バイクライディングにおける安全性をさらに高めてくれる「+α」の重要アイテムとして、近年ますます注目されているのが「胸部プロテクター」。
そこで今回は、バイク用胸部プロテクターの重要性に加えて、冬季ツーリングにおいてボディプロテクターは防寒具になりうるのかも実走調査してみました!
バイク用「胸部プロテクター」の着用率は過去最高の○○%へ向上!

安全でより楽しいバイクライフを送るには、日常的な安全運転はもちろんのこと、しっかりとしたライディングギアなどの着用が不可欠です。
そんなライディングギアもバイクと同じように年々進化していますが、より安全にバイクを楽しむために、Hondaでは「胸部プロテクター」の着用を推奨しています。
ひと昔前に比べるとバイクの「ボディプロテクター」全般に関する意識が高まっているように感じますが、ヘルメットとは違い、着用義務がないバイクの胸部プロテクターはどれくらい普及しているものなのでしょうか?
こうした背景の中、警視庁では二輪車に乗るライダーの安全意識を把握するため、例年「二輪用胸部プロテクターの着用状況調査」を実施し、その結果を公式ホームページなどで公表しています。
2025年度の最新調査結果では、バイク用胸部プロテクターの着用率が9.9%まで上昇しました。過去の推移を見ても着実に数字を伸ばしており、10人に1人のライダーが「ヘルメットの次に守るべきは胸部である」という選択を日常的に行っていると言います。
近年、なぜこれほどまでにバイク用「胸部プロテクター」が注目されているのか。それは、二輪車乗車中の交通事故において、致命傷となった損傷主部位のデータに明確な変化があったことに起因しています。
その調査結果によると、2021〜2023年度では頭部による損傷が45.4%、胸部による損傷が25.2%だったのに対し、昨年2024年度の調査では「頭部損傷が26.3%、胸部損傷が42.1%」と、たった1年で逆転現象がおきているんです。
これには、近年のヘルメット強度の向上や、バイク用プロテクターの進化など、いくつかの要因が考えられますが、ヘルメットの着用やプロテクター入りのライディングウェアの着用が当たり前となった今、命を守るための次のステップは、心臓や肺などの重要臓器が集まる「胸部」をいかに守るか、という課題が浮き彫りになってきたとも言えます。
胸部プロテクターを着けたくない理由の44.0%が「着用が面倒」。その“気持ちのハードル”を乗り越えるには?
一方で、同調査で「プロテクターを着用しない理由」として最も多く挙げられたのが、「装着が面倒(44.0%)※2025年度」という回答です。
確かに、出発前の準備で胸部プロテクターの装備をひとつ増やすことは、着用感の煩わしさや心理的な手間を感じるかもしれません。しかし、これは実のところ、着用感や機能性の問題というよりも「ライダーの気の持ちよう」による部分が大きいのではないでしょうか。
かつては「面倒だ」と言われていた義務化以前のヘルメットやライディングウェアに備わっているプロテクター類も、今では「着けていないと落ち着かない」「怖くて走れない」という感覚が一般的になっています。胸部プロテクターもこれと全く同じだと思うんです。
胸部プロテクターは「とりあえず着けてみる」のが最善策!?

バイクに乗るときは必ず胸部プロテクターを着用しているライダーに「どうしたら胸部プロテクターの着用を習慣化できましたか?」と聞いてみると、「面倒だと感じたのは最初だけだった。いまではヘルメットや他のプロテクターと一緒で、着けないとバイクに乗るのが不安」という答えが返ってきました。確かにその通りだと思います。
一度着用を習慣化してしまえば、体に馴染む感覚とともに「守られている安心感」が上回り、その安心感がライディングの余裕へと繋がります。最近ではジャケットと一体化できるタイプや、軽量な素材も増えており、物理的なストレスも軽減されています。まずは数回、ツーリングの「当たり前」として取り入れてみる。その「慣れ」こそが、安全なバイクライフへの近道なのかもしれませんね。
胸部プロテクターは防寒具になりうるのか?真冬のツーリングで実走テストしてみました!

そんな胸部プロテクターの着用を習慣化するためのひとつの動機づけとして、これからの冬季ツーリングでは、ボディプロテクターも“防寒具のひとつ”として考えてみるのはいかがでしょうか?
胸部プロテクターをライディングジャケットの胸の部分に着けることによって、正面から受ける冬の冷たい走行風をプロテクターで遮ることもでき、長時間の身体の冷えを軽減できるかもしれません。
そこで今回は、Hondaのテクセルセパレートチェストプロテクターを使って冬のツーリングに出かけ、胸部プロテクターの防風効果に加えて、プロテクター素材の温度変化よる強度もチェックしてみました。
寒暖差でボディプロテクターの硬さは変化する?温度変化の影響を受けにくい「温度依存性レベル」を知る

Honda テクセルセパレートチェストプロテクター(ベルトタイプ)価格:18,920円(税込)
今回、実走テストしたHonda テクセルセパレートチェストプロテクターは、バイク用ライディングウェアを展開するRSタイチとコラボレーションした着用性と安全性の高い胸部プロテクター。
「テクセル(TECCELL)」とは、六角形のハニカムコアと呼ばれる加工技術を取り入れた、非常に強度の高い特殊な樹脂形成素材で作られた素材。しかも、バイク用胸部プロテクターとして、ヨーロッパの安全規格である「CE規格 Level2(最高クラス)」をクリアしています。
さらに熱可塑性樹脂の単一素材成型により、プロテクター本体の広範囲で衝撃吸収することを可能にしているだけでなく、スチールやアルミなどの金属素材と比較しても、同等の曲げ剛性と大幅な軽量化を実現。もちろん安全面も高く、海外基準の衝撃吸収性能を示す『CE』表示は「DC-TYPE B」、規格グレードを示す数字は「レベル2」になっています。

プロテクターの裏面にはその安全性能を示すCE規格をクリアした表記がデザインされているのですが、その中でも注目したいのは「DC TYPE B」の下にある「2」や「T+」「T-」の表記。
まず、規格グレードを示している「2」は、衝撃吸収や緩和、衝撃分散や伝導力の度合いでレベル1/レベル2に分かれていて「2」の方が高い基準になっています。
その隣の「T+」「T-」の表示は、欧州規格(CE規格)など、下記の温度テストをクリアした値。つまり、このプロテクター素材の「温度依存性レベル」を示しています。
-
T-(低温試験): -10℃の環境下でも衝撃吸収性能を維持
-
T+(高温試験): +40℃の環境下でも衝撃吸収性能を維持
どのくらいの温度環境までプロテクター素材の温度変化に耐えうるかをテストし、+は温度が上がっても、-は温度が下がっても性能低下が認められなかったことを示しています。ちなみにこの「Honda テクセルセパレートチェストプロテクター」はマイナス10℃~40℃まで性能低下がない、という耐久テストをクリアしています。

プロテクターの素材(樹脂や特殊フォーム)の中には、粗悪な製品の場合は気温が下がると極端に硬くなったり、逆に夏場は柔らかくなりすぎたりするものもありえます。特に冬場にカチカチに硬くなってしまうと、フィット感が損なわれるだけでなく、本来の衝撃吸収性能が十分に発揮されない懸念もあります。
しかし、Honda テクセルセパレートチェストプロテクターの温度依存性レベルは、高温時も低温時も日本の冬季ツーリングくらいの気温ではしっかりと強度を確保してくれています。「T-」の表記があるプロテクターは、氷点下に近い冬の峠道などでも、素材が硬くなりすぎず、しなやかさと安全性を保ってくれます。冬の走りの安心感は、こうした「環境変化への強さ」によっても支えられているのです。

朝9:00にスタートしたこの日の外気温は、関東の冬の時期としては比較的暖かい10℃。そこからツーリングの出発前と後でライダーの体温にどれくらいの温度変化が表れるのかをサーモグラフィーカメラで撮影してみました。
1時間おきくらいの適度な休憩を挟みつつ、伊豆半島を半周し、約6時間ほど走った昼過ぎの午後3:00頃には外気温は14℃くらいまで上昇。12月某日のこの日は、冬のツーリングとしては比較的温暖な気候だったこともあり、しっかりとしたライディング装備をしていれば凍えるような寒さではありませんでした。
しかし、6時間走って走行風をダイレクトに受けていたライダーはそれなりの寒さは感じています。出発前と後のサーモグラフィーカメラを見比べてみると、午後3:00のライディングジャケットの表面は全体的に-1.3℃くらいを示す紫色に変化しているのが見てとれます。
他にも注目したいポイントとして、ライディングジャケットの内側に装着されている胸部プロテクターの温度変化はあまり見られず、ライダーの体温も著しく低下していないような赤や黄色を示しています。
だだし、サーモグラフィーによる温度変化や結果には、朝から昼にかけて外気温が4℃上昇したことや、適度な休憩を挟んでいた影響も大きいと思いますから、一概には言えませんが、ライダーの体感としては胸部プロテクターも胸部にあたる走行風を軽減してくれているように感じました。

今回のサーモグラフィーによる検証で興味深かったのは、胸部プロテクターが安全装備だけではなく、走行風による冷えを和らげてくれる「防風・防寒アイテム」としての側面もあるのではなか、と思わせてくれる結果でした。もちろん、これはテストしたライダーの主観によるものも大きいですが、過酷な冬の走行において、胸部への風圧を軽減してくれる付加価値も備わっていると思うんです。
「胸部プロテクターは装着が面倒」と感じる方も、ジャケットを何枚も着込む冬のシーズンであれば、その「ひと手間」が意外と気にならないこともあります。むしろ、厚手のウェアの一部として身体に馴染ませていくには、最適な時期と言えるかもしれません。
まずは、「冬の走りを少しでも快適にするためのレイヤード(重ね着)」のひとつとして、あるいは「万が一の備えをプラスする」というくらいの軽やかな気持ちで、胸部プロテクターを手に取ってみてはいかがでしょうか。
厳しい寒さの中でも、しなやかさを保つ「温度依存性」に優れたプロテクターを選べば、冬の景色を楽しむ余裕もいっそう深まるはずです。この冬のツーリングから、まずは一度試してみる。そんな小さな一歩が、これからのバイクライフをより豊かで安心なものに変えてくれるきっかけになるかもしれませんよ!
HondaGO BIKE GEARのプロテクターアップはコチラから!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】
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