普段、何気なく走っている道路は実はけっこう凸凹だらけ。そんな道路を快適に走れるのはバイクの前後に『サスペンション』があるからなんです!
路面の凸凹や、それによる振動を吸収するサスペンション
バイク気持ちいいなぁー! って思いながら普段、何気なく走っている道路ですが、実は道路って思っている以上に凸凹です。
平坦に見える場所でも細かい段差があったり、アスファルトの舗装が古くなってうねっていたり。
だけど走っている間、ライダーは特に大きなギャップでもない限り、それほど気にせず快適に走れますよね。
それはなぜか?
答えは車体の前後に衝撃や振動を吸収する『サスペンション』があるからです。
例えばレブル250だと、車体後部に左右1本ずつ、写真のような『バネがついた部品』が装着されています。
これがサスペンション。
そして下の写真は後輪の衝撃や振動を吸収する装置で『リアサスペンション』と呼ばれます。よく『リアサス』と略されたりもします。
ちなみにレブル250のような車体左右に2個のサスペンションがあるバイクは、単純に『2本サス/ツインサス』などと呼ばれるのが一般的。それに対してCB250Rなどのスポーツバイクでは『1本サス(モノサス)』の場合もあります。
モノサスは車体センター付近に取り付けることで2本サスの左右のアンバランスを解消できるほか、重たいサスペンションを車体中央に寄せて配置できるためバイクの運動性能向上にも貢献。それに、そもそも重たいサスペンションが2本から1本に減ることで軽量化もできます。
また、そこからさらに衝撃吸収性や路面追従性などサスペンションの性能を向上させるため、リンク機構を追加した、さらに高性能化を図ったリアサスペンションもあるんです。
そういったリンク式のリアサスペンションはCBR-RRシリーズに代表されるようなスポーティなバイクに装着されています。
そして、ここからが本題。
実はこちら、単なるバネではありません。
サスペンションは、ただの『バネ』じゃない
サスペンションっていうのはバネ(コイルスプリング)とダンパー(ショックアブソーバー、もしくはオイルダンパーとも呼ばれます)によって構成されている部品です。
バネっていうのは基本的に、力を受けると振動を続けようとする性質があるのをご存じでしょうか?
バイクに置き換えると、走行中に段差を乗り越えようとした瞬間(力を受けた瞬間)にバネが縮み、衝撃を吸収してくれるのですが、その後に縮んだバネは元に戻ろうとして再び伸びようとします。バネが元に戻ろうとすること自体は良いのですが、問題はここから。バネはその性質上、伸びたり縮んだりする動きを繰り返そうとするんです。
イメージとして言うなら、走行中にビヨンビヨンと車体が上下に揺れるのが、なかなか収まってくれないような状態でしょうか。
そこで活躍するのがダンパー。ダンパーは余計な動きを続けようとするバネの動きを制御し、すばやく揺れ(振動)を収束(減衰)させる機能を持った装置なんです。
え?!そんな機械どこにあるの?と思うかもしれませんが、実はバネの中の『支柱に見える部分』がそれ。
ダンパーは支柱的な役割も果たしつつ、同時にバネの無駄な動きをコントロールしているんです。
ちなみにこのサスペンションは平坦に見える道路を走行中でも、目にもとまらぬ速さで小刻みに動き続け、バイクを安定させています。
このサスペンションがあるおかげで、ライダーは安心して、快適に走ることができるんです。
バネの強さは調整できる
ところで、リアサスペンションのバネの強さは、多くのバイクで調整が可能なことはご存じでしょうか?
乗り心地がゴツゴツと固く感じる、もしくは逆にフワフワして落ち着かないと感じる時、リアサスペンションのバネの強さは弱めたり強くしたりすることができるんです。
ちなみにそのやり方は、バイクの取扱説明書たる『オーナーズマニュアル』に記載されています。サスペンションの調整なんてよくわからないから自分には関係ない、と思う人も多いでしょうけれど、やってみるとかなり乗り心地を変化させられるので、気になる人は是非オーナーズマニュアルをチェックしてみてください。
ただしこれ、作業自体はシンプルなんですけど、慣れていないとけっこう力が必要だったりして、初心者の頃は自分で作業するのは若干、不安を感じる可能性があります。
乗り心地は気になるけど、自分でやるのは自信がない。
正直、そう感じる人が大半だと思いますから、そういう時はプロに相談してみてください。
バイクを買ったお店で『リアサスペンションのバネの強さを変えたいんですが・・・』と相談すれば(プロにとっては簡単な作業なので)対応してもらえるはずです。
バイクをもっと楽しむために、自分に合わせた調整をする。
それをすればバイクライフをさらに充実させられることは間違いなし! 愛車の乗り心地が乗り心地が気になる人は、是非一度、試してみてくださいね!
【文/北岡博樹(外部ライター)】