秋はバイクに適したシーズンでもありますが、実は事故が増えやすい時期でもあります。その中でも特に気を付けたい『薄暮時間』のこと、知っておいてくださいね!
秋は交通事故が増えやすい?
夏も過ぎてだんだんと日も短くなってきましたね。
バイクでのツーリングの帰り道、まだ夜っていうほどでもない時間なのに少し周囲が見えづらいな、って思うことはありませんか?
そう感じることがあったら、特に注意して運転してください。
秋は1年の中でもツーリングが特に楽しい季節ですが、実は交通事故が発生しやすい季節でもあるんです!
「薄暮時間」の運転には要注意!
秋は事故が増えやすいと言いましたが、これには『薄暮時間』と呼ばれる時間帯が大きく関係しています。
『薄暮時間』とは、日の入り時刻の前後一時間における薄暗い時間帯。薄暮時間では景色が全体的に薄暗くなりコントラストを失うため、昼間はハッキリと見えていたものが見えにくくなってしまいます。
周囲が見えづらくなるということは、当然接近した別のクルマや歩行者を認識するまでに時間がかかってしまうということで、これが交通事故に繋がる原因になります。
下のグラフは平成29年から令和3年までの5年間で警視庁が集計した時間帯別の死亡事故件数のグラフです。事故件数の多い時間帯は17時から19時。1年のうちの日の入り時間に重なっています。
それではなぜこの『薄暮時間』が秋の事故増加に繋がるのか。
それは秋の日の入りの時間に起因しています。
9月から12月の大まかな日の入り時間をまとめた表がこちら。
9月は大体18時半、11月では大体17時15分くらい日の入りの時刻です。
この時間から前後1時間ほどが『薄暮時間』にあたるわけですが、これは一般的に多くの人が通勤や通学で移動する時間帯にバッティングしています。
下の警視庁が調べた薄暮時間における月別の死亡事故件数のグラフを見てみると、10月から12月にかけて件数が増えているのがわかります。
周囲の環境が見えづらくなる時間帯と人の往来が多くなる時間帯が重なる……そのため秋は事故が増えやすくなるのです。
事故を起こさないためにはどうすればいい?
では、事故を避けるためにはどうすればいいか。
一番簡単なのは、明るいうちに家に帰ること。当然ですが陽が沈む前に自宅に到着していれば、薄暮時間のリスクは回避することができます。
ただ、日の短い秋のツーリングではどうしても帰りが薄暮時間に重なってしまうこともありますよね。
そういった場合、周囲が見えづらくなってきたらまず速度を落としましょう。特に市街地では歩行者が横断していたり他の車両が飛び出してくる場合があるので、普段より一層周囲に気を配りましょう。また、あえて休憩を入れて、薄暮時間や人の通勤・通学のピーク時間をずらして帰宅する、というのもひとつの手かもしれません。
ただし、薄暮時間が終わっても夜になれば暗いので、慎重な運転を忘れずに!
『薄暮時間』以外でも秋ツーリングでは注意したいポイントがあります!
秋雨前線による気候変動
9月前半から10月前半には日本の南沿岸沿いに秋雨前線とよばれる停滞前線が発生し、雨が多くなります。梅雨に発生する梅雨前線と似ていますが、長続きせず始まりと終わりが曖昧なのが特徴。
この時期にツーリングを企画する際にはテレビやスマホアプリを駆使して、天気予報のこまめなチェックすることや、雨具の用意を忘れないようにしてください。
濃霧の発生
そして秋は濃霧が発生しやすい季節でもあります。
これは日中に比べ朝晩の気温がグッと下がることで空気中の水分が凝結することで発生し、特に雨が降った翌日の晴れた日には濃霧が発生しやすいので注意が必要。高山地帯や湖・川の周辺で起きやすいので、霧が出た際にはスピードを落とすなど安全な運転を心掛けましょう。
見えにくいからと言ってハイビームを使用すると光が拡散して逆に危険なため、ライトを点灯する際はロービームを使用しましょう。
落ち葉
秋が深まってくると、特に山間部では落ち葉が多くなります。
ブラインドコーナーの先に落ち葉が溜まっていることもあり危険なので、見通しの良くない道路では速度を十分に落とし、落ち葉はなるべく避けて通るか、通過する場合は急のつく動作を避け慎重に通り抜けた方が良いでしょう。
環境の変化に注意して秋のツーリングを楽しもう!
秋は気候的にバイクに適しておりツーリングがとても楽しい季節です。だけどここまで解説した通り、事故の要因となるものも多いのも事実。
薄暮時間のこともそうですが、夏から急激に環境が変化していくので、そこにだけはちょっと配慮しつつ、ライダーにとってのベストシーズンを楽しんでくださいね!
【文:石神邦比古(外部ライター)】