寒くなるとだんだんとバイクで走りに行く機会が少なくなってきたり、環境的にも乗れなくなってくるエリアにお住まいの方も多いかもしれません。
そこで今回は数ヶ月間バイクに乗れなくなりそうなタイミングでやっておきたい「愛車をいたわるための保管方法」について解説します!
冬の間はしばらくバイクに乗らなそう……愛車を長期保管する前にやっておきたい「4項目」って?
本格的に寒くなるこれからの季節は、バイクに乗りたい気持ちはあっても温かい時期に比べると走りに行く機会が少なくなってくる方も多いかもしれません。
ましてや積雪のあるような地域にお住まいの方は、環境的にもしばらくバイクに乗れなくなってしまうこともあるかと思います。
しかし、しばらく長く乗れない時期にそのままの状態で放置していると、次に走りだそうと思った時に様々なトラブルの原因になる場合が……
そこで今回は数ヶ月間バイクに乗らなくなりそうなライダーが冬眠前にやっておきたい、愛車を労わるための「4つのおすすめ保管方法」を解説します。
①洗車とオイルアップ:金属パーツのサビ防止や車体の劣化を防ぎやすくなります
バイクを長期保管させる前に、まずやっておきたいのが「洗車」です。
「そんなに汚れてないし、しばらく乗る予定がないのに洗車するの?」と思われるかもしれませんが、実は長期的に保管させる時ほど洗車をしておくのが大事なんです。
洗車は普段では“愛車を綺麗に掃除する”のが目的となりますが、長期的に保管させる場合の洗車は、どちらかと言えば、パーツの「劣化防止」や「サビ防止」のためにやっておきたいメンテナンスに近い意味があります。
年末の大掃除のように、普段あまり目にしないようなところのまで細かくチェックして、汚れをしっかり落としておきましょう。
バイクのメンテナンスは「洗車に始まり、洗車で終わる」と言われるほど。洗車は愛車に末長く乗り続けるための大切な保管方法のひとつでもあるんです。
洗車が完了したら、できれば同時にパーツ各部の「オイルアップ」もやっておきたいところです。
“オイルアップ”とは、バイクの可動部(ペダルやレバー、リンク部分)などの金属パーツに潤滑オイルを塗っておくことで、これを長期保管前にやっておくことで次に乗る時にバイクの動きがとてもスムーズになります。
寒くなるこれからの時期は空気が乾燥しやすくなりますし、洗車をすることで油分も一緒に洗い流してしまう可能性があります。また、オイルアップしておくことで金属パーツの動きを滑らかにできることに加えて、パーツや接合部分などのサビ防止や劣化防止にもなるのでまさに一石二鳥。
愛車をいたわるメンテナンスとして長期保管前には「洗車」と「オイルアップ」をセットでやっておくのがおすすめです。
②ガソリンを満タンに:タンク内の結露防止やサビを防ぎやすくなります
続いて保管前にやっておきたいのが「燃料タンクにガソリンを満タンにしておく」ことです。
「これからしばらく乗らないのにガソリンを入れておくの?」と思われるかもしれませんが、これにはちゃんとした理由があります。
寒くなるこれからの時期は、燃料タンク内がガソリンで満たされていないと、湿度や外気温差などでタンク内の空洞部分に水の結露が発生することがあります。
その結露された部分が長期的にそのままになっていると、タンク内に溜まった水分と空気が混合してサビが発生してしまうことがあるんです。
燃料タンク内は目視しにくい部分でもありますから、ガソリンをいっぱいに満たしておくことでサビ防止にも繋がるんです。それに! 次に走り出す時にガソリン満タンの方が気持ちよく走り出せますからね!
③空気圧を規定値に:タイヤ接地置面のフラットスポット防止にも
続いて長期保管の前にやっておきたいのが「タイヤの空気圧を規定値にしておく」ことです。
タイヤの空気は、バイクに乗っていても、いなくても少しずつ抜けてしまうものなので定期的な空気圧調整が欠かせません。ですが長期保管させる前に空気を充填しておきたい主な理由は、タイヤ接地面のゴム劣化・変形を防ぐためとなります。
長期間バイクを動かさないでいると、バイクの重さが常に前後タイヤの接地面にかかり続けるため、タイヤのトレッド面の一部に平らな変形部分ができる「フラットスポット(ゴムが潰れて固まる劣化)」と呼ばれる現象がおきる場合があります。
タイヤにフラットスポットができてしまうと、正常な状態に戻りにくく、気がつかずにそのままバイクに乗ってしまうと非常に危険です。
タイヤの空気圧はサイズや種類などで異なりますので、チェーンガードなどに貼り付けられているコーションラベルを見て、規定値まで充填しておきましょう。
④バッテリーのマイナス端子を外す:バッテリーの自然放電が防ぎやすくなります
長期保管前にやっておきたい4つ目は「バッテリーのマイナス端子を外しておく」ことです。
一般的なバイクに搭載されている鉛バッテリーは、タイヤの空気圧と同じように「使用していなくても」自然放電によって少しずつ劣化していきます。
ちなみに、バイクは走らせることでジェネレーターと呼ばれる発電機が電気を発生し、充電しながらバッテリーの状態を保っていますが、長期間バイクを動かさないでいると、バッテリーが徐々に自然放電して最悪の場合はバッテリー上がりの原因になります。
冬の時期にしばらくバイクに乗る予定がないときなどは、バッテリーの「マイナス端子」をターミナルから外しておくことで通電を遮断させることができるので、自然放電を緩和させることができます。(※赤カバーのプラス端子と間違えないようにご注意ください)
数ヶ月間バイクに乗れそうにない時は、バッテリーを満充電にして車体から外しておくのもよいでしょう。
「バイクカバー」はマスト! 長期保管で他にもやっておくと良いことって?
ここからは、先ほど紹介した4項目以外にも、愛車を労れる長期保管方法について解説します。
バイクの保管はガレージ保管や屋外保管など、住む家やその人の生活環境によって様々ですが、いずれの場合も「バイクカバーの装着」はとても重要です。
特に屋外保管の場合は、雨や汚れを防げることはもちろん、紫外線による劣化を防止したり、人目につきにくくすることで防犯対策にも役立ちます。
バイクカバーをかけているかいないかで、次に走りだす時の車両のコンディションに歴然の差が出る言っても過言ではありません。
長期保管は特に盗難対策にも気を配りたい
そして、バイクの長期保管では防犯対策もしっかり行っておきましょう。
バイクに乗る機会が少なくなる冬の時期は、バイク盗難の件数も増えるというデータもあります。
簡単に動かすことができない柱などにチェーンロックなどで、しっかり“地球ロック”をしておくと良いでしょう。
時々エンジンをかけてバイクを動かしてあげるのが理想的
長期保管でバイクの健康状態を保つには、時々エンジンをかけたり近所をすこし走ったりするだけでもコンディションが保ちやすくなります。
バッテリーやタイヤ、エンジンなどの機械的な面でも、バイクは定期的に動かしてあげることが理想的です。
環境的に乗れない地域などでは「冬季保管サービス」を活用するのもアリ
冬の時期に雪が降るようなエリアにお住まいの方や、屋外保管で盗難などが心配な方は、バイクの「冬季保管サービス」を利用してみるのもおすすめです。
バイクショップによっては、冬季の数ヶ月間など愛車を預かってくれるサービスを行なっている店舗もあり、全ての店舗で行われているサービスではありませんが、お住まいの地域のお店に問合せてみましょう。
“ほったらかし”が一番の劣化の原因に!次に乗るときまで愛車を大切に保管しておこう
いかがでしたか?
バイクは“ほったらかし”にしてしまうことが、一番愛車の劣化を早めてしまいますから、長期保管する前にしっかりいたわってあげるのが何より大切!
特に冬の間はバッテリーのトラブルを引き起こすケースが多いので、バイクに乗れなくても定期的なチェックをしてあげましょう。
長期間バイクに乗れない時こそ「次に乗るときのために愛車のコンディション」をしっかり気にかけておきたいですね!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】