『CRF1100L Africa Twin』はホンダを代表する大型アドベンチャーモデルです。
そして今回この記事で比較するのはアドベンチャースタイルの大型二輪スポーツモデル『XL750 TRANSALP』。
今回はそんな、似ているようで違っている二台を比較していきます!
早速2台を比較!
こちらが今回比較していく2台。
写真左が XL750 TRANSALP、写真右が CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES のDCT(Dual Clutch Transmission)です。
並べて見比べると大きさ自体はあまり変わらないように見えます。
むしろ排気量が小さいトランザルプのほうが若干大きく見えますが、全高で比べてみるとトランザルプが1,450mm、アフリカツインが1,445mmとトランザルプほうが若干大きくなっています。
ですがスクリーンの高さで変わってしまうため、大きさだけで言えばほぼ同じと考えていいと思います。
(撮影したのは2023年モデルで、2024年モデルのアフリカツインの全高は1,475mmとなっています)
フロントカウルを見比べてみると、トランザルプはどちらかと言えば縦に長く、横はスリムですが、アフリカツインは縦だけでなく横にも出ていて防風効果が期待できます。
実際どちらも防風はしっかりされていますが、アフリカツインのほうが防風されている範囲が横に広く感じました。
グラフィックはトランザルプ一部のみに色が入っていて、他はベース色というシンプルなデザイン。アフリカツインは全体的にグラフィックが広がっていて、原色に近い目を引くカラーとなっていました。
防風効果に一番直結するスクリーンはどちらも大きさ的には同じくらい。
風を受け流してくれているのはスクリーンだけでなく、フロントカウル全体の形状によるものでした。
トランザルプのスクリーンは固定ですが、アフリカツインのスクリーンは高さを調整することができます。
内側のタブを左右それぞれ握って上げ下げすると約10cmほど上下するので、思い立った時にパッと簡単に調整できます。
街中では一番低くしておいて前方視野を重視して、高速に乗る前に一番上まで上げて防風効果を高める、なんてこともできちゃうので、シュチュエーションに合わせて高さを調整できるのは結構便利でした。
ライトの形状、デザインも違っていて、トランザルプはカウル一体型の1灯ライトとなっていますが、アフリカツインはカウル一体型の2灯となっており、アニメに出てくるキャラクターの顔のようなアイコニックな雰囲気があります。
明るさ自体は街中を走る分には大きく変わらないように感じましたが、決定的に違うポイントが一つ…
トランザルプは一灯のみに対し、アフリカツインはメインのライトの下に左右それぞれ小型のライトが搭載されています。
これはコーナリングランプと呼ばれるもので、コーナリング時にバンク角に応じてコーナーの先を照らしてくれるという優れもの。
日中はそこまで関係ありませんが、夜間は街中でも曲がっていこうとしてる先が照らせずに見えづらい、ということがあり、コーナリングランプがついているアフリカツインはコーナーの先までしっかり照らしてくれるのでかなり走りやすく感じました。
峠などではもちろんですが、街中を走っていてもしっかり先が見えるおかげで安心して運転できました。
機能面での違いも
エンジンはどちらも水冷並列4バルブ2気筒エンジンを搭載。
排気量は違っていて、XL750 TRANSALPが754cc、CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESが1,082ccと、この2台には約330ccの排気量差があります。
トランザルプはエンジン全体がグレーに塗装されており、CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESはDCTのためカバーはブロンズ色となっています。
アフリカツインはエンジンの下にスキッドプレートが装着されています。
足まわりをフロントから見ていくと、どちらも21インチとオフロードバイクと同じサイズ感(2024年モデルではCRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESのみフロントが19インチとなっています)。
ブレーキは2台ともダブルディスクとなっていて、不安のない制動力です。
細いタイヤに不安を感じる方もいるかもしれませんが、このサイズでも大型バイクらしい安定感を実現しているのはサスペンションのおかげでもあります。
2台とも倒立フォークを採用しており、トランザルプはブラック、アフリカツインはゴールドとなっています。
頼りない感じも全く無く、オンロードでもオフロードでもしっかり振動を吸収して挙動を安定させてくれるので、このサスペンションのおかげで細いタイヤサイズの大型バイクでも不安なく走ることができました。
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESには電制サスペンションが搭載されているため、走行シュチュエーションに合わせてサスペンションのセッティングを変えることができ、これも走っていて感じる安心感に大きく貢献していました。
リアタイヤも同じく18インチを採用。
ライトなブロックパターンのタイヤを装着しており、銘柄はどちらも同じ。
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESはリアサスペンションのプリロードを電動で変更することができ、乗車人数や積載量に合わせて最適なプリロードで乗ることができるため、安心感のあるハンドリングに貢献しています。
ホイールにも2台の違いがあります。スポークに注目してください。
トランザルプはリムのセンターでスポークが終わっていますが、アフリカツインはリムのセンターではなくサイドに逃がしていることがわかります。
これはトランザルプがチューブタイヤのリムで、アフリカツインはチューブレスタイヤのリムとなっているため。
乗って直接的に違いがあるわけではありませんが、後々長く乗るうえでタイヤの選択肢的にも、重量的も純正でチューブレスのリムというのはありがたいポイントです。
ハンドル周りも比較してみると、ハンドル形状は2台とも大きく変わっていませんでした。
メーターのデザインやレイアウトは違っていて、トランザルプはシンプルに機能をまとめていますが、アフリカツインは2段構えで、電制サスペンションを含む様々なセッティング変更がメーターとハンドル左のスイッチを使ってできるようになっていました。
またアフリカツインは純正でグリップヒーターが搭載されている点も注目のポイントです。
アフリカツインには純正でハンドガードが取り付けられています。
オフロード走行時も重宝するアイテムですが、それ以上にグリップヒーター装着車はハンドガードがあるとグローブに直接風が当たらないため、グリップヒーターが発した熱をある程度保温することができます。
シートは色や材質は同じですが、アフリカツインのシートは分割されており、運転手が座る前側のみ高さを変更することができます。
写真では一番低くしている状態でシート高は810mm。
一番高くすると830mmになります。
トランザルプはシート高が850mmのため、足つきという意味ではアフリカツインが優勢です。
(※2024年モデルのCRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESはシート高が820mm/840mm、CRF1100L Africa Twin〈s〉では850mm/870mmとなっています)
両モデルともキャリアが取り付けられていて、違った形状となっていますが、どちらも頑丈でラゲッジの積載やボックスの取付などができるようになっていました。
個人的にはキャリアの裏側にフックを引っ掛けることができるトランザルプのキャリアのほうが積みやすく感じました。
キャリアの違いはこの角度からだとわかりやすいかと思います。
テールランプは全く一緒のランプが付いており、LEDなので視認性はバッチリ!
夜間でもしっかり後続車に存在をアピールできます。
コスパで考えるとどっちもイイ!
今回は車両の見てわかる違いにフォーカスして紹介してきました。
全体的にアフリカツインのほうが高性能なパーツが付いていて良く感じましたが、車両価格を考えれば妥当な違いかもしれません。
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES DCTのメーカー希望小売価格は、2,057,000円(消費税抜き本体価格 1,870,000円)。
対してXL750 TRANSALPは1,265,000円(消費税抜き本体価格 1,150,000円)。
実に約80万円の差があります。
そう考えるとトランザルプのコスパの良さは凄いですね!
スタンダードモデルのCRF1100L Africa Twin<s>は1,639,000円(消費税抜き本体価格 1,490,000円)ともっとお手頃なグレードもあります。
ですがどうせ乗るならAdventure Sports ESが良い!と思う方も多いと思いますし、最初から弄る必要のないほど豪華なパーツが付いているアフリカツインか、車両価格は安く必要なパーツのみ後から装着するトランザルプか、悩ましいところ…。
それを踏まえて次回は乗ってわかる違いを元に、2台を比較していきます!
XL750 TRANSALP、CRF1100L Africa Twin<s>、CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ESが気になった方はお近くのHonda Dreamへ、少し気になる!乗ってみたい!という方はHondaGO BIKE RENTALもご活用ください!
【文/佐藤快(外部ライター)】