排気量600ccのスーパースポーツCBR600RRは普通の人が普通に公道を走って楽しいと思えるバイクなの? だってテーマは『Awaken The Race』ですよ……
ナンバー付きの市販車とはいえ、やっぱりサーキットみたいな環境じゃないと楽しくないような気がするんだけど!?
600ccのスーパースポーツはちょっとマニアックな気がする……
いきなりぶっちゃけてしまうけれど、世の中に数あるバイクのジャンルにおいて『600ccスーパースポーツ』というのはかなり特殊だと個人的には思ってます。なんならまず『スーパースポーツ』というジャンル自体に、既にちょっとマニアックなところがあるんだけど、600ccはそれ以上。ガチガチのレースイメージしかありません。
個人的に600ccスーパースポーツというのは、パワーを捻り出すために1000ccスーパースポーツ以上に超高回転型のエンジンを搭載していて、そのぶん低~中速のトルクが薄くて運転が難しい。そして本領を発揮させるにはサーキットのような場所に持っていかないと楽しめない。
要するに『上級ライダー向け』みたいな印象があります。
なので、それほどライディングスキルに自信のない私(北岡)としては、ニガテ意識があるんです。
ところが……2020年に発売された現行CBR600RRはそんなことないぞ! という話を耳にしました。発売から数年が経っていて、それでもそう言われているなら信憑性もありそうです。聞く限りによると、街中やツーリングもこなせる600ccスーパースポーツなんだとか。そんなことって、あるのか?
なので今回は興味本位、あるいは怖いもの見たさでCBR600RRに乗ってみることに。こういうのは自分で乗って感じてみないと、本当のところはわかりませんからネ。
正直、先に言ったとおりの苦手意識もあるので、600ccスーパースポーツに乗るのなんて10年ぶりくらいなんですが……
まずですね。走り出す前、エンジンを掛ける前にもうビビりました。
バイクに跨って、サイドスタンドを払うために車体を起こした瞬間に『うわっ……コレ250ccか!?』って思わずヘルメットの中でひとり言を発してしまったんです。
CBR600RRは実際の重さでいうと車両重量は194kg。ざっくり400ccクラスと同等レベルと仮定すると、250ccか!? と言うのはオーバーに聞こえるかもしれません。だけど体感的な部分で重さを感じないんです。両足をしっかり地面につけて軽くバイクを左右に揺らしてみたりしても、やっぱり『重さ感』がない。普通ならエンジンの重さを感じたりするはずなんだけど、なんだかエンジンが“無い”みたいな感覚。なんかスゴいかも……CBR600RR。
それに加えてのライディングポジション。
正直な感想として『思ったほどじゃないな』という印象です。いやもちろん前傾はけっこうなレベルで『街乗りも超快適!』とは言えないんですが、600ccスーパースポーツはもっと厳しい“修行のような乗車姿勢”を強いられる印象だったので、ちょっと安心。毎日は厳しいかもしれないけど、たまに気分転換でバイク通勤とか通学に使うのは悪くないかも……と思えます。
もちろん2時間も3時間も乗れば疲れも感じるだろうけれど、平日の夜の道路が空いている時間にフラッと街乗りを嗜むとか、通勤や通学も片道1時間程度までなら問題なさそう。まだ1mmも走ってない段階ですが、そう感じたのは事実です。
問題はエンジンとハンドリング
ただし、600ccスーパースポーツに対して『マニアック』だと感じる理由はそこじゃありません。肝はエンジンの低~中速トルクとハンドリングです。
街中で多用する常用回転域でのトルクが細くてギクシャクしがちだったり、街中では逆に神経を使うレベルでハンドリングが鋭すぎたり。そういうところが私として『街乗りに向かない』あるいは『運転が難しい』と感じる理由。
そこはもう600ccスーパースポーツの宿命として我慢すべきところ……のはずだったんです。
なのに……走り出してみたらCBR600RRに『えっ!?』と、なんだか優しさすら感じるような?
軽い驚き……どころじゃ済ませられない衝撃。それをこの後の【中編】にてお伝えさせてもらえればと思います。いまどきの最新600ccスーパースポーツってこうなの? 思ってたのと全然違うんだけどっ!?
↓【中編】はこちら↓
【文/北岡博樹(外部ライター)】