バイクのカテゴリーの中でも小排気量クラスとなる「原付一種モデル(〜50cc)」と「原付二種モデル(〜125cc)」ですが、それぞれにはどんな違いがあるのかご存知ですか?
今回は双方の違いやメリットなどを解説します!
バイクの「原付一種」と「原付二種」ってどう違うの?
バイクの種類には、扱いやすい小排気量でリーズナブルにバイクライフが楽しめる「原付一種モデル(〜50cc)」と「原付二種モデル(〜125cc)」がありますが、それぞれのカテゴリーにはどんな違いがあるのでしょうか?
例えば、Hondaには『SUPER CUB 50(スーパーカブ50)』と『SUPER CUB 110(スーパーカブ110)』のように、見た目や大きさがそっくりなモデルもあるので、最初はどんな違いがあるのか少し混乱するかもしれません。
排気量が違うのは数値からなんとなく分かるかとは思いますが、同じ“原付”の名称がついていても、いわゆる「原付免許」単体で両方のバイクを運転できるわけではありません。
実は、原付一種と原付二種とでは全く別のカテゴリーと言っても過言ではないほどの違いがあるんです。
今回は原付一種と原付二種の違いやそれぞれのメリットなどを見ていきましょう。
【原付一種】クルマの免許にも付帯され入門バイクにピッタリ!
“原付”とはそもそも「原動機付自転車」の略称で、体裁としては自転車に原動機(エンジン)が付いた乗り物として区分されています。
日本の免許区分は車体の大きさや馬力などではなく、エンジンの排気量別で区分けされていますので、排気量50ccまでの原付バイクを一般公道で走行するには「原付一種免許」が必要になります。
原付一種免許は、満16歳以上で一般公道を運転できる規定を満たしている人であれば、運転免許センターでマークシートの学科試験と技能講習を受講して合格すれば、最短1日で取得することもできる免許です。(都道府県によって対応日数などが異なる場合もあります)
また、クルマの普通自動車免許を持っている方であれば、基本的に付帯させることが可能なので、原付免許を単体で取得しなくても50ccまでの原付一種モデルに乗ることができるメリットもあります。
ここからは、原付一種免許で走行できる条件を見て行きましょう。
- ■排気量:~50ccまで
- ■免許取得可能年齢:16歳~
- ■二人乗り:×
- ■高速道路:×
制限速度は30km/hまで、2人乗りはできません
原付モデルは、見た目は普通のバイクらしい車種もありますが、原動機付自転車のカテゴリーになりますので、道路交通法で定められている法定速度は最高30km/hまでとなっています。
排気量も50ccまでのバイクになりますから、パワー特性やフレーム剛性、タイヤの性能なども、その速度域や車両サイズに対応した造りになっていて、その許容範囲を超えるような走りには対応できない場合もあります。
また原則として、道路の一番左の車線を走行する決まり(キープレフトの原則)になっていたり、バイパスや立体交差になっているアンダーパスなどの高架橋では「原付通行禁止」の場所もあるので、道路交通標識をしっかりチェックして走行する必要があります。
3車線以上の道路での右折は「ニ段階右折」が必要
原動機付自転車は、決められた条件の交差点で右に曲がる場合『二段階右折』をいう右折方法が必要になります。
走行している道路の進行方向の車線が「3車線以上の多通行帯道路」では、一度交差点の真ん中付近まで直進し、“L字”のようにその場で方向を変えて、次の信号が青になるまで停車してから進む右折方法をしなければならない交通ルールになっています。
これは法定速度が遅い原付バイクとクルマ等との接触を起こさないように行うものですが、二段階右折のほうがより危険性が高まると判断されている特定の交差点では「二段階右折禁止の標識」が出ている場合もありますので、その場所の道路標識をよく確認して運転しましょう。
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【原付二種】125ccまでのバイクに乗れて二人乗りもOK!二段階右折も不要です
排気量125ccまでのバイクを一般公道で運転するには、いわゆる“原付二種免許”以上の資格が必要になります。
また、原付一種免許のようにクルマの普通自動車免許を持っていても、それに付帯されてはいませんので、別途、原付二種免許を単体で取得する必要があります。
原付二種免許の正式名称は「小型限定普通二輪免許」もしくは「AT小型限定普通二輪免許」と呼ばれ、ギア付きのMT(マニュアルトランスミッション)車と、AT(オートマチックトランスミッション)限定を選ぶことができます。
Hondaには自動遠心クラッチのスーパーカブシリーズやダックス125など「クラッチ操作の必要がないオートマチックのバイク」があり、それらはAT限定免許でも乗ることが可能です。
MT、AT限定共に、小型限定普通二輪免許を取得するには、定められた時間分の学科教習と技能教習を受け、運転免許試験場にて適性検査・学科試験・技能試験に合格する必要がありますが、2018年度の免許取得制度の改正により、AT限定の場合は最短2日間での取得が可能になりました。(都道府県によって対応時間などが異なる場合もあります)
ここからは、原付二種免許で走行できる条件を見て行きましょう。
- ■排気量:~125ccまで
- ■免許取得可能年齢:16歳~
- ■二人乗り:○
- ■高速道路:×
法定速度は普通のバイクやクルマと同じ60km/hまでOK
125ccまでの原付二種モデルは、50ccまでの原付一種モデルとは違い、一般公道の法定速度は他のバイクやクルマと同じ最高60km/hまで出して走行することができます。
言い換えれば、125cc原付二種モデルとそれ以上の排気量を持つ普通のバイクの一番の違いは、高速道路や一部の有料道路、バイパスなどに乗れるか乗れないかの差があるだけとも言えます。
125ccの排気量はバイクの動力性能としても、交通の流れに充分対応できる造りになっているのです。
二段階右折が不要で一般公道の走行が快適
50ccまでの原付一種モデルでは二段階右折が必要になる交差点でも、125ccまでの原付二種モデルなら二段階右折の必要もなく、他のバイクやクルマと同じようにそのまま右折レーンを利用して曲がることができます。
125cc原付二種モデルは、基本的に一般公道の法定速度や交通ルールも他のクルマやバイクと同じであるため、原付一種モデルと比べるととてもスムーズな走行ができるんです。
排気量区分的に高速道路を使ったツーリングはできませんが、軽くてコンパクトな車体と必要充分なパワーがあるので、街乗りやショートツーリングなどではむしろ中〜大型バイクよりも扱いやすいほどです。
2人乗りのタンデム走行も楽しめます!
51cc〜125ccの原付二種モデルは、道路交通法で二人乗りのタンデム走行※ができるように定められています。
※タンデム走行は運転者が免許取得後から1年以上経過している必要があります。
二人乗りするためのタンデムシートやタンデムステップが備わっていて、フレームや車体剛性、サスペンションなども性能面でも、大人2人が乗っても大丈夫なように設計されています。
友達やパートナーを駅や自宅まで送ったり、近くの公園やアミューズメント施設などに気軽に出かけやすいのも魅力です。
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原付一種・二種にはそれぞれにメリットがあります
いかかでしたか?
原付一種モデルと原付二種モデルは、様々な違いがありますが、双方とも買い物や街乗りにも便利で、バイクの入門機としても相応しいバイクです。
リーズナブルでクルマの運転免許でも走行できる手軽さが魅力の原付一種モデルと、タンデムができて、制限速度も普通のバイクやクルマと同じだから公道範囲も大きく広がる原付二種モデルは、それぞれの良さやメリットがあるので、自分に合ったバイクライフが楽しめる運転免許や排気量モデルを選ぶと良いでしょう。
ホンダの原付バイクや原付二種モデルは、軽くてコンパクトな車体と、乗り手を選ばないほど扱いやすいモデルが揃っていますから、お気に入りの1台を見つけてくださいね!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】