近衛俊弘さんは現在の愛車Gold Wingが大のお気に入りだと言います。
休日になるたびに奥さんとのタンデムツーリングやソロのロングツーリングに出かけるのは、Gold Wingが快適なだけでなく走ることが楽しくなるバイクだからなんだとか。
そんな近衛さん、どのようにしてGold Wingを購入することになったのでしょう?
ここまでの経緯と現在のバイクライフについて教えていただくことにしました。
最初はミドルネイキッドに夢中だった
近衛さんがバイクに乗り始めたのは高校生の時でした。
最初は通学や普段の足としてスクーターを購入し、その後中型免許を取得。
250ccと400ccのネイキッドを乗り継ぎます。
高校卒業後に、大型二輪免許を取得。
ところがビックバイクに乗り変えようとは考えなかったのだと言います。
ビックバイクってパワーがあって自由自在に加速するから、とても乗りやすく感じたんです。パワーは劣るけど軽い400ccに乗っていたほうが運転技術の上達につながると思って400ccに乗り続けようと考えていました。
当時、近衛さんはバイクに夢中。
「ライディングを上達させるにはどうすればよいか」ということを真剣に考えての結論でした。
その後も400ccネイキッドへの情熱は加熱する一方。
整備だけでなくペイントやカスタムも自分でやるようになり、バイク雑誌の取材も受けるまでになりました。
Gold Wing購入を決意
近衛さんはツーリングが好きで、キャンプツーリングにも良く出かけていました。
けれど400ccのネイキッドでは積載量に限界を感じるようになります。
しかも荷物を積むのも振り分けタイプのサドルバッグが中心なので、晴れの日は荷物が土埃にまみれになり雨の日はビショ濡れ。
車体が軽いために横風に煽られることもあって、ビックバイクへの乗り換えを考えるようになりました。
乗り換えを強く決意したのは奥さんとタンデムでキャンプツーリングに出かけたときのこと。
荷物もそれなりにありまして、タンデムで峠を登ったときにパワーが足りず、思うように加速してくれない場面が本当に多かったんです。
この後ですぐにパニアケース付きのツアラーを購入に動き出します。
当初は大型バイクの導入にそれほど積極的ではなかったこともあり、中古車を買おうと考えてCBR1100XXブラックバードを筆頭に色々なバイクを考えますが、候補となる憧れのツアラーが多くて絞りきれなくなってしまいます。
そのとき奥さんの一言で方向が定まることになります。
妻に話をしたら「色々乗りたいのは分かったけど、色々乗り継いだら最後は何に乗るの?」と聞かれたんです。それが自分が一番乗ってみたいバイクということです。
果たしてそのバイクとは何なのかもう一度考えてみることにしました。昔Gold Wingのグループがキレイに隊列を組んで走っていてそのカッコよさに感動した記憶が脳裏にずっとあったので「Gold Wingかなぁ?」とぼんやりと答えたんです。
そうしたら「だったら遠回りなんてしてないで最初にそれを買っちゃいなよ」と言われました。
色々な中古車を乗り継ぐよりも最初から本当に好きなバイクを新車で買ったほうが良いという奥さんの意見に納得した近衛さん。
これでGold Wingが有力候補になるのですが、外国車のツアラーという選択肢も捨てきれなかったんだとか。
ここでまた奥さんのアドバイスがありました。
日本で日本車に乗れる日本人なんてライダーとして恵まれてると思うよ。」と(笑)。考えてみるとその通りなんですよ。
日本のメーカーの乗り物って世界中で高く評価されているじゃないですか。これだけの性能のマシンを日本人として日本の価格帯とメンテナンスや部品供給網をはじめとするサービスを享受して日本で乗れるのはとても幸せなことだと再認識しました。
それにHondaはやはり信頼できるトップメーカーですからGold Wingにしようという気持ちは固まっていきました。
この頃、タイミング良くGold Wingがモデルチェンジ。
色々なところがアップデートされていたんです。最新技術を結集しているところがとても魅力でした。
そしてついにGold Wingの購入を決断。
ですが、購入する前に試乗はしなかったそうです。
その頃には他のバイクは考えられなくなっていたことに加え、絶大な信頼を置くHondaの新しいフラッグシップツアラーをわざわざ試す必要性を感じなかったからだそうです。
もし自分に合わなかったとしても購入後にバイクと対話しながら自分が合わせていけばいいと考えていました。
バイクのサイズが一気に大きくなったことから慣熟する期間は少し必要だったようですが、すぐにその走りを楽しめるようになりました。
軽量な中型のネイキッドに長く乗っていたので癖がついていて上手く乗れなかったんです。でもそれも最初の1日くらいだけですぐに慣れました。
そうしたらGold Wingのほうが圧倒的に乗りやすい。エンジンのパワーを活かして走ることができるし、人車一体という感じも以前より増しました。
いつまでも走っていたくなる
車体が大きなGold Wingですが、近衛さんは大きさを持て余したり扱いにくいと感じたことは一度もないと言います。
車重は重いけれど水平対向エンジンで、エンジンレイアウトの恩恵から重心が低く、車体は引き起こすのも楽なんです。
バックギアがついているので駐輪も簡単です。重くて面倒だと思ったことは一度もありません。
近所への買い物にだって使えるくらい扱いやすくて便利なバイクです。
先進の装備にかなり満足している様子。
水平対向6気筒エンジンは振動もなくてスムーズだし、最新のDCT7速ミッションはシフトアップ、ダウンのショックが少ない。すごく完成されています。
リバースギアをエンジンで駆動するのも気に入っている点です。
Gold Wingのリバースはプレミアム感がありますね。サービスエリアなどの駐輪場でタンデムしたままバックして出庫する際などは他のライダーの熱い視線を感じます。
乗り心地の良さは想像以上だったようです。
ダブルウイッシュボーンのサスペンションは動きが滑らか。普通のサスペンションとは全然違います。フライングカーペットと言われることがあるけれど、本当にそういう感じです。ボタン一つでセッティングが変えられるのはありがたい点です。
ミドルネイキッドでロングツーリングをしていた頃は、疲れるので1日で走れるのは250kmくらいでした。
それがGold Wingだと500km以上走っても疲れないんだとか。
停まりたくないし、休みたくもならない。朝から晩までずっと乗っていたいと思うバイクです。
パニアケースのロックもスマートキーだから荷物の出し入れが簡単。
ツーリング先で荷物の積み下ろしをするときにはとても便利だと言います。 北海道に行くときはパニアに加えてタンデムシートも使ってキャンプ用品などの荷物を満載。
帰りにはお土産のメロンやスイカをパニアに詰め込んで帰ってくるのだそうです。
満足度がすごく高いバイクですね。峠だって楽しめますよ。ツーリングするならこれ以外考えられない。
一つ欲しいのはワイパーかな。ツーリング好きなライダーは雨が降っても関係なく走りますからね。
電動スクリーンだから難しいかもしれないけれど、今後ぜひ検討していただきたい点です。
タンデムライダーも大絶賛
奥さんと一緒にタンデムツーリングにも出かけます。
Gold Wingは奥さんからの評判も上々なんだとか。
普通のバイクでタンデムするとライダーとタンデムライダーが密着してしまいますよね。でもGold Wingはシートが大きいからタンデムライダーが乗っていることを忘れてしまいそうになるほどです。
妻も快適で楽しいバイクだと言っています。バイクがどっしりしているから安心感もあるみたいです。
奥さんが絶賛しているのがシート。
なんといっても座面が広いし、視点が高いから景色がよく見えるようです。シートヒーターがあることにも喜んでいます。
発電能力が高くて2人でフルに電熱服を使えるから冬のツーリングも寒くありません。
オーナーズクラブに入会させてもらう
2019年に近衛さんはGold WingのオーナーズクラブGold Wingersに入会します。
現在メンバーは20名弱。
ツーリンググループって車種や経験値、技量もバラバラなことが多いですよね。僕はそれだと走りにくいのでGold Wingだけのオーナーズクラブを探していました。
安全第一に考えているクラブだと思います。
リーダーや他のメンバーには刺激を受けることが多くて大変お世話になっています。
応募があってもクラブの方針からメンバーはむやみに増やさないのだそうです。
新規希望者がいたら実際にメンバーと数回ツーリングに出かけ、走り方やクラブの雰囲気が合うかどうかをお互いに判断します。
入会を希望する人は幾つかのツーリングに参加した後、最終的にルートプランニングをして他のメンバーを引率してツーリングに行く決まりがあります。
自分で企画、先導、案内できる技量があるかどうか自分自身でも確認してもらうという意味もあるんですが、これらを入会前に経験することで他のメンバーの大変さ理解しておいて欲しい。その上で加入してくださいというクラブの考えが背景にあるようですね。
面倒くさいかもしれないけれど、そういう部分を理解してくれる人だけが加われるクラブなんだと思っています。私もそうですが、そういうところを大事にしたいというメンバーばかりです。
同じバイクで同じように走れて、同じような考え方をして、お互いに尊重し合えることを大事にしているので、一緒に走っていてもストレスがないんです。
実は近衛さん、以前は一人で走る方が好きだったのだそうです。
Gold Wingに乗るようになり、現在のクラブに加入させてもらってからその考えは逆転しました。
皆さんそれぞれバイク歴が長くスキルが高いメンバーなので、グループで走るときの統率感や規律性といったら素晴らしいばかりです。
複数台のGold Wingがきれいにラインをトレースしている様子は、思わず見入ってしまいそうになるほどです。
これほどマスツーリングが似合うバイクはありません。
道を歩いている子どもや車の運転手さんに手を振られることが多く、それが運転マナーの向上につながっています。もちろんその場限りにならないように気を付けていまして、それが好循環になっていますね。
ずっとGold Wingに乗り続けたい
近衛さんは、これからもGold Wingに乗り続けたいと言います。
Gold Wingを購入したことで、人生の大先輩や他業種で成功した人たちと話す機会が増えました。それぞれのオーナーさん達の品格や教養の高さに驚かされることが少なくありません。
Gold Wingが私のツーリングライフを充実させてくれること。それ以上に多様な考えを学んで自分を正したり、成長の機会につながるキッカケを与えてくれることに感謝しています。
近衛さんにとってGold Wingは、バイクを超えた大きな存在になっているようです。
【文/後藤武(外部ライター)】