冬のバイクは寒くてしんどい……って思ってる人はたくさんいると思います。
でも実を言うと『正しく防寒』していれば、冬の寒さは別に怖くないっていうこと、ご存じですか?
寒がりだからこそ『防寒』は徹底する!
冬は寒いからバイクはつらい! とか、乗りたくない!っていう人に『え? ちゃんと防寒してたら冬ってそんなに寒くないでしょ?』って言うと、だいたい『コイツは何を言ってるんだ?』 っていう顔をされます……
なので、そういう時は『こういう服装で乗ってみて』っていうアドバイスをするんですが、それをそのまま素直に実践してくれた人は、だいたい数か月後に『冬に走るのもいいよね~』って言うようになるんです、本当に。
ちなみに私(北岡)はめっぽう寒がり。だからこそ人一倍、冬ライディングの防寒には熱心です。
今回はそんな私が、どういう服装で冬にバイクに乗っているかを一例としてお伝えしてみようと思います。
今回はわかりやすく『上半身』のお話
まずはじめに、肌着として『吸汗・速乾のメッシュインナー』を着ます。
え? それ夏用じゃないの? って思われるかもしれませんが、私は着ます。
その理由は、冬のバイクの服装で、休憩時に屋内とかに入ると、だいたい暑くて汗をかくからです。
で、その汗が乾かないままに再び走り出すと、その汗が冷えて、がっつり体温を持っていかれます。
いわゆる『濡れ戻り』って言われる状態ですが、それを防ぐため。
ただし、吸汗速乾インナーでも夏用の接触冷感機能(着るとひんやり感じる生地)のものは避けてくださいね!
その上に『保温のためのインナー』を着ます。
ここはかなり大事なポイント。お金を掛けるべき部分、と言ってもいいでしょう。
高性能な保温インナーは、下手すれば1枚1万円近くするものもありますが、ハッキリ言ってその価値はあります。
メジャーどころの、汗を感知して繊維が発熱するタイプが思いつくかもしれませんが、個人的には冬バイクにはあまり向かないと判断しています。だって、冬のバイクは屋外にいる限り、汗なんてほとんどかかないですから……
選びかたとしては、純粋に『保温機能』に特化したインナーを選ぶと良いと思います。
例として、私個人の場合は、ひだまり本舗の『ひだまり エベレスト』を肌着的に着て、その上に着ぶくれしないよう薄手のフリース素材インナー(写真のもの)を重ねて着るのが定石です。
ちなみに、ここまでのインナーは、すべて『パンツにイン』が鉄則!
温かい空気を閉じ込めて、逃がさない
そして、これまでの『吸汗速乾インナー』+『保温インナー』を着た上に、アウトドア用品のソフトシェルを着ます。
役割としては『温かさを逃がさず、閉じ込めるため』です。
アウトドア用品のソフトシェルは動きを妨げない上に、防風性能も高いのでうってつけ。透湿性があるとさらに良いです。
ナイロン製のウインドブレーカーでも代用できますが、ウインドブレーカーの内側が蒸れやすいので私は避けるようにしています。
そして、ここも超大事!
上着として『ちゃんとしたバイク用の防寒ジャケットを着ること』が絶対条件です。
バイク用のウインタージャケットの性能を甘く見てはいけません。そもそもバイク用のウインタージャケットは真冬の寒さの中で、高速道路を長時間走ることも想定して作られている訳です。
もう機能が圧倒的に違う。比較になりません。
MA-1などのフライトジャケットやスノーボード/スキーウェア、あるいはアウトドア用の登山ジャケットで代用できそうなイメージがありますが、それらは先の『冬に高速道路を何時間も走る想定』なんてされていないんです。
冬に走るのが寒いっていう人の中には、バイク用のウインタージャケットを着ていない人もけっこういます。
……ハッキリいいますが『普通の服』での代用は不可能です。
忘れちゃいけないネックウォーマー
あと、もうひとつ。ネックウォーマーは必須。
走っている時、走行風はいちばん首元から侵入してきやすいので、スキマ風はネックウォーマーでシャットアウト!
これも忘れないでください。
首元に違和感があるのが嫌だと言う人もいますが、そういう人はまず薄手の柔らかい生地のネックウォーマーを試してみてください。それでも、あると無いとでは大きく違いますよ。
基本、ここまでの装備で極寒の2月でも、平野部の冬の日中(気温6~9度くらいのイメージ)は余裕でクリアできます。
そして、これくらいの装備だと、そこまで着ぶくれもしないので快適。
重ね着で温かい空気の層を何重にも作って、それを閉じ込める。その基本イメージを中心に、みなさんも色々工夫してみてください!
ちなみに、身動きできないほどギュウギュウに着ぶくれすると、疲れる上に、その圧迫で逆に血流が悪くなって身体が冷えます。たくさん着すぎは逆効果。絶対にNGですよ?
冬の早朝・夜間も走るなら……
ちなみに、真冬の早朝や夜間(気温マイナス2度~0度くらいのイメージ)も走る場合は、先のソフトシェルとバイク用ウインタージャケットの間にインナーダウンを仕込みます。
冬でも日中は、ここまでやると逆に暑いかもしれないので、コンパクトに収納できるタイプのインナーダウンを携行しておくのがおすすめ。
ここまで着れば(今回は上半身に限っての話ですが)ほとんどの人は『冬のバイクは寒い』と思わなくなると思います!
基準としては、走り出して『ちょっとでも寒いと感じるならダメ』だと思ったほうがいいです。走り出しの時点ですこしでも寒く感じたら、あとは冷える一方。根性ではどうにもなりません。
なので、走り出しても『別に全然寒くない』っていう状態を作り出すのが正解です。
冬のバイクはツーリングルートも空いていることが多いし、空気が澄んでて景色は綺麗だし、サカナが美味い季節だし……と、良いこともいっぱい!
なので、みなさんも『正しく防寒』して、冬もバイクを思いっきり楽しんじゃってくださいね!
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【文/北岡博樹(外部ライター)】