春の兆しを感じる2月のある日、20歳の若者がタンデムで伊豆半島を一泊二日のツーリングにでかけました。
果たしてどんなことを感じたのか。
彼らの旅の様子を追いかけてみることにしましょう。
タンデムだったらツーリングはもっと楽しくなるかもしれない
イツキさんはデザインの専門学に通う20歳のライダー。
同じ学校のカイトさんがバイクに興味を持っていることを知り、タンデムで色々な場所に出かけるようになりました。
「イワカイ(カイトさんのこと)と仲良くなって、タンデムした時は新鮮でした。楽しいのと怖いのとで後ろで大騒ぎ。『父親のバイクの後ろに初めて載せてもらった時の自分もこんなだったな』と思い出して、なんだか運転している自分まで楽しくなってしまったんです」(イツキさん)
「バイクには以前から興味がありました。たまたまイツキがバイクを持っていたから後ろに乗せてもらったんです。初めてのタンデムは本当に楽しかったですね。風を感じられるし、仲の良い友達が前にいるから、色んなことを話せるじゃないですか。バイクで走っていると大声出さないと会話にならないことも多いんですが、それもまた新鮮でした。それからは何度も後ろに乗せてもらいました」(カイトさん)
普段は学校の近くしか走っていない2人でしたが、ある時、伊豆がライダーに人気のツーリングスポットという話で盛り上がります。
知らない場所をタンデムで走ったら、メチャクチャに楽しいはず。
2人でそんな話をしていたら、どんどん盛り上がって、伊豆半島タンデムツーリングに出かけることになったのです。
伊豆から見る富士山に大感動
GB350で早朝に八王子を出発した2人は、ターンパイクから箱根を登っていくルートを選びました。
箱根を過ぎ、尾根沿いに走ると眼下に駿河湾が広がり、富士山が迫ってくるかのようにそびえ立っています。
「え、あのデカイの富士山じゃね?」
「そうだ、富士山だ。メッチャすげえ」
岩手出身のカイトさんは、こんな風景を見たのは初めて。
山梨出身のイツキさんも、いつもとは違う富士山の姿に圧倒されている様子。
しばらく走った2人は、熱海におりて、休憩を取ることにしました。
市内にあるオーガニックボックスでイチゴミルクを購入し、近くにある親水公園のムーンテラスで熱海のビーチを見ながらマッタリタイム。
「コレ、メッチャ美味い。感動した」
「景色も良いよね」
「疲れ吹っ飛ぶ」
パワーを取り戻した後は、海岸線を南下することにしました。
伊東のグルメで旅のパワーを補充する
伊東に差し掛かったあたりでお腹が空いてきました。
観光客の多くは伊豆に来たら海鮮を食べようと思います。
しかし20歳の2人は、今ひとつ海鮮にピンと来ません。
それはコスパがイマイチだから。
「やっぱりラーメンでしょ、ラーメン。からだも温まるし」
「いや、実はもつ煮の美味い店があるらしい」
「えー、もつ煮、チョー食いてえ」
実は2人とも大のもつ煮好き。
伊東にもつ煮で有名な大衆食堂のぐちがあると聞いていたので、そちらに向かうことに。
オヤジさん渾身の牛もつ煮は、それまで食べていてものとは異次元の料理でした。
「なんだこれ」
「オレの知っているもつ煮と違う」
「なんかプルプルしてる」
「美味すぎる!」
満足した2人ですが、これで伊東を去ることはできません。
食後のスイーツを食べることにしていたからです。
昭和なカフェで至福のパフェタイム
向かったのは大衆食堂のぐちから5分ほどのところにあるスイートハウスわかば。
「あのもつ煮でけっこう腹一杯になったからスイーツは軽くね」
「プリンが入った、凄いスイーツがあるらしいよ」
「えー、オレ、プリン大好き」
「別腹だから平気だよね」
イツキさんはスペシャルホットケーキ、カイトさんはスペシャルアラモードをオーダー。
出てきたスイーツのビジュアルに圧倒されることになります。
「なんか、スゲーんだけど」
「ソフトクリームが、ぶっ刺さってる!」
お腹いっぱいとか言っていた2人、一気にスイーツにかぶりつきます。
「プリンもソフトクリームもメッチャ美味い」
なんだかんだと言いながら、結局完食した2人でした。
オルゴール博物館で感動に包まれる
今回のツーリングでは伊豆高原にあるミュージアムもいくつか回ってみることにしています。
学校でプロダクトデザインを専攻しているカイトさんは、野坂オートマタ美術館の展示物に興味津々。
200年以上も前に作られた精巧な仕掛けに感動しています。
怪しい少年少女博物館では、自分たちが興味を持っていたフィギュアがあったようで食い入るようにして見入っていました。
しかし、2人が最も感動したのは、最後に訪れた伊豆オルゴール館でした。
館長さんが説明しながら古い機械を動かしてくれました。
オルゴールや自動演奏機の演奏が始まると美しい音色や迫力ある演奏を聞いて感動に包まれている様子。
結局予定時間を大幅にオーバーして演奏を聞き続けることになりました。
「なんか、メッチャ癒やされた」
「あんなに凄いものだとは思わなかった」
「想定外の感動だな」
「また来よう」
なんて話しながらバイクに跨ります。
次に向うのは河津です。
桜祭りの会場で盛り上がる
河津周辺は桜まつりの真っ最中。
しかもこの日は休日でした。
「河津行ったら渋滞で動けなくなるんじゃない?」
なんて言われていましたが、ミュージアム巡りをしていたから河津に到着するのは夕方。
日帰りの観光客が帰る時間帯だったので、混雑している上り車線を尻目に快調に走り続け、結局渋滞にはほとんど巻き込まれることなく会場に到着しました。
「渋滞してなくてラッキー」
「それって、桜見るのに一番良い時間を逃しているってことなんじゃねーの?」
暗くなると4キロ続く桜並木がライトアップされてとてもきれいなんですが、それを待っていたら今日の目的地、下田の到着が遅くなってしまいます。
それに男2人で桜並木を歩くというのもビミョーな感じ。
「取り敢えず、祭り感だけ楽しんだら出発しよう」
とイソイソと桜まつりの会場を後にしたのです。
下田では地元の有名店、トンカツ一(はじめ)でミックスカツの晩ごはん。
「このカニクリームコロッケは過去最強」
「確かに美味い」
愛想の良いオヤジさんにたっぷりサービスしてもらいます。
断らないとワンコソバのようにキャベツやスパゲティーが追加されるのです。
オヤジさんとのやり取りと料理に大満足。
「今日一日で一年分食べた感じがする」
などと言いながら向かったのは、今日の宿泊先下田ビューホテルです。
ライダー大歓迎の下田ビューホテルでノンビリとくつろぐ
下田にはたくさんのホテルがありますが、その中から下田ビューホテルを選んだのは、ライダー向けのパックが用意されているから。
シャッター付きのバイク用ガレージがあり、宿泊中も安全に保管することが出来るので、バイクを大事にしているライダー達に大人気なのです。
更に嬉しいのはフロントの隣に着替えができる部屋が用意されていること。
雨のツーリングなどでホテルにチェックインする時は、バイク置き場でレインコートを脱がなければならず、これが相当憂鬱な気持ちになります。
でも下田ビューホテルならレインコートのままホテルに入ってから、落ち着いて着替えができるわけです。
パック利用者用の工具やコンプレッサーも用意されているので、マシンの整備もできます。
バイク好きな代表が考えたというだけあって、完全なライダー目線でのサービスになっているのです。
部屋は和室と洋室がありますが、今回宿泊したのは和室。
かなり広々としたお部屋でした、
大部屋もあるので、大勢のツーリンググループで行っても大丈夫。
しかも部屋の窓からは海を一望することができる素晴らしい眺め。
目の前には桜も咲いています。
「桜祭り行かなくても、ここにダイレクトで来れば良かったんじゃね?」
「いやでもお祭りに行ったっていう事実が大事でしょ」
なんて話が出てしまうほど。
大浴場は温泉で露天風呂付き。
ノンビリと湯船に浸かり、体を温めた2人は、一日の疲れに包まれて爆睡したのでした。
【 下田ビューホテル 】
住所:〒415-0013 静岡県下田市柿崎633
電話番号:0558-22-6600
Webサイト:下田ビューホテル
こうして無事1日目は終了。
2日目は下田から西伊豆方面に向かいます。
▶▶ 2日目の記事はこちらをご覧ください。
【文/後藤武(外部ライター)】