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絶好のツーリングシーズン到来!でも秋は『3つの変化』に注意して!【バイクライフ・ステップアップ講座/秋ツーリングの注意点 編】

極端な暑さに苦しむこともなくなる秋シーズンはバイクツーリングが最も快適に楽しめる季節です。

しかし、環境が大きく移り変わるこれからの時期は「3つの変化」に注意しましょう。

最高のツーリングシーズンの『秋』だけど…“3つのこと”には注意したい

茹だるように暑かった夏が過ぎ去ると、気温も含め穏やかな日が多くなり、すごしやすい秋が訪れます。

ご存じとは思いますが季節を肌で感じるバイクは、暑さや寒さはもちろん、天気や気候などによって快適さや走りやすさが大きく変わるものです。

また、四季のある日本では、気温差だけではなくそのシーズンによって様々な“環境の変化”が訪れます。

今回はそんな秋のツーリングで注意しておきたい「3つの環境の変化」について解説します。

季節の変わり目で異なる3つの環境変化って?

①落ち葉や路面の砂の増加

夏から秋へ季節が移り変わると、身体が感じる気温や湿度の変化だけではなく「道路の路面状況」も変わりはじめます。

交通量の多い市街地を走っていると気がつきにくいかもしれませんが、山の峠道などでは秋や冬の訪れが麓よりもひと足早く、場所によっては8月中旬頃にはすでに道路に枯葉や落ち葉などが落ちている場合もあります。

少しくらいの落ち葉ならそれほど気にならないかもしれませんが、注意したいのはバイクツーリングで訪れることが多い交通量の少ない山道やワインディングロード。ブラインドコーナーを曲がった先に、急に落ち葉が溜まっていて、ヒヤリとするかもしれません。

また、道路によってはアスファルトが劣化してデコボコになっている場所に乾燥した落ち葉などが溜まり、更に「砂土や砂利」などが混ざった状態で堆積して非常に滑りやすくなっている道があります。道路整備や清掃作業が行われる頻度が少ない道は、場所によっては年間を通して枯枝や落ち葉が地面にどんどんと溜まり続け、長期間そのままになってしまっているケースも多いんです。

ツーリングでこのような道に遭遇したら、しっかりとスピードを落として安全に配慮。あまりにも路面状況が酷い場合は無理に通過しようとせずに引き返してルート変更をするのが懸命です。

②標高差による急激な温度変化

『暑さ寒さも彼岸まで』という慣用句がありますが、涼しくなったこれからのツーリングシーズンで注意したいのが、標高が高いエリアの「急激な温度変化」です。

標高が高くて見晴らしの良い山岳ツーリングルートをバイクで走るのは気持ちの良いものですが、同時に高低差によって大きく気温が変化します。山の麓では快適な温度だったのに、山頂付近まで上がったら「思っていた以上に寒かった……」というのはよくある話……

ちなみに、気温は一般的に「標高が100m上がると約0.6℃下がる」と言われています。つまり、海抜0mの場所との気温差は単純計算のイメージですが標高1,000mのエリアで-6℃、標高2,000mともなれば-12℃も低くなると思っていた方がよいでしょう。

もちろん湿度やその他の要因によっても気温の変化は異なりますが、バイクの場合は外気温に加えて走行風を長時間浴びることになる場合が多いので、クルマやバスなどで行く一般的な観光旅行と比べて“寒さを感じる時期が普通の旅行より早い”ことを心得ておきましょう。

ですから秋のツーリングには、コンパクトに折りたためるウインドブレーカーやインナーダウンなどをひとつ持っていくのがオススメ。

気温も穏やかな秋の季節では「さすがにまだ防寒具は必要ないでしょ?」と思うかもしれませんが、長時間の走行風による身体の冷えや標高差による温度変化はその場所に行ってみないと誰にも分かりません。

人それぞれ寒さの感じ方は異なりますから、防寒具を“備え”として持っておけば、予想以上に寒かったときに必ず助けになります。もし防寒具が必要なかったとしても、それは「着なくて済んだ」だけですから。

③日照時間の減少と帰宅時に重なる薄暮の時間帯

秋の季節は気温差や道路状況の変化以外にも、陽が落ちて暗くなるのが早くなる「日照時間の変化」があります。

日本では6月21日頃に一年でもっとも日照時間が長い“夏至”の時期を迎え、そこから12月21日頃の“冬至”へ向けて徐々に日照時間が短くなっていきます。

エリアにもよりますが、日本列島の中心付近となる関東地区で見てみると、7月初旬に夕日が沈む“日の入時刻”はたいたい19時前後ですが、9月下旬では17時30分前後と、たった2ヵ月で日の入時刻が1時間半も早まっているのです。

そして、太陽が昇る“日の出時刻”も変わってきます。言い換えれば「陽のある明るい日中に走れる時間が短くなる」と言えます。

秋から冬にかけて夕暮れを迎えるタイミングがどんどん早くなるので、夏季の日照時間の感覚のままツーリングしていると、あっという間に日没の時間帯になってしまいます。

そして夕暮れが早くなることで特に注意したいのは、ツーリングの帰り時間頃と重なる、17時から19時台にかけての「薄暮(はくぼ)の時間帯」です。

“薄暮”とは、日没後の黄昏(たそがれ:夕方・暗くなり始めた頃)を指し、周囲が夜の暗さになり始める少し前の夕暮れ時のこと。実はこの時間帯は1日の中でも交通事故が最も多いタイミングとされています。

人間の目というのは暗い環境に対応できるまで約20〜30分ほどかかると言われており、徐々に暗くなっていく周囲の明るさに慣れるのにも個人差があります。更に夕暮れは交通量が増える帰宅時間とも重なります。

1日走ったツーリングの帰り道は、自分で思っている以上に疲れていることも多いので、暗くなり始める『薄暮の時間帯』は特に交通事故が多くなることをきちんと認識して、より安全なツーリングを心掛けてください。

▼ツーリングの帰宅時間帯に多い「薄暮(はくぼ)のキケン」って?

快適な気温と秋の味覚、紅葉まで楽しめる最高のバイクシーズンを愉しもう!

いかがでしたか?

これから季節で気をつけたい「3つの環境の変化」をお伝えしましたが、気温も穏やかでバイクがもっとも走りやすくなる秋は、最高ツーリングシーズンであることは変わりません。

紅葉や秋の味覚など、この時期にしか味わえない魅力がたくさんありますので、変わりつつある環境の変化を意識しながら、安全な秋ツーリングを楽しんでくださいね。

【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】


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