バイクツーリングは常に安全に心掛けて走りたいものですが、特に注意したいのは“帰りの時間帯”です。今回は夕暮れ時となる『薄暮(はくぼ)の時間帯』に潜んでいるキケンについて解説します。
暗くなる前の時間帯が特に注意したい理由とは?
陽が傾きはじめ、楽しかったツーリングもそろそろ帰宅の時間です。
周囲が暗くなる前に早く帰りたい気持ちもわかりますが、だからといって急いで帰宅することは避けるようにしましょう。
バイクツーリングは時間帯に限らず、常に周囲の安全を確認しながら楽しみたいものですが、特に注意したい「薄暮(はくぼ)」の時間帯というものがあるんです。
「薄暮(はくぼ)」とは、日没後の黄昏(たそがれ:夕方・暗くなり始めた頃)を指し、周囲が夜の暗さになり始める少し前の夕暮れ時のことをいいます。
実は「薄暮の時間帯」こそ、最も注意して走って欲しい理由があるんです。
帰路・帰宅時期に多い薄暮(はくぼ)の時間帯とは?
時間帯別の死亡事故件数
こちらのイラストは、内閣府や警視庁が発表している1日の交通死亡事故を時間帯別にグラフ化したものです。
夕方となる17時から19時台にかけて、グラフの数値が一気に高くなっていることが分かります。
日没前後の2〜3時間は、1日の時間帯で交通事故が最も多い時刻とされ「薄暮事故」とも言われています。
これは人間の目が暗い環境に対応できるまで約20〜30分ほどかかると言われており、徐々に暗くなっていく周囲の明るさに慣れるのに時間差があることに加えて、交通量が増える「帰宅時間とも重なる」ことが大きな要因になっているようです。
この薄暮の時間帯はライダーやドライバーが日中よりも他の車両や人を見つけにくくなり、自動車と歩行者の死亡事故件数が昼間の約4倍になるとも言われています。
さらに季節でも違いがあり、7月以降に増加傾向となり始め、特に10月から12月にかけて大幅に増加するというデータも発表されています。
陽が落ちて真っ暗になった夜間の方が交通事故が増えそうなイメージですが、実は暗くなる少し前の夕暮れ時が最も注意して走行したい時間帯でもあるんです。
暗くなる前こそ注意して早めの帰宅を心掛ける
日帰りのツーリングはもちろん、泊まりのツーリングでも、帰宅時間と重なりやすいのが「薄暮の時間帯」でもあります。
いずれにしても、ツーリングは「家に帰るまでがツーリング」です。
特に真夏のバイクツーリングは、エアコンの効いているクルマよりも暑さや疲れを感じやすいので、余裕を持った行程で楽しむのが理想となります。
暗くなり始める『薄暮の時間帯』は特に交通事故が多くなることをきちんと認識して、安全で楽しいツーリングを楽しんでくださいね。
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】