大型バイクには夢がある!だから行けるところまで行ってみる!例え天気予報がガチの雨でも!
しかし、現実は甘くなかった……
【出発編】はこちら↓
予想以上に雨が手強い……
家族に根回しを重ね、ようやく勝ち取った週末1泊2日の自由時間。天気予報は無情にも雨だけれど、西に進めばいつかは雨雲も突破できるはず……だったら時間の許す限り、行けるところまで行ってやる!
そうして走り出したNT1100とのツーリングですが、出発時点ではまだ雨も降り出しておらず、未明の東京を駆け抜ける非日常の昂揚感でいっぱいです。首都圏を抜け、東名高速&新東名を一路、西へ!
しかし、やはり分厚い雨雲は甘くない……
わかっていたことですが、夜が明ける前に雨と遭遇することになりました。
しかし、雨はもとより覚悟の上。天気予報で西から雨雲の大軍が攻めてくることは織り込み済みなので、小雨がパラつきはじめた時点で早々にサービスエリアへ飛び込みます。ここで『そろそろレインウェア着たほうがいいかな?』などと迷うことはありません。
ここから先、何時間も雨にやられる。だけど悲壮な気持ちにはなっていません。そのために選んだNT1100です。
レインウェアをきっちりと着こみ、燃料にはまだ余裕があったけれど前倒しでガソリンスタンドへ。『濡れた状態での給油』ってグローブの着脱やらお金を取り出したりするのがけっこうストレスですから、それを少しでも回避するための策のひとつです。
そして、ロングツーリングの快適性を追求したNT1100の燃料タンク容量は余裕の20L!
NT1100の搭載するエンジンは総排気量1,082ccの高出力を誇りますが、ツーリングペースではDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)が低回転でのクルージングをサポートしてくれるので燃費走行に関してはDCTにおまかせ。さらにクルーズコントロールだって標準装備です。
この2つの組み合わせこそが、ド雨の天気予報の中でも「走れる!」と考えた理由。それに!
NT1100は文字通りの『ビッグバイク』です。
見た目にも大きいですが、直進安定性に影響するホイールベースは実に1,535mmという頼れる数字。そして車両重量は248kg。重くてデカい、というのはネガティブに捉えられる場合もありますが、こういった過酷な環境の中では逆に『武器』です。
抜群の直進安定性と重量による安定感。NT1100は、多少の雨ではビクともしない!
雨の中にも関わらず、あれよあれよと距離は伸び、大きな体力の消耗も感じないままに伊勢湾岸道を突破。
それにしても!
NT1100の可動式ウインドスクリーンが雨に強い!?
NT1100でこんな雨の中を延々と走ったことは無かったのですが、これはもはや盾です! ウインドスクリーンを「いちばん立てた状態」にしておくと、叩きつける雨と風を粉砕してライダーを護ってくれます。
さらにスクリーン脇のアッパーディフレクターと足元のロアーディフレクターもかなり良い仕事します。エアロダイナミクスに優れていることは知っていたけど、それが雨の中でここまでの威力を発揮するとは!?
しかし……敵(雨雲)も攻勢を緩めません。新名神に入り京都も近づく頃合いで、さらなる猛攻を仕掛けてきました。
走り出して、そして雨が降り始めてからどれくらい経ったのか……こうなるとバイクの安定感やライダーの体力よりもメンタルが蝕まれてきます。身体的なダメージは感じていませんが……雨が、止む気配がない。
実のところ京都を抜けるあたりで雨雲を突破できるようなイメージがあったのですが、どうやら先は長そうな予感です……しかし私も無策ではありません。こちらにも考えがある!
先にも言ったとおり、このツーリングは行き先を決めていないので、この時点で雨を突破できていたら大阪を抜けて西進を続けるか、和歌山の南端でも目指すつもりでしたが、ここで作戦を変更。すこし立て直しを図らないと心が折れそうです。
心が折れたら、どれだけバイクが快適でも体力に余裕があっても、もう走れなくなる。だから折れてしまう前に!
必殺! フェリー休憩!
奥の手のひとつでしたが、出し惜しみはしていられません。ちなみにこのフェリー作戦は、昨年末にGold Wing Tourで真冬ツーリングをした際に「移動しつつ休める」と気づいたから。まさかこのタイミングでその経験が活きるとは思いませんでしたが……
乗ったのは和歌山港から徳島港へ渡る南海フェリーです。乗船時間はトータルで約2時間。
『やっぱり船旅はええのぅ~』
写真ではわかりにくいですが、この時はけっこうな豪雨です。甲板に溜まった雨が、船の揺れでザバンザバンと波打っていました。なのでヘルメットすら脱げません。よく船、出港してくれたな……
風が無くて海自体は荒れていなかったのが幸いしたのかもしれませんが、ここでフェリーが「悪天候のため欠航」だったら旅は詰んでいた可能性があります。
船内で軽く腹ごしらえを済ませ、素早く(私自身を)マナーモードに切り替え。気力体力のチャージに専念します。
それにしても助かったのがレインウェアの防御力です。ずっと雨だったのにレインウェアを脱いだら内部は濡れていませんでした。おかげで気兼ねなくシートに座れて、朝が早かったこともありグッスリと……
四国に着くころには、たぶん雨も止んでいるはず! ていうかお願い! 止んでくださいッ!?
▼【四国ツーリング編】へ続きます!
【文/北岡博樹(外部ライター)】