整備の専門学校に通う中国人留学生のユイ・ハオトンさんは熱烈なホンダファン。
免許を取得してから3台のホンダ車を乗り継いできました。
小さいときから生粋のホンダファン
「バイクに興味を持ったのは中学生のときでした。僕の住んでいた江西省南昌市では電動バイクが多くて、僕も最初は電動バイクに乗るようになりました。その頃からホンダファン。ホンダのステッカーを自分で作って、電動バイクに貼っていたくらいです(笑)」
ユイさんがホンダに惹かれるようになったのはバイクの性能と技術力の高さを知ったから。
中国のライダーの間では、ホンダのエンジン技術は素晴らしいという意見が多いのだと言います。
高校時代に初めて乗ったバイクもホンダのCB190でした。
日本に来てから日本とホンダがもっと好きになった
ホンダのバイクと日本のアニメ、日本の文化が好きだったユイさんは、高校を卒業するとすぐ日本の専門学校に入学。
マンガやアニメーションの勉強をしながら日本の二輪免許を取得しました。
購入したのはCBR250RRです。
「CBR250RRはホンダのバイクですし、250の中で最も高い技術力で作られていて、デザインも素晴らしかったから、他のバイクはまったく考えませんでした」
CBR250RR購入の相談でホンダドリーム立川に出かけていったユイさんは、接客に感動したと言います。
「スタッフの人達がみんなとても優しいし、熱心に説明してくれました。対応がとても良くて、ホンダのイメージがますます良くなりました」
CBR250RRはユイさんの期待を裏切ることはありませんでした。
「振動も少なくてとてもスムーズなエンジンでした。排気量はそれほど大きくありませんでしたが、クイックシフトでパワーを使い切ることができたし、そうやって走るのがとても楽しいバイクでした」
デザインの専門学校を卒業すると、次に自動車整備を学びたいと考え、もう一度八王子の専門学校に入学します。
CBR250RRは通学の足として毎日大活躍。
大田区鎌田にあるお気に入りの四川料理店「兄弟」にも定期的にバイクで通ったりしていました。
ところが、本格的にツーリングを楽しもうとしていた矢先、腰の痛みに襲われます。
「ヘルニアになってしまったんです。アルバイトで重い荷物を運んでいたことが原因かもしれません」
ツーリングを考えてNC750X DCT仕様に乗り換え
前傾ポジションのバイクに長時間乗ると腰が痛くなり、ロングツーリングが難しくなったことから、ポジションが楽なバイクへの乗り換えを考えるようになります。
候補にあがったのはNC750X DCT(Dual Clutch Transmission)仕様でした。
NC750Xの在庫があるというホンダドリーム町田を訪れたところ、バイクのことを深く理解したスタッフから的確なアドバイスをもらい、このショップでNC750Xを購入することを決意します。
「とても乗りやすいバイクでした。ポジションも楽で体に負担もかからなくなりました」
NC750Xは良いバイクでしたが、リアのトップケースとサイドボックスを左右に取り付け、荷物を満載して走ると、もっとパワーに余裕があるバイクで走りたいという気持ちが沸き上がってきました。
そこでもう一度、バイクを買い替えることを決意するのです。
更なるパワーを求めてレブル1100を購入
ユイさんの希望を叶えるのはリッターバイクだけでした。
「ツーリングに行きたいのでDCTのバイクしか考えていませんでした。候補に上がったのはNT1100とレブル1100です。自分の使い方からするとNT1100が最も良いと思いましたが、車両価格が自分の予算をオーバーしていました。現金で買えるバイクにしたいと考え、DCTを装備したリッターバイクの中で最もコスパの良いレブル1100が最終候補となりました」
一緒に住んでいる友人がレブル250に乗っていたこともユイさんの気持ちを後押しすることになりました。
そのバイクを見るたびに「レブルのデザインは良いな」と思うようになったからです。
こうなると決断するまでに時間はかかりませんでした。
ドリーム町田でNC750Xを下取りに出して、レブル1100を購入することにしたのです。
レブル1100 DCTの楽しさに感動
ある意味、妥協しての車両選択になったわけですが、レブル1100のオーナーとなった今は、このバイクに大満足なのだと言います。
「とても良いバイクでした。ポジションも疲れないしデザインがとても良いです。エンジンのパワーがあるのに、友人たちが乗っている他のリッターバイクに比べて燃費でも優れています」
納車されると自分がイメージするカスタマイズをスタート。
カウルやバッグを装着してツーリング仕様にしていきました。
DCTだから感じるライディングの喜び
DCTに関しては予想以上の楽しさがありました。
ホンダの技術力の高さを感じながら走ることが出来るからです。
「DCTは本当に素晴らしいメカニズムだと思います。友達が少し前のX-ADV(DCT標準装備)を所有しているので乗せてもらいましたが、ホンダのDCTが確実に進歩しているんだということが分かりました。レブル1100のDCTは反応が速いし、変速のショックもほとんど感じません」
食わず嫌いでDCTに乗ったことがない人にも、是非一度DCTを体験してみて欲しいとユイさんは言います。
「 DCTには機械と一体になってバイクを操るような楽しさがあります。エンジンをかけて、Dボタンを押した時にカシャンとギアが入るんですが、僕はこの時の音とフィーリングがメチャメチャ気に入っています。わざとこういう味付けをしたわけではないかもしれませんが『さあ行くぞ』とバイクが言っているような気持ちになるんです」
レブル1100を手に入れて、念願だったロングツーリングにも出かけることになりました。
Hondaのバイクライフアプリ「HondaGO RIDE」もスマホに入れてツーリングでもフル活用する予定です。
「友達と九州に行きます。以前、九州ツーリングに行った友達の写真を見せてもらったことがあって、その時から最初にツーリングに行くのは九州だと決めていました。学生のうちに日本を一周したいと思っています」
恵まれている日本のバイク事情
ユイさんは卒業後も中国に帰らず、日本で仕事をしていきたいと考えています。
それは日本という国が好きだというだけでなく、バイクを取り巻く環境が恵まれているからだと言います。
「中国はバイクに対して良くないイメージを持っている人が少なくありません。交通違反ばかりしている危険な乗り物だと考えて白い目で見る人達もいます。バイクで走れない高速道路が多いので、自由に移動することが出来ません。それに比べると日本ではバイクに対するイメージも良いし、どこへでも行くことができる環境が整っていると感じたんです。中国にいるときから日本が好きだったけれど、日本に来てからもっと好きになりました」
中国でガソリンエンジンに対しての風当たりが強くなっているところもネックだというのがユイさんの考え。
「中国ではガソリンエンジンのバイクは禁止という街も出てきました。他の街でも電動でないと税金は高いですし、これからもっと高くなっていくかもしれません。中国でもバイクで走ってみたい場所は色々ありますが、電動では走れる距離に限界があります。それに充電に時間がかかってロングツーリングは現実的ではありません。バイクで行けるところが減りつつあるんです」
整備の勉強をしているユイさんが働きたいと考えている職場は、なんとホンダドリーム。
近日中に職場見学にも行く予定です。
ホンダとバイクが大好きだということもありますが、バイクの購入で訪れ、そこで働く人達と話したりしているうちに、自分もこの環境で仕事をしてみたいと考えるようになったんだとか。
「就職したらCBR250RRをもう一度買ってレースに出てみたいです。サーキットを走るためにダイエットもはじめました。食べるものを制限してジムにも通っているんですよ。仕事をして10年以内にゴールドウイングを買うのが目標です。僕にとって夢のバイクですから」
ユイさんのホンダ愛は日に日に大きくなっているようです。
それはこれまで乗ってきたホンダのバイクや訪れた販売店が、いつもユイさんの期待よりも大きな喜びを与えてくれたからに違いありません。
【文/後藤武(外部ライター)】