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冬のバイクを楽な乗り物に変えるグリップヒーターって本当に温かいの?手の温度を計測したらアリとナシの差が凄かった話

冬はライダーにとって過酷な季節です。
外を歩いてるだけでも寒いのに、そんな気温の中バイクに乗ったら寒いのは当然。
しかしバイクの寒いは一般的な寒いとは違い、体感温度がマイナスになることはザラなので歩いて感じる寒さとはレベルが違います。

そんなに寒くても乗ると「やっぱバイク面白い」と思わせてくれるのがバイクの凄いところなんですが、防寒アイテムを使えばその寒さは格段に和らげることができます。

今回は冬のバイクアイテムで人気のグリップヒーターの温かさについて調べてみました。

冬バイクの体感温度はマイナスになることも

冬のバイクが寒いということはライダーはもちろん、ライダーじゃない方も想像すればわかることだと思いますが、実際どれくらい寒いのか体感温度を調べてみました。

例えば、気温5度、湿度42%の場所を40km/hで走った場合、体感温度はマイナス8度になります。
高速で80km/hで走った場合はマイナス11度。

もちろんこれ以上に寒い場所も日本にはありますが、東京など都心を普通に走っただけで氷点下くらいの寒さになるというのは、どれだけ冬バイクが過酷かがわかると思います。
こうしてこの原稿を書いている筆者(ライター佐藤)も、書き終わったあとバイクで帰ると思うと今から寒いです。

しかしいくら体感温度が氷点下だとしても、体全部が同じように寒いかと言われればそうではありません。
人それぞればらつきがあるとは思いますが、結局寒いのは手足の末端なので、そこを温めれば寒いと感じにくくなるはず。

そこで登場するのが冬バイクの救済アイテム、グリップヒーター!
バイクを運転する上でライダーが常に握っているグリップ部分が温かくなり、手先に冷えを抑止してくれるアイテムです。
写真はレブル1100 T に標準装備されているスポーツグリップヒーターです。

その歴史は長く、1950年代から排気ガスの熱を用いたものから始まり、現在ではSUS-FFCという発熱体に置き換わって省電力でグリップを温めて使うことができます。

一度グリップヒーターを体感したらもう冬のバイクはグリップヒーター無しじゃ乗れない、と言われるほど重宝しているライダーが多いアイテム。
ですが大前提として筆者である僕は自分のバイクにグリップヒーターはつけておらず、信号待ちでエンジンのヘッドあたりをグローブ越しで触って「あったけぇ〜」とか言ってるタイプです。
付けていない理由も様々ありますが、今回はグリップヒーターが本当にそこまで便利なのか、温度を測って検証してみることにしました。

メーカーオプションのグリップヒーターは凄い

検証を始める前に、僕がグリップヒーターを付けていない理由の一つとして、グリップヒーターを装着するとグリップ自体が太くなってしまうから、というのがあります。
理由は単純で普通のグリップにヒーターを内蔵するため、ヒーターの分グリップが太くなってしまうんです。
しかしホンダ純正オプションのスポーツグリップヒーターは違います。

レブル1100 T のスポーツグリップヒーターの太さを測ってみると、一般的なグリップの太さと同じ約10cmでした。
最初乗ったときに本当にこれでグリップヒーターの機能があるのか?と疑うほど普通のグリップと変わらず、一昔前のグリップヒーターで感じていた違和感は微塵もありません。

これでいてしっかりグリップヒーターとして使えるので、太さが変わる、というのはグリップヒーターを付けない理由としては無くなりました。

アリとナシだとどれくらい温度が違う?

スポーツグリップヒーターのスイッチはハンドル左のグリップ根本部分にあり、このボタンを操作することでON/OFF、1〜5段階で強さの調整が可能。
この位置なら運転中寒くなって走行しながら使う場合でも安全に操作することができます。

強さの変更などはレブル1100 T の場合はメーター表示と連動しており、スイッチを操作すると上部に強さが表示されます。
少し前のグリップヒーターはコントローラーが別にありましたが、今はかなりシンプルに進化しています。

グリップヒーター無しの場合

早速検証に入ってまずはグリップヒーターを使わずに走った場合から。
走る前に非接触型の温度計で手の温度を計測すると体温よりちょっと低い約22度。
20度以上あれば手が冷たいと感じることはありません。

検証時期は12月末の夕方。
防風グローブをしてグリップヒーターを使わずに30分ほど都内を走ってみました。

あたりが暗くなった頃に帰って即温度を測ってみたところ、手の温度は12度。
30分しか走っていないので寒すぎるという感じはしませんでしたが、走りながら徐々に手の体温が奪われていくのがわかります。
このまま走り続けたり、高速を走ったりした場合はもっと低くなるでしょう。

グリップヒーターを使った場合

次にグリップヒーターをONにして走ってみました。
設定は熱さMAXの5。

もう走り出した時点から違います。
握っている部分が徐々に熱くなっていき、手の温度が上がっていくのを感じます。
走っていて気温が上がって寒さが和らぐことはありますが、グリップヒーターは手の外側からではなく握っている芯の部分から熱くなっていくため、グリップヒーターでしか体感することのない不思議な感覚です。

30分走って帰ってきてすぐに手の温度を測ってみると、温度は約22度と冬バイクに乗ったとは思えない温度でした。
バイクに乗る前の温度と変わらない温かさになり、温度計測のためにグローブを一度も外していない左手はほんのり手汗をかいてます。

まさかここまで違ったとは…。
ストップアンドゴーの多い都内を短時間走ってこの温度なので、もっと長時間のバイク移動やツーリングとなるとこの差はかなり大きなものになっていくと思います。

試しにグリップヒーター使用中のグリップ部分の温度を測ってみると、手のひら側で約42度ありました。
素手でも火傷することはありませんが、グローブを付けている前提で温度設定されているため、グローブ無しでは長時間握り込んでいられないくらいの温度まで熱くなっていました。

手が温かいと体全体も温まる

正直これまでも数回グリップヒーターを使ったことはありましたが、ここまで温かくなかった気がします。
スポーツグリップヒーターについて調べたところ、それは間違いではなかったようで、グリップ全体が同じ温度で発熱しているのではなく、ライダーのグリップの握り方に着目して手全体が温まるように計算されているんです。

普通ライダーはハンドルを握って運転しますが、手のひら側は常にハンドルに触れていても、レバー類の操作がある指先は常に触れていません。
そのためグリップヒーターの手のひら側と比べて指先側の温度を更に高く設定することで、全体が均一に温かいように感じさせています。

今回検証に使ったレブル1100 T の場合はカウルが手に当たる風を避けてくれていたため、カウルのないネイキッドほど手が冷え込むことはありませんでした。
グリップヒーターと同時にハンドガードなど防風もしておくとより効果的だと思います。

手が温かくなると水冷エンジンの冷却水と同じで、手で温められた血液が体全体を循環するため、結果体温が上がっていく、もしくは体温低下を軽減することができます。
極論グリップヒーターがアリとナシでは秋と冬くらい体感が違いました。

たかがグリップヒーターでもアリとナシでは快適度が雲泥の差なので、冬でもバイクに乗る方には絶対オススメのアイテム。
グリップヒーターを使って温かい冬バイクライフを楽しみましょう!

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【文/佐藤快(外部ライター)】

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