ナナさんは普通自動車免許を所有しています。
原付に乗ることができますが、これまではそんなことを考えたこともなかったんだとか。
そんなナナさんは先日、偶然原付を初体験。
これまでにない気持ちよさと自由を手に入れたことで夢中になってしまいました。
「もっと原付で走ってみたい」という気持ちが膨らんでしまったのだと言います。
そんなナナさんにジョルノで木更津を走ってもらうことにしました。
EM1 e: が衝撃だった
ナナさんが原付に出会ったのはまったくの偶然でした。
クラスメートの高橋さんが原付の EM1 e: に乗るとき、たまたま遊びに来ていたのです。
「高校の時に原付で登校している人がいました。でもその頃って誰もクルマの免許を持っていないから原付の免許を取っているじゃないですか。だからクルマと原付は別の免許だと思いこんでしまったんです。」
普通自動車免許で原付きに乗れると知ってビックリ。
その場で少しだけ EM1 e: に乗せてもらって感動してしまいました。
もっと色々なところを走りたいと考え、原付をレンタルして木更津方面を走ってみることにしたのです。
初の原付ツーリングに挑戦
原付を借りることにしたのはバイクサービス木更津。
車種はジョルノにしました。
「レンタルバイクなんて借りるのは初めてだったけど、簡単ですぐに借りることができるんですね。次も使ってみたくなりました。」
木更津なら原付でまわれるスポットもたくさんあります。
バイクサービス木更津には同じように考えてレンタルバイクを借りに来る人が多いということで、バイクで行くオススメスポットやグルメ情報などをスタッフの方が教えてくれます。
1人でスクーターを走らせるのが初めてなので、スタッフの方の説明も真剣に聞いています。
走り出してからしばらくはできるだけ交通量の少ない道を選びました。
「最初はすごく緊張したけどブレーキの操作は自転車と同じだし、特別に覚えなきゃいけないこともない。それでいて走れば自転車よりずっと安定していました。」
少し走ったら原付にかなり慣れてきた様子。
「最初にあった不安と緊張はいつの間にか消えてしまいました。慣れてきたら風が気持ちよくてずっと乗っていたいと思うようになったんです。」
寄り道をしながら海を目指す
最初に訪れたのはバイクサービス木更津の近くにあるお弁当屋さん「吟米亭浜屋」です。
木更津では超有名な地元のお弁当屋さんでバーベキュー弁当が大人気。
ナナさんのお目当ては、バーベキュー弁当と並んで人気のあさり飯です。
地元の食堂も魅力的でしたが、この日は原付の旅を楽しむために景色の良いところでお弁当を食べることにしたのです。
訪れたときはちょうどお昼時だったので、地元の人達がひっきりなしに訪れていました。
お弁当を買ってから向かったのは富津岬。
原付でも40分少々の距離。
ここで海を見ながらのランチタイムにします。
シート下の収納スペースはお弁当を入れるのにとても便利でした。
リュックに入れていたら傾いて中身が偏っていたことでしょう。
これがあさり飯。
あさりとたけのこがタップリ入っています。
ひと口頬張った瞬間、笑顔になりました。
「海を見ながら外で食べるお弁当は何倍も美味しく感じました。潮の香りを感じて食べていると、その土地と自分が結びついていくような感じがします。これからあさりを食べたらこの海を思い出すんでしょうね。原付でお弁当を買いに行って、また原付で移動して景色の良い場所で食べる。それだけでとても幸せな気持ちになりました。」
海辺を原付で散策
お弁当のランチが終わったら富津岬を散策することにしました。
交通量も少なく、信号もほとんどないので快適。
気持ちの良い景色の中を走ります。
先端の富津岬展望台(明治百年記念展望台)では東京湾を見渡す大パノラマを堪能。
砂浜を歩いて貝殻を拾ったりしました。
「クルマで海に行くときはたくさん荷物持っていったんですけど、原付で楽しむのに荷物なんていらないんだなって思いました。原付の収納スペースにお弁当とブランケット、タオルだけ入れておけばどこにでもいける気がします。」
木更津の街を原付で散策
富津岬を満喫した後は木更津市内に戻ることにしました。
街のローカルスポットも楽しんでみたいと考えたからです。
お腹はいっぱいなので、探すのはスイーツ。
まずは木更津ローカルでしか食べられないものを探していて見つけたのが「東屋」。
昭和レトロな店構えがなんとも旅心を盛り上げてくれます。
昔ながらの手作りの小倉アイスがあるお店でした。
原付で来たことを伝えたら、ご主人がモナカにアイスを詰めてくれました。
添加物を一切使っていない素朴な味にホッとします。
「雰囲気が最高でした。原付でたまたま細い道を通って見つけた場所だし、インスタでも出てこないアイスが食べられて得した気分になりました。」
レンタルバイクの返却まではまだ少し時間があったのでもう1軒回ることに。
せっかく木更津に来たんだから、個性的なカフェにも行ってみたいと考えてスマホで検索。
そして見つけたのが時々カフェ。
住宅地の奥まった場所にある素敵なカフェでした。
入口が見つからずに少し迷いましたが、迷ったこともまた楽しかった様子です。
「狭い道をぐるぐる回ってしまったんです。クルマだったら不安になったかもしれないけど、原付って細い道に入り込んでも小回りが効くから平気ですね。」
色々なケーキがありましたが、Instagramで目星をつけていたマスカルポーネとイチゴのタルトを注文します。
マスカルポーネの味わいが深くて、今まで食べたことがないくらいに美味しいケーキでした。
「想像していたのと全然違う味でした。こんなケーキがあるんだって思ったくらいです。すごく手が込んでいたからご主人に『何使っているんですか』とか聞いてしまいました。1人で行ったからこそ、落ち着いて色々なお話が聞けたんだと思います。これも原付ひとり旅の良いところですね。」
原付で自分の世界を探したい
ナナさんは、今回の原付旅が新鮮な喜びで溢れていたと言います。
「普段から色々なものを見たくて散歩をするんです。でも徒歩だと距離が限られてしまうし、電車やバスだと自由に動くことができません。それに比べて原付だと自分の行きたい場所に行けますよね。今回は気ままに走りながら色々な場所を探せるから本当に楽しかった。原付って買い物か通勤通学というイメージだったけど、休日のお出かけに使ったらこんなに有意義になるんですね。電車や車と違って空気と土地を体で感じて走ることができるから心が豊かになりそうです。原付でもっと自分だけのルートを探してみたい。自分だけの場所を見つけるのって探検みたいでワクワクします。」
ナナさんは、毎日の自分の行動を写真に撮ってBeRealというアプリに残しています。
1日に3回決まった時間に写真をアップしているのですが、今回原付の旅をしてみてアプリではなく自分なりの記録を残していきたいと考えるようになったと言います。
「デジタルの写真だけじゃ収まらない思い出がたくさんありました。それに決まった時間に3枚だけじゃもったいない。だから原付日記をつけてみたいと思ったんです。写真をプリントしたものとかパンブレットやチケットをファイルしたり。そういうのをまとめて印刷物として記憶に残る感じで残したら楽しそうだな。」
以前から思い出づくりとして自分の記録を残していきたいという気持ちは強かったそうです。
ただ、毎日思い出に残ることってなかなかありません。
休日に原付で出かけたりすれば、ナナさんのイメージする日記が成立するのかもしれません。
「原付はハードルが低いのがいいですよね。普通自動車で乗れるってすごい。旅先で原付を借りても面白い旅ができそう。原付の友達ができたら一緒に出かけてアルバム作ってみたい。」
この日、数時間ジョルノで走っただけでナナさんの原付日記の構想は大きく膨らもうとしています。
小ささな原付は、ナナさんに大きな夢をもたらしてくれたようです。
【文/後藤武(外部ライター)】