本当に優れたバイクはエンジン以上に車体が優れているもの。だけどそれを踏まえたうえで『CBR600RR』のパワー感にド肝を抜かれました……
CBR600RRの『121馬力』を「他と同じ」と考えてはいけない
バイクをスポーティに走らせることにあたって、エンジンのパフォーマンスを十全に発揮させられる車体は必要不可欠。土台として、エンジンを上回るシャシーが無ければどんなハイパワーも無意味、というのが私(北岡)の持論です。
そこにおいてCBR600RRは完璧という他ありませんでした。今回は走るステージが公道のワインディングレベルだったので、サーキットで戦うことを前提に開発されたCBR600RRにとっては余裕ありすぎ。あまりにも余裕があるので、運転している最中は全能感に酔いしれそうになるほどで……

だけど、それを踏まえたうえで言います。
CBR600RRのエンジン、普通じゃない! 最高出力の数字だけ見ればMAX121馬力。大排気量車ではこれ以上のパワーを持つバイクも当たり前のようにあるので『600ccは限界でもそんなものかな?』と思うかもしれません。
でもそれは大きな間違い。このエンジンの吹け上がりは、一般的なロードスポーツの121馬力とは『性質』が違うんです。

CBR600RRの直列4気筒エンジンは最高出力121馬力を14,250回転という超高回転域で発生するのですが、きちんとパワーが出る回転数からアクセルを大きく開けると……
一瞬でレッドゾーンまで突き抜ける!?
それはまさしくアッという間の出来事で……通常の大排気量ストリートバイクがグゥワァーーー!と力を漲らせながら加速するのだとしたら、CBR600RRの加速は精密機械そのもの。

1速や2速などの低いギヤからだと、シャキンッ!と一瞬で14,000回転を超えようとします……エンジン回転数の上昇が、とんでもなく速い!?
公道では低いギアだとしても超高回転域までは到底持っていけません。でもその時の感覚はワープ状態……数秒前にいた場所からコーナー手前まで瞬間移動するような気分。
え……これ本当に121馬力?
言うなれば一刀両断。気が付いた時にはレッドゾーン。そういう切れ味です。

最近では珍しくなってきたセンターアップマフラーは、できるだけ排気管の菅長を長くとり高出力を捻り出すため。重量物が車体の中心から遠い場所に装着されるデメリットは車体設計の技術で克服。しかもCBR600RRエンジンは『高回転だけ』ではなく、低~中回転域でも十分な力強さを発揮してくれます。
そのためにエキゾーストパイプは複雑に連結。Hondaがレースで培った技術が存分に投入されていることを外観から伺えるポイントのひとつでしょう。

しかもご存じでしょうか……CBR600RRは指定燃料が『ハイオク』なんです。
Hondaの公道走行が可能なバイクラインアップにおいて燃料にハイオクを指定しているのはこの『CBR600RR』とハイエンドの『CBR1000RR-R』、『CB1000 HORNET』そして先日国内発表された『CB1000Fシリーズ』が現在Hondaのラインアップにあるハイオク車です。ハイオクの指定が必要になるほど緻密に管理・制御することで実現されているパワー。それがCBR600RRの121馬力……他とは違う鋭さです。
レースに勝てること、を第一義として開発
それもそのはず……というか、実は現行型のCBR600RRは開発段階でまず『レースに勝てること』を第一義として設計がスタートしています。
最初に公道を走る量産車をつくって、そこからレースベース車をつくるのではない。まずはじめにレース車両ありき。言うなればリアルなレーシングマシンに「ナンバーがついてるだけ」に限りなく近い……もちろん公道を走るために調整される部分はありますが、エンジンも車体も土台は確実に『本物のレーサー』なのは間違いありません。
そして、そうだからこそ!

リッタースーパースポーツに憧れる人も、CBR600RRなら絶対に満足できる!
その理由はこのバイクが紛れもなく『本物』だからです。
異次元の鋭さで吹け上がる121馬力と、レースで勝つために扱いやすさを徹底追求した車体。その走りのすべては公道で解放できるものではありません。でも「楽しむ余地」が残ってる。CBR600RRならワインディングでもスポーティさを味わって、操ることの醍醐味を満喫させてくれる!

ここでもし『本当に~?』 って思うのであれば、HondaGO BIKE RENTALでバイクを借りて、実際に体感してみることをおすすめします。
きっと走り出した瞬間に目が覚める。ライダーとしての本能が『本物』を察知する。
走りが好きならば一度は乗っておくべきナンバー付きのリアル・レーシング……それがCBR600RRというバイクです!
【文/北岡博樹(外部ライター)】


















