多くのバイクが海外生産されるケースが多い中、Hondaのツーリングバイクの頂点に君臨し続ける「Gold Wing(ゴールドウイング)」シリーズは、日本の熊本県にある「熊本製作所」で造られています。今回はそんな製造現場を動画で覗いてみましょう!
※本記事は、『Honda二輪のモノづくり~ made in KUMAMOTO vol.5 【王者:Gold Wing】(2021年7月公開)』の内容を元に構成しております。
キング・オブ・モーターサイクルは、なぜ日本の熊本で造られているのか?
Hondaの名車は数あれど、ツーリングカテゴリにおけるフラッグシップモデルといえば「Gold Wing(ゴールドウイング)」シリーズであることに異論を唱えるライダーはいないでしょう。
日本はもとより、世界中のバイクファンを魅了してやまない、このキング・オブ・モーターサイクルは、日本の熊本にある「熊本製作所」で製造されているのをご存知でしょうか?
今回はそんなGoldWingシリーズが熊本製作所で製造されている映像を見ることができる「HondaGOチャンネル」のYouTube動画をご紹介します。
4分30秒程度のムービーになっていますが、なかなか見ることができない貴重な映像になっていますので、是非チェックしてみてください。
生産コストなどの関係もあり、多くのバイクが海外生産されるケースが多い中、Gold Wingは初代GLシリーズの登場から一貫して熊本製作所で製造されています。
海外生産にすることで、ややもすれば生産コストなどの削減になるかもしれませんが、あえて手間やコストのかかる国内生産にこだわるのはなぜなのでしょうか?
その答えのひとつは、Gold Wingが造られるためのパーツの数にありました。
その部品の数は、なんと11000個!通常のバイクの約4倍にあたる総数です。
Gold Wingの「水冷4ストロークOHC水平対向6気筒」は、唯一無二とも言える特殊なエンジンです。
その組み立てには、Gold Wing専用のエンジン製造ラインが設けられるほど。
水平対向の特殊な構造をした6気筒エンジンを組み立てるには、前後や左右、上からの5面からのアクセスが必要になり、他のバイクとは全く異なる製造ラインを設けなければなりません。
しかも、その製造ラインには“Gold Wingのエンジンだけを担当する”経験豊かな専門のエンジニア”が必要になります。
このような特殊な製造ラインを組まなければ、Gold Wingのエンジンの組み付け精度が上がらないといいます。
手仕事の技とこだわりが詰まったGold Wingの6気筒エンジンは、その道を極めた匠の腕だからこそ組み上げることが可能なんですね。
もちろんGold Wingの製造に必要な技術は、特殊なエンジンの組み立てだけに留まりません。
Gold Wingの抜群な操縦安定性を担っているダブルウィッシュボーン式サスペンションの組み立てや、その差±0.5mm以内といわれる緻密なタイロッド調整なども、熟練されたエキスパートの腕が必要になります。
さらに、Gold WingにはHondaの二輪車独自のオートマチック技術「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」が搭載されています。
熊本製作所には、湿度や温度が厳正に管理された「DTC専用ルーム」という施設があり、その特殊な構造ゆえの動作確認を1台1台行っているほど徹底して製造されているのです。
Gold Wingを象徴する標準装備のパニアケースも、専門スタッフによる丁寧な手作業。
本来なら純正アクセサリーの製造ラインで行われるような作業工程も、Gold Wingの製造には必要なのです。
こうして、それぞれの専門エンジニアが1台1台手作業で仕上げたGold Wingが完成して行きます。
製造コストや作業能率をあえて追い求めないからこそ、世界最高のモーターサイクルは日本の熊本製作所で作られているのです。
こちらの映像はホンダ熊本製作所でGoldWingが造られている貴重なムービーになっています。
是非チェックしてみてくださいね!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】