伊豆高原周辺には様々なミュージアムがあります。
その中にはメカ好き、歴史好き、音楽好き、昭和カルチャー好きな人達を夢中にさせてしまう施設もあります。
今回は伊豆タンデムツーリングで若者2人が訪れた伊豆高原のミュージアムをご紹介することにしましょう。
音楽とレトロなメカに心躍る『伊豆オルゴール館』
今回取材で訪れた20歳の学生2人が「感動した」「また行ってみたい」と話していたのが伊豆オルゴール館です。
夢中になって滞在予定時間を大幅にオーバーしてしまったほどでした。
古いものでは200年ほど前に作られたオルゴールが展示され、実際にその音を聞くことができるのですが、圧巻なのは音を再現する当時のメカニズム。
単に音を出すだけでなく、美しい音色を作り出すために音の強弱をつけたり、長い時間音を出す様々な工夫がほどこされています。
詳しいメカニズムを知ると先人達の情熱と技術にため息が出てしまうほどアイデアに溢れたものでした。
バーなどに設置されていたという自動演奏楽器は、巨大な機械の中にバンドで使用する楽器がセットされて迫力ある演奏をするのですが、これが凄い迫力。
音が鳴り出した瞬間、19世紀にタイムスリップしたような気分になります。
もちろんこの時代にコンピューター制御なんてものはありませんから、動力や信号を伝達するのは空気。
内部に張り巡らされたパイピングはレーシングエンジンを彷彿させます。
自動演奏ピアノにいたっては、演奏したピアニストが鍵盤を叩くスピードや強さまでも正確に記録し、再現しているんだとか。
信号を記録するために使われているのはロールした紙。
穴の大きさや長さで鍵盤を操作するのです。
こういった機械のメカニズムやエピソードを、館長さんが当時の時代背景も踏まえて説明してくれるのですが、これがまた非常に興味深く「へえー」と感心するばかり。
それにしても驚かされるのは、こういった機械がまだ現役で動くように整備されているということ。
エンジンとは違いますが、自動演奏楽器などは実に精密でエアが漏れたり調律が狂ったりしたら音だってメチャクチャになってしまうことでしょう。
聞いてみるとやはり使い続けているとトラブルは避けられず、修理できる人も減りつつあると言います。
ヒストリックバイクを動態保存していくのと同じようなご苦労があるのだと頭に入れたうえでオルゴールや自動演奏楽器を見てみると、非常に感慨深いものがあります。
【 伊豆オルゴール館 】
住所:〒413-0232 静岡県伊東市八幡野1191-1
電話番号:0557-53-0900
営業時間:10:00〜16:00
定休日:水曜・木曜
Webサイト:伊豆オルゴール館
18世紀の超絶メカニズムに感動する『野坂オートマタ美術館』
野坂オートマタ美術館もまたメカ好きにオススメしたいミュージアムです。
オートマタとは機械じかけの人形のことです。
1700年代にこんな機械を作っていたことには驚かされます。
鳥や人間の動きが極めて精巧に再現されていて、動力はゼンマイなどを使います。
可動部を細いロッドなどで動かしているのですが、実に自然で違和感がありません。
野坂オートマタ博物館のWebサイトを見るとこんな言葉が書かれています。
「それは、機械仕掛けの系術品であり、思想と科学の結晶であり、そして希少な文化遺産である」
オートマタの内部を見てみると、この言葉の通りであることが分かるはず。
もしも行かれるのであれば実演時間をチェックしていくことを強くオススメします。
平日は1日3回、土日祝日は1日4回の実演が予定されています。
ちなみにオートマタはオルゴールや自動演奏楽器と共に進化した時期もありました。
情報を記録させる方法も同じようなメカニズムであるものもあります。
自動演奏楽器を装備したオートマタがある一方、オートマタを取り付けた自動演奏楽器などもあるので、伊豆オルゴール館の展示物と比較するとまた興味深い点が色々と見つかります。
バイクなら3分ほどの距離なので、古いメカに興味があるのであれば2つのミュージアムをセットで訪れてみるのも良いかもしれません。
【 野坂オートマタ美術館 】
住所:〒413-0232 静岡県伊東市八幡野 株尻1283−75
電話番号:0557-55-1800
営業時間:9:30〜17:00
Webサイト:野坂オートマタ美術館
昭和カルチャーを詰め込んだカオス空間『怪しい少年少女博物館』
国道135号の富戸近辺を走ったことがある人なら、誰でも目にしたであろう看板が「怪しい少年少女博物館」。
インパクトの強いネーミングは一度見たら忘れることが出来ません。
「存在は知っているけれど怪しそうだから避けてきた」という声も聞きます。
どんなところなのかドキドキしながら訪れてみたのですが、思ったよりもかなり楽しむことができました。
内部に展示されているのは、昭和レトロなコレクションが中心なのですが、これが凄い数。
当時のオモチャ、フイギュアなどがカテゴリー別に並べられていて展示の仕方も凝っています。
基本的に昭和に青春時代を過ごした人向けかと思いましたが、予想外だったのは同行した20歳の若者2人の食いつき方。
「あー、このフィギュア知ってる」とか「仮面ライダーだ」なんて食い入るように見ていました。
奥にはお化け屋敷がありました。
「チープなものだろう」とたかをくくっていたら、これが意外に本格的。
お化け屋敷が苦手な人は避けておいたほうが良いかもしれません。
若者2人が飛びついたのは、昭和世代が懐かしがるファミコン。
80年代のゲーム機も設置されていて、当時の思い出にひたりながら遊ぶことができます。
昭和なカルチャーが好きな人なら十分楽しめるミュージアムです。
【 怪しい少年少女博物館 】
住所:〒413-0231 静岡県伊東市富戸街道下1029-64
電話番号:0557-51-8800
営業時間:9:00〜17:00
Webサイト:怪しい少年少女博物館
時計技術者の遊び心が伝わってくる『伊豆高原からくり時計博物館』
伊豆高原からくり時計博物館には、大正から昭和初期に作られた様々なからくり時計が展示されています。
戦前の日本のからくり時計は精巧に作られているものが多く、当時の日本の工業力がどんなものだったかなど想像しながら見ているとなかなか興味深いものがあります。
古いものでは江戸時代末期につくられたものもありました。
時を知らせると同時に鳥が羽ばたくというメカニズム。
小さな博物館なので、古い時計に興味がない人が単に見るだけだと、比較的短時間で見終わってしまうのですが、館長さんが当時の時代背景やメカニズムのことなど説明してくれると面白さが一気にレベルアップ。
本来実用品、必需品であった時計にカラクリは不要なものです。
そこに敢えてカラクリを仕込んでいるのは、当時の技術者達の遊び心があったから。
結果的に需要は少なかったようですが、それでも様々な国で驚くようなアイデアを詰め込んだ時計が作られていたのだということが、館長さんの話を聞いていると分かります。
そしてそこに様々な技術を注ぎ込んでいることに感心してしまうのです。
【 伊豆高原からくり時計博物館】
住所:〒413-0231 静岡県伊東市富戸1317-467
電話番号:0557-51-0237
営業時間:9:30〜17:30
Webサイト:伊豆高原からくり時計博物館
それぞれのミュージアムは、どれも非常にマニアックかつ個性的で世界的にも貴重な展示などが行われていました。
知的好奇心を満たしてくれる施設も少なくありません。
もしも興味がありそうなミュージアムがあったら、次のツーリングに組み込んでみても良いかもしれません。
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【文/後藤武(外部ライター)】