2日目は朝から天気に恵まれ、観光にご当地名物消化と満足のいく途中経過。
しかしそこで気づいたのは「あれ、よく考えたら今回ほとんど高速道路しか走っていない……?」ということなのでした。
【前回のお話】
絶景ツーリングロードでオンロード性能に驚愕!
天気も晴れわたり、絶好のツーリング日和となった2日目。
だけど高速道路に乗って真っ直ぐ東京へ帰るだけでこの旅を終わらせるわけにはいかない!
……というわけで、上信越自動車道を須坂長野東インターで降り、標高800mの山の上にある嬬恋村を通る絶景ツーリングスポット「嬬恋パノラマライン」へ向かいます!
嬬恋パノラマラインへ向かうため四阿山の麓を登る最中、ここでも前日のように雪が降り出すのではないか……なんて心配していたのですが、天気は晴れが続きひと安心。
凍結防止用に融雪剤が撒かれている箇所もありましたが、概ね路面のコンディションも良好で、ずっと「スタンダード」で走っていたライディングモードを「スポーツ」に変更!
少し回転数高めでワインディングを走り抜けます!
……いや正直、フロントに21インチホイールを装着しオフロードにも重きを置いたトランザルプに対してオンロードでのスポーツ性能は懐疑的な部分があったのですが、これがどうしてめちゃくちゃ楽しい!
17インチのスポーツバイクのようにスパッ、と切れ味が鋭いタイプのハンドリングではありませんが、『トランザルプ』はその車格に似合わずヒラヒラと細い峠道も登っていきます。
『トランザルプ』はライディングモードの各モードで出力特性が明確に変わって「スポーツモード」では750ccのパワフルさを存分に味わうことができます。高回転まで綺麗に吹け上がる並列2気筒エンジンは“バイクを操る楽しみ”がしっかりと実感できた。精度の高いクイックシフターもスポーツライディングをより気軽に、楽しくしてくれていました。
また、オフロードも見据えてしなやかさを兼ね備えた足回りは多少路面が荒れていてもものともしません。
これといった不安を感じさせないまま想像以上のアベレージスピードで目的の嬬恋パノラマラインまでの山道を駆け上がってしまいました。
トランザルプ自体はオフロードをガッツリ走れるといっても、日本の道路のほとんどはきちんと舗装されたオンロード。ツーリングだってメインで走るのはオンロードの人が多いと思います。なので、オンロードをこれだけ楽しめれば文句なしです!
そうして到着した嬬恋パノラマラインですが、“パノラマ”という言葉がここまで似合う場所はそんなにたくさんないのでは? というくらい圧巻の景色でした!
秋も終盤に差し掛かった空は空気が澄んでいて遠くの山の尾根までしっかり見渡すことができ、正に絶景ロードといったところ。
『トランザルプ』でワインディングを駆け抜けるのも楽しかったですが、個人的にはウインドスクリーンに守られた快適なシートの上で絶景を眺めながらのんびり走るのが非常に心地いいバイクに感じ、いつまでもこうして走っていたいような感覚にも囚われました。
しかし!
気づけば時間はあっという間に過ぎていてだんだんと太陽も西へ移動を始めています。付近の林道にも突撃してみたい欲にかられましたが、当初の予定通り今回は見送りです。
陽が落ちて、凍てつく寒さに襲われる前に東京を目指します!
1台で何役も! 『トランザルプ』はコンセプトに違わぬ頼れる相棒だった!
ツーリングも大詰め。
嬬恋パノラマラインを背に山を下り、上田菅平インターから再び高速道路に乗り込みます。あとは上信越自動車道から関越自動車道に合流し埼玉を抜けて東京へ。
太陽も落ち切り周囲が暗くなると、高速道路の左右に煌々と光る建物群が増え、首都圏に帰ってきたことを実感します。
そうして午後7時半ごろ。
出発地点である東京都の会社に無事到着しました!
この日の走行距離は568.4kmと、初日に比べれば短いものの600kmに迫る勢い。前日からの総走行距離は1253.7kmとなり、正直、会社に着くころにはクタクタになっているのではと予想していましたが、案外身体は大丈夫。というか、この日の翌日はきっと動けないだろうと踏んで会社は休むつもりでしたが、次の日もケロッと出社していました。
おそろしや『トランザルプ』の長距離快適性能……。
しかし、今回のツーリングで『トランザルプ』に驚かされたのは長距離快適性能だけではありません。
雨でも安心感の高い車体に、オンロードでも充実した走りを楽しめるスポーツ性能など、バイクに求めたい性能をオールマイティーにカバーしているように感じました。
あとはオフロードさえ体験できれば、とも思ってしまいますが、それは『次回の楽しみ』にとっておきます……。
正直、今回のツーリング(特に前半)は本当に散々でした……。
でも、おそらくこのバイクでなければ、何処か途中でめげてしまっていたかもしれません。というか、めげていた自信があります(笑)
「千里浜なぎさドライブウェイを走る」、という目標は達成できなかったものの、最後までツーリングに充実感があったのは間違いなく『トランザルプ』だったからこそでしょう。
試乗する前は「日常から世界一周まで」なんて大げさな、なんて思ったりしていた自分もいましたが、実際に2日間で自分でも驚くくらいの距離を走った今回のツーリングで『トランザルプ』は間違いなくライダーを「日常」から「冒険」へと自然に連れ出してくれるバイクだと感じました。
そうして走り終えたいま、思うのは……
きっとこのバイクなら本当に「コンビニに行くついでに日本一周」くらい、簡単にできてしまいそうだっていうことです!
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【文:石神邦比古(外部ライター)】