山梨で実施された新型トランザルプ(XL750 TRANSALP)試乗会の現場より、注目のアドベンチャーツアラーに乗った感想をお届けします!
往年の名車のフィーリングをそのままに
トランザルプの名を冠したモデルは1987年に初代モデルが登場。
そのシリーズは後継モデルも含め、長距離ツアラーとして世界中のツーリングライダーに愛されてきたバイクですが、その名を持つ最新モデルが今年2023年、新型XL750 TRANSALPとして復活!
今回は山梨で実施された試乗会で感じたことを現場から速報でお伝えします!
ただ、正直なところ新型トランザルプの魅力をすべて堪能し尽くした訳じゃないと思っています。
正直、2〜3時間の制限時間とその中で走れる距離では、このバイクの全容は見えてきません。
それほどに奥が深い。
あるいは『乗れば乗るほど良さが見えてくるバイク』だと感じています。
ただ、短い時間乗った中でも分かることはありました。
それはこのバイクが、往年の名車たちが持つ『THE デュアルパーパス』といった雰囲気の走りを完全に蘇らせることに成功しているということ。
それが証拠に、私(北岡)がまず感じたのは『あ、この感覚ちょっと懐かしい……』というもの。
新型トランザルプは2023年 最新モデルにも関わらず、昔ながらの「デュアルパーパス感」に溢れた走りをするバイクだったんです。
フラットトルクで優しく溢れてくるエンジンのパワー、ツーリングシーンでの優しい乗り心地、リラックスできるライディングポジション。何もかもが長距離ツアラーとして理想的にアジャストされている。
それが新型トランザルプに感じた第一印象でした。
だけど、このバイクはHondaが送り出した最新モデル。往年のデュアルパーパスたちの面影を追いかけるだけで終わるはずがありません。
そして、それを最初に感じたのは高速道路でのクルージングでした。
先に「ツーリングシーンで優しい乗り心地」を持ったバイクだと言いましたけれど、高速道路で感じたそれは、乗り心地がいいを通り越して『乗り心地が気持ちいい』とすら感じるレベル。
アクセルのオン・オフで感じる前後方向のピッチングはオフロード想定のバイクとしてそれなりに出ます。だけどそこにフワフワ感とか頼りなさを感じない……それどころか、優しい動きに心地よさを感じたくらいでした。前後ともにサスペンションの動きが完全にコントロールされている印象です。
しかもウインドプロテクション性能が秀逸。ウインドスクリーンはヘルメット上部あたりまで走行風をカットしてくれるので、バイザー付きのオフロードタイプのヘルメットを被っていてもノンストレスです。もちろん上半身への風はきっちりカットされるので長時間の走行でも疲れにくいだろうと感じています。
そして新設計の直列2気筒エンジンが、これまたいい感じ!
アクセル一定でのクルージングでは大排気量の2気筒エンジンらしく、適度なパルス感を感じさせつつ、ドロドロと低音のサウンドで味わい深い。高速道路に限った話じゃないですが、のんびりペースでも飽きることがありません。
だけどそれは同じく750ccの直列2気筒エンジンを搭載するNC750Xにもできる芸当。だけど新型トランザルプのエンジンはレッドゾーンが1万回転からですからね? 高回転の伸びやかさが全然違う!
追い越し加速など、もうちょっとした快感です。低〜中回転域の味わい深さに、高回転域のスポーティさが上乗せされている。そんなフィーリングのエンジンでした。
そして、その高回転まで回るスポーティなエンジンが本領を発揮するのはワインディング!
はっきり言いますが、新型トランザルプはオンロードのワインディングもかなり面白がって走れるバイクです。
新型トランザルプのハンドリングは基本的に穏やかで、ライダーはバイクを寝かせていくことに怖さを感じさせません。しかも、寝かせていくプロセスだけでなく、深くバンクさせている最中までもド安定……これが本当に、ちょっと驚くほどの安心感がありました。
そして、その安定感があるからこそ自信を持ってアクセルを開けていける。高回転域のスポーティのフィーリングを楽しむことができるんです。
もちろんそれは純粋なオンロードスポーツのような鋭いものではありません。だけど新型トランザルプは誰かと競うようなバイクじゃないんだから、これでいいんだと思う。ライダー自身が走ることに満足できるなら、それ以上なんてありませんから!
だけど!
トランザルプといえば、やはりオフロードの走破性が気になるところですよね? なので続く【後編】ではオフロードに突撃してみた感想も併せてお伝えさせて頂きます!
▶後編もご覧ください
【文/北岡博樹(外部ライター)】