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冬ツーリングは過酷?バイク乗りの常識が『ゴールドウイング』をレンタルしたらすべて崩壊した……【ホンダの道は1日にしてならず /Honda Gold Wing Tour ツーリングインプレ中編 】

冬でもツーリングは楽しい! っていうことを証明するために、レンタルバイクでゴールドウイングを借りて松阪牛を目指す!

とはいえ距離は片道400km……冬の厳しさを身をもって味わうはずだったんですが……

【前編はこちら】

冬ツーリングの『過酷』がどこにも無い……

ひょんなことからHondaが世界に誇る最高級ツアラーのGold Wing Tour(以下ゴールドウイング)に乗ってツーリングをすることになった今回。

目下、高速道路を使って美味い肉(松阪牛)を食べるために高速道路で三重県松阪市へ向かっている最中なのですが……実はちょっと困ったことになりつつあります。

なにがって『冬ツーリングの常識』が何ひとつ感じられないこと。実を言いますと逆に困るんです……こういうの。

東名高速道路の最高標高となる御殿場インター付近を鼻歌まじりに駆け抜けて、快適すぎてうっかり新東名に乗り損ねて……どうしようもないのでそのまま沼津方面へ走ると標高も下がり、海が近くなってきます。

ミスコースにより多少の距離は伸びるけれどゴールドウイングは極めて快適で……って!?

12月も下旬だっていうのに『暑くて』由比PAへ緊急ピットインです。

寒いだろうと思って厚着しすぎた? いやでも気温6度ってバイクの外気温計に表示されてるし……

その理由はゴールドウイングの圧倒的なウインドプロテクション性能です。上半身どころか下半身も完全に走行風からガード。そのうえでグリップヒーター標準装備だから指先の冷えなんて超絶無縁。しかも!

このバイク、シートヒーターがついるんですよねぇ……

バイクでお尻を温めるのって意味があるの? と思うかもしれませんが、使ってみるとわかります。これはお尻を温めるため、じゃなくて「下半身を温めて血流を良くするため」の装備なんです。グリップヒーターも『手の平を温める』のではなくて、手の血行を良くすることで冷えを防ぐのですが、それと同じ。おかげで冬ツーリングだっていうのに、手指も足も一切冷えません。

しまいにはライディングジャケットの下に着こんでいたインナーダウンと厚手のソフトシェルを脱ぐことに。冬のバイクツーリングで普通これはありえないのでは……

冬ツーリングは寒さがちょっと過酷だけど、その先には冬にしか味わえない楽しさがあるんだぞ! と、本当はそう言いたいんですけど、これじゃ説得力ゼロです。

しかも疲れない。ちょっとおかしいだろ!?って思うくらいに疲れないんです。

ちなみに最初の給油ポイントは伊勢湾岸道。朝からの走行距離はここまで330.2キロ。暑くて服を脱いだ時にちょっと停まった以外、休憩はしてません。

だって休憩する必要を感じないんです。特にがんばって走ってる訳でもないっていうのに……。

仮に私(北岡)の体力ゲージがMAX100だとして、この時点で99残ってるイメージ。嘘でも何でもなく『長距離を走った疲れ』がどこにもありません。ちょっと変な言い方にはなりますが『疲れない』のレベルが想像を100倍くらい飛び越えてる。

しかも『休まない』からどんどん先へ進めちゃって、予定よりも進行が圧倒的に早い……

いや普通は逆でしょ!?

冬ツーリングっていったら、寒さにつらくなってSAとかでこまめに休憩して体温を回復させて、だけど休憩が多いから予定よりも進行が遅れるはずでしょ!

予想外。そしてこれは、ある意味とてもマズい展開です。

だってこんなにも『冬の過酷』とか『バイクツーリングの大変さ』が無いと、話がまるで面白くない……。

『はいはい、ゴールドウイングだからそりゃ快適ですよね』で終わってしまう!?

なので急遽(時間も余ったので)すこし寄り道をしてみることに。

ということで『自らを疲れさせる』という謎行為のために亀山インターで高速を降ります。

ゴールドウイングの高速道路はダメだ。快適すぎて記事にならん。けれどこの巨体、そして車両重量390kg……フフフ、やっぱり一般道では持て余すんだろう?

ということで江戸時代へタイムスリップしたような風情が味わえる『関宿』へ。道も狭いし観光客も歩いているしで高速道路とは真逆のシチュエーションです。

ところがねぇ……

ゴールドウイング、時速30km以下の徐行みたいな走りでもド安定なんです。しかもDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)だから、一時停止とかでいちいちニュートラルを出す必要もない。ウインカーもオートキャンセル機能があるから、狭い路地を曲がった後にウインカーを消すためにまごつくこともない。

ダメだぁ……!? 一般道でも普通に扱える。しかもゴールドウイングってシート高が745mmだから停車時も両足べったり(ライダー身長176cm)なんです。とてつもなく重いバイクなのに、不安を感じることがない。完璧かよ。

あ、でもバイクを停めてエンジンを切っての『押し引き』いわゆる取り回しはめっちゃ大変ですよ! 人力でやろうとするなら、ですが。

ただ、ゴールドウイングには『ウォーキングスピードモード』っていうのがあって、ボタン操作で微速前進/後進ができるんです。先にも言ったけど足つきは抜群なので、このモードにすれば跨ったままのバックとかも普通にできちゃう。

……持て余さねぇ。ボディはめちゃくちゃ巨大なのに(汗)

このあたりで私、達観しました。

片道400km程度のツーリングだと、このバイクじゃ『疲れるほうが難しい』です。なんなんだ一体……。

その後も『冬ツーリングの大変さ』を1秒も感じることなく、目的地である松阪市へと到着してしまって。

思い描いていたストーリーでは、ある程度ちゃんと疲れて、寒さに凍えて、それのご褒美として松阪牛にありついて歓喜! というものだったんですが、ゴールドウイングのせいで総崩れとなりました。

なので、光り輝く霜降りの松阪牛を目の前にしても……

なんだか近所の焼き肉屋に夕飯を食べにきた……みたいな気分に。いやまぁ、味はもうトロける美味さだったんですよ? だけど『がんばって走ってきたご褒美』感が極めて薄い。

恐るべきゴールドウイング。大陸を横断できる無敵のツアラーにとって、片道450kmのツーリングというのは単なる『散歩』だったんです。

さて、明日はどうしよう……松阪牛の目的は達成したけれど、はっきり言って『ぜんぜん物足りない』という感覚。だって疲れてないし。

このままじゃ、なんかダメだ!?

これじゃレンタルバイクの料金分を楽しめていない気がする! もっと楽しいことしたい!

とうことで、明日は朝から動きます!

《後編はこちら!》

【文/北岡博樹(外部ライター)】

▶▶ 前編もご覧ください!

 

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