往年のデュアルパーパスらしさを濃厚に感じさせつつも、その走りは最新技術によって支えられていた新型トランザルプ(XL750 TRANSALP)。
オフロードでの走りはどうだ?
750ccの大型バイクでオフロードは楽しめるのか?
高速道路からワインディングまでオンロードでは最高に快適。優秀なツーリングバイクとしての実力を発揮した新型トランザルプ(XL750 TRANSALP)ですが、それ以上に印象的だったのはむしろ「走る楽しさを感じさせてくれたこと」でした。
しかしトランザルプの名を持つバイクであれば、やはりオフロードの走りが気になるというもの。
とはいえ新型トランザルプは排気量750ccでボディサイズもそれなりに大きいし、250ccオフロードバイクのように軽量な訳ではありません。
そんなバイクでオフロードの走りは本当に楽しめるのか?
それを確かめるために林道へチャレンジしてみたのですが……
正直、けっこうイケる。予想してたより3倍くらい楽しめました。
私(北岡)はそれほどオフロード走行が得意ではないので、走りはじめの10分くらいは恐る恐る。だけどストレートは全然問題なしで、軽いS字くらいならむしろ楽しいということに走りながら気づいてしまい……さすがに林道の超タイトなヘアピンカーブは路面状況によって慎重にならざるを得ませんが、それ以外は750ccの大型バイクだっていうことを忘れるくらいオフロード走行を楽しんでいました。
その中で驚いたのは、パワーの扱いやすさと重さを感じないことです。
低〜中速域で力強く粘りもあるエンジンは、ライディングモードをGRAVELモードに設定すると、パワー特性に穏やかさが追加され、荒れた路面でも躊躇なくアクセルを開けていけます。こればっかりは昔のバイクじゃ絶対に真似できません。こういう時、本当に電子制御技術ってありがたいと痛感……。
そして、これはフレーム設計の妙だと思いますが、未舗装路でも走りに軽さがあり、そのうえでライダーが路面の状況を感じやすい。きちんとフィードバックがあるんです。
だからオンロード寄りのブロックパターンのタイヤを履いているにも関わらず「ここはイケる」もしくは「ちょっと慎重に……」といった判断がしやすい。そのおかげで走りにメリハリがつけられて、楽しむべきところを思いっきり楽しめた!
最新のデュアルパーパスはこうあるべき!
今回はじめて乗った新型トランザルプは、私としては基本的には安心感や安定感、そして旅の快適さを何より重要視したバイクだと感じています。
突出したパワーとか速さじゃない。誰もがその性能を使いきることができる旅の相棒、とでも言えばいいでしょうか。このバイクといっしょならどこまでも走っていけそうだと思えてくる。そんなバイクです。
でもそこに新設計のエンジンや車体設計、電子制御技術で『楽しい!』を上乗せしてきている。長距離ツアラー、あるいはデュアルパーパスとして理想的なバイクのひとつと言ってもいいかもしれません。
でもこれは最初にも言ったとおり、このバイクの魅力のほんの一部にしかすぎないはず!
たぶん最低500km、いや1,000kmくらい走らないと真の姿は見えてこない。走り終えて、改めてそう思っています。
距離を走れば走るほどに魅力が増していく。おそらくだけど新型トランザルプって、そういうバイクなんだと思います!
▶前編もご覧ください。
【文/北岡博樹(外部ライター)】