コスパに優れた「クロスカブ110(CROSS CUB 110)」は、人気の「CT125・ハンターカブ」と比べても遜色がないくらいの装備をまとったクロスオーバースタイルのカブでした。
では走行性能はどうでしょう?
ここからはクロスカブ110のエンジン性能や乗り味について解説してみたいと思います。
配送業やビジネスシーンで鍛え上げられた耐久性はクロスオーバーモデルに向いている
普段使いからツーリングまで気軽に楽しめ、ロープライス&低コストで所有できることで、近年ますます人気の原付二種クラス。
その中でもっとも長い歴史と伝統があるスーパーカブシリーズのクロスオーバーモデル「クロスカブ110」の走行性能はどんなものなのでしょうか?
10数年前にスタンダードモデルの「スーパーカブ50(Super Cub 50)」を所有していた、元カブ主の私(岩瀬)が体験してみたいと思います。
ますは、カブシリーズに一度も乗ったことがない方に向けて、カブシリーズの特有のシフト操作についてご紹介します。
カブシリーズの操作で最も特徴的なのが「自動遠心クラッチ」です。
遠心クラッチの仕組みや機構的な話となると、結構難しい話になりますので、ここでは簡単な操作だけちょっとおさらいしてみましょう。
カブシリーズはハンドル左にクラッチレバーを持たず、スロットルを戻して左足のチェンジペダルを踏むだけでシフト操作が可能な「ロータリー式ペダル」を採用しています。
チェンジパターンは一般的なバイクのリターン式とは異なり、ニュートラル状態から前ペダルを踏み込むと1速に入り、そのまま繰り返し踏んでいくと2速…3速…とシフトアップしていきます。
そしてトップギヤの4速までシフトアップすると、そこから踏み込んでも4速のまま固定。停車時に再度踏み込むことでニュートラルに戻すことができます。
この仕組みはシーソーペダルとも言われ、後ろ側のペダルはこれの全く逆の操作ができます。
【走行中のシフト操作】
前ペダル:N→1→2→3→4
後ペダル:4→3→2→1→N
【停車時のシフト操作】
前ペダル:N→1→2→3→4→N→続く
後ペダル:N→4→3→2→1→N→続く
この仕組みに慣れるまでちょっとギクシャクしますが、慣れてきて走行中でも自在にアップ&ダウンのシフト操作ができるようになると、この自動遠心クラッチの楽しさがヤミツキになります。
急激なシフトダウンは遠心クラッチの仕組み上、強烈なエンジンブレーキがかかりますから注意が必要ですけどね。
ちなみに諸説あるのですが、初代カブのC100が誕生した時「出前の配送を片手でできるように」とか「靴のつま先を汚さないように」と考案された仕組みという説もあります。
しかも、それが60年以上たった現代でも採用されていて、多くのカブファンを魅了しているんですね!
クロスカブの110ccエンジンとハンターカブの125ccエンジンはどう違う?
さて、クロスカブ110のエンジンはスーパーカブ110をベースとした、109ccの「空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒」エンジンです。
しかし、エンジンはスーパーカブ110と全く同じではなく、やや低中速トルクをアップさせ、特に発進加速が気持ちよくなっています。
これはちょっとしたオフロード走行も視野に入れたクロスオーバー仕様にするためなのでしょう。
ちなみに、CT125・ハンターカブも「空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒」ですが、こちらは124ccで別のエンジンなんです。
しかし、今回クロスカブ110に乗ってみて、街乗りではCT125・ハンターカブと遜色のない走りができることが分かりました。
試しに「クロスカブ110」と「CT125・ハンターカブ」のパワーウエイトレシオを計算してみると……
クロスカブ110|車両重量 106kg ÷ 8.0PS/7500rpm=13.25kg/PS
CT125・ハンターカブ|車両重量 120kg ÷ 8.8PS/7000rpm=13.6363…kg/SP
あくまでも計算上の理論値ですが、たったこれだけの違いしかないんです!
最高出力が0.8馬力ほどの違いしかなく、車両重量は14kgの差がありますから、パワーウエイトレシオでは大差がないんですね。
むしろクロスカブ110がちょっとだけ勝っていると言う結果に。
同じ原付二種クラスですが、クロスカブ110とCT125・ハンターカブの排気量は15ccほど違いますから、仮に「よーい、ドン!」をしたら、きっとCT125・ハンターカブが勝つでしょう。
でもきっと、クロスカブ110やCT125・ハンターカブのようなアウトドアテイストなカブが好きな人なら、あまり気にならないと思います。
大事なのはピークパワーよりも、乗っている楽しさや遊びのスタイルですからね。
スクーターのような便利さがありながら、街乗りのシフト操作も楽しい
市街地や幹線道路を走るのは快適そのもの。
クロスカブ110は普通に街を走っているだけでも楽しいんです。
バイクで走っての「楽しい」にも色々ありますが、クロスカブ110の「楽しい」はちょっと他とは違います。
スポーツライディングのような楽しさではなく、どちらかと言うと、バイクという「機械を操れている」楽しさです。
クロスカブ110はワインディングを攻めたくなるようなスポーツライディングの楽しさとはちょっと違いますからね。
カブ特有の「自動遠心クラッチ」を操っているからでしょうか。
原付二種の法定速度60km/hまでスムーズにシフトチェンジできたら最高。
特にアップもダウンも自分の意図したスピード域でシフトが合うとき、
「おっ!気持ちイィ〜」とヘルメットの中で叫んでしまうほど。
不思議とそれがいつまでも飽きないんですよ(笑)。
オンロード性能を犠牲にすることなく、未舗装路も不安なく走れる万能カブ
ひと昔前まで、原付二種クラスと言えばスロットル操作だけで走れる便利なスクーターカテゴリーが多かったですよね。
近年では様々なラインアップが増え、もしかしたら今、選ぶのが一番楽しい排気量クラスかもしれません。
その中でもクロスカブ110はスクーターのような便利さがありながら、街中での普段使いはもちろん、ちょっとした冒険ツーリングもこなせる「万能マシン」ではないでしょうか。
好んでダートに行かなくても、ツーリングをしていればちょっと荒れた道や砂利道などに出くわすことはよくあります。
そんな時こそ、クロスカブ110のクロスオーバースタイルな万能力がきっと手助けしてくれるでしょう。
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【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】
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