っていることがわかります。
そんなことを知ることができるのもツーリングの楽しみの一つかもしれません。
洗練されたグルメの宝庫(福岡県)
福岡って、美味しいものがたくさんあることで知られています。
ただ、モツ鍋や博多牛などを筆頭に、夜泊まって楽しむグルメが多いんですよね。
でもライダーのランチとしてぜひ検討していただきたいものもあります。
うなぎは福岡で食うべし
九州はうなぎもメッチャ美味しいんですよ。
各県にうなぎで有名なお店があって、鹿児島はうなぎの生産量が日本一だし熊本県人吉市のうなぎも有名です。
つまり九州全体がうなぎスポットになっているようなもの。
中でもうなぎの名店が集まっているのが福岡県なのです。
うなぎは関東と関西で焼き方や捌き方が違うというのは、ご存じの方も多いでしょう。
九州のうなぎは、どちらかというと蒸さない関西風に近いかもしれません。
関東風のようなフワフワな感じではなく、全体的にうなぎの歯ごたえが強めで、うなぎ本来の味が濃い印象です。
福岡県柳川市ではせいろ蒸しが有名。蒲焼にしたうなぎの蒲焼をご飯のうえにのせてから蒸します。
お重の中のご飯ごと全部うなぎの美味しさが充満して、うなぎ好きを狂喜させてしまうのです。
明太愛が昇華して誕生した明太子パスタ
明太子のパスタは、いまや日本全国どこの店でもメニューにのっています。
でも明太子生産量日本一の福岡県民の明太子に対する愛を忘れてはいけません。
「やっぱり料理って最後は愛情なんだなあ」と思わせられてしまうくらい滋味深い味わいです。
明太フランスにも力が入っています。
福岡をツーリング途中、小腹が空いてもコンビニに行かないというのが後藤と佐藤のルール。
パン屋さんを探して明太フランス。
これがオヤツに決まりです。
やっぱり外せないとんこつラーメン
「九州だったらやっぱりラーメンでしょ」っていうライダーは少なくないはず。
鹿児島や熊本のラーメンも有名で、同じとんこつスープと細麺、中細麺を使っていても味が違います。
どれも甲乙つけ難いのですがネームバリューでいったら、やっぱり福岡のとんこつラーメンになるかもしれません。
クリーミーなスープとストレートな麺の組み合わって、やっぱり鉄板ですよね。
福岡だけでも博多ラーメン、長浜ラーメン、久留米ラーメン、焼きラーメンなど色々な種類があるのですが、それらの説明はいつか、「九州ラーメン特集」なんていう記事をやるときのために見送らせていただきました。
ちなみに我々、九州取材で福岡から出発するときは朝ラーという決まり。
活気のある店の雰囲気ととんこつの香りがガツンときて、一日の活力がモリモリと湧き上がってくるのです。
ツーリングルートにもし朝ラーのお店があったら、ぜひお試しください。
旅の最後を飾るなら焼きカレー
フェリーで九州に上陸する場合、門司港を使うライダーは多いはずです。
大阪に向かうフェリーの出発時間は夕方か夜。
横須賀に向かうフェリーの出発は深夜。
となると晩御飯は九州最後の思い出に、地元ならではの食べ物をチョイスしておきたいところ。
そんな風に考えるライダーにオススメしたいのが焼きカレーです。
北九州で生まれたこの料理は、カレーをグラタンの皿に入れ、オーブンで焼き上げるのですが、独特の香ばしさがプラスされて人気となり、今では北九州各地で提供されるようになりました。
門司港周辺には焼きカレーの名店が多数あり、シーフードなどを使った進化版も登場して地元の人達や観光客からも絶賛されています。
パワフルな焼きカレーの味と風味は九州最後の晩餐を飾るのにふさわしいものとなるはずでしょう。
九州北方面のツーリンググルメ、いかがでしたでしょう?
ここでは紹介しきれませんでしたが牡蠣やイチゴなど、まだまだ食べたい食材がたくさんあります。
今回の記事を参考にしながら、ぜひ自分だけのグルメツーリングをしてみてください。
たぶん、我々のように九州の食に魅了されてしまうはずです。
▼南九州編はこちら!
【文/後藤武(外部ライター)】