ヘルメットのメンテナンス(クリーンアップ)してますか?
バイクはたまに洗車するけど、ヘルメットは綺麗にしてないなあ・・・というライダーさんって意外と多いのではないでしょうか。
シールド外して、中性洗剤を薄めて拭いて…と、確かに面倒に思えるかもしれません。
「ウェットティッシュで拭いている」
「汚れたら雑巾で」
と適当に手入れしているなら要注意!
そのやり方、ヘルメットに優しくないかもしれませんよ。
ヘルメットの汚れ
一般的に、ヘルメットの外装やシールドを洗浄するときには「薄めた中性洗剤」を使用すると言われており、主に台所用洗剤やカーシャンプーなどが中性洗剤に該当しますが、実際に台所用洗剤でヘルメットについた汚れを取ろうとしても、思ったより汚れが落ちないと感じることがあります。
その原因は「汚れの質」です。
走行中に付く汚れは「排気ガス(スス)」「虫」「オイルや油」「ピッチ・タール」など、食器洗剤の洗浄力では落とせないようなものばかり。
そこで登場するのが多数の二輪用品メーカーから発売されているヘルメットクリーナーです。
その多くは「虫汚れに効く」「手垢を除去する」といった汚れ落としや、「小傷を消す」「光沢を与える」などの艶出し効果などを持っており、その作業性や仕上がりは食器用洗剤とは格段に違います。
自分の頭を守ってくれるヘルメットは、こだわって選んだお気に入りのライディングギア。
バイク同様ピカピカだったら、気分もアガること間違いナシ。
せっかくなら専用のクリーナーなどを使ってワンランク上の仕上がりを目指してみましょう。
艶ありヘルメットの場合
最初は程よく湿らせたマイクロファイバークロスで表面の汚れを軽く拭き取ります。(初手から乾拭きしたり強く擦ると傷の原因になるので注意)
続いてヘルメットクリーナーを使います。まず全体を見渡して、水拭きで落ちなかった汚れを見つけたら作業スタート。
湿らせたマイクロファイバークロスに適量を含ませてから、汚れの部分を優しく丁寧に揉むようにして落としていきましょう。
目立つ汚れが全部落ちたら、最後にヘルメット全体をクリーナーで軽く拭き上げて完成です。
綺麗になりました!
艶出し剤を含んだものであればワックスorコーティングされてギラギラの艶感も味わえます。
好みのクリーナーを使って綺麗に仕上げてください。
撮影に使用したヘルメット
▶「AVAND2」の詳細はこちら
艶消し塗装(マット塗装)ヘルメットの場合
最初に大事なことを言います。
コンパウンド入りのクリーナーは絶対NG!
コンパウンドで磨いたら最後、マット塗装の質感が簡単に失われてしまいます。最近はマット塗装専用クリーナーも登場していますが、クリーナーに研磨剤が入っているかどうかは必ずチェックしてください。
最初に水拭きするのは艶ありヘルメットと同じですが、マット塗装は強く擦るとクロス(タオル)の摩擦で艶が出てしまいますからとにかく優しく拭くことを心がけましょう。使用するものはマイクロファイバークロス。毛足が長く厚みのあるものを使いましょう。
まず全体の汚れをチェック。
次に適度に湿らせたマイクロファイバークロスで全体を優しく拭きます。すると・・・
見えなかった汚れが浮き上がってきました!マット塗装特有のザラザラ塗装面の影に隠れていたのです。
みて分かる通りこれは指紋、いわゆる「皮脂」です。この汚れ方だと薄めた中性洗剤だけで落とすのは正直厳しい。そして汚れを落とそうと強めに擦ってしまうと、間違いなく艶が出てしまう。
そこでヘルメットクリーナー(マット塗装専用品もあります)を使って落とすわけですが、できれば弱アルカリ性タイプのクリーナーを選んで使うことをお勧めします。アルカリには油汚れを分解する成分が入っているため、擦らずとも汚れを落とすことができるのです。
ちなみにマットタイプは塗装面がザラザラの凹凸形状をしているため、クリーナーを多めに使わないと汚れに浸透しません。
というわけでマイクロファイバークロスにクリーナーをたっぷりつけて優しく撫で拭きます。
クリーナーの洗浄効果で浮かせた汚れを、マイクロファイバークロスの極細繊維で掻き出すイメージです。
汚れが落ちにくい時の裏技炸裂!柔らかいブラシ(お勧めは豚毛ブラシ)にクリーナーをつけて汚れた部分をポンポンと叩くようにします。マイクロファイバークロスで掻き出せなかった汚れもこれでノックアウト。
最後に濡れたマイクロファイバークロスで拭き取ると・・・見事に汚れが落ちています。
続いては後頭部に付着していた、これまた何かをこぼしたような跡。
弱アルカリ系クリーナー&ブラシ叩き&マイクロファイバー拭き上げでご覧の通り。
部分洗浄が終わったら、全体をクリーナーで軽く拭き上げましょう。
作業終了。施工した私も驚くほど綺麗になりました。
オデコの指紋はかなり頑固でしたが、ブラシポンポンで見事に復活。
側頭部の液体っぽい汚れは弱アルカリ性クリーナーで簡単に落ちました。
艶消しヘルメットの汚れ落としは、水拭きだけでは汚れを分解洗浄できず基本的にクリーナーの洗浄力頼り。ゴシゴシ擦って落とすことができないため(艶が出てしまう)、こまめにヘルメットクリーナー等で綺麗にするしかありません。
また、マット塗装特有のザラザラな表面が汚れを目立たなくさせていますから、パッと見綺麗でも定期的にメンテナンスをした方が良い状態を保てるでしょう。
撮影に使用したヘルメット
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シールドのメンテナンス
シールドはポリカーボネート製で、強い強度を持ちながら、ガラスのような透明度を誇る高性能素材です。
耐衝撃性能は非常に高いのですが、だからと言って傷が付きにくい訳ではありません。乾いた硬い布やティッシュペーパーなどで拭けば、あっという間に擦り傷が付いて曇ってしまいます。
傷や曇りが発生したら、視界不良となり、ライディングにも悪影響を及ぼします。ヘルメット本体以上に慎重にメンテナンスを行いたいですね。
外して洗う
ヘルメットから取り外したら中性洗剤を少量溶かしたぬるま湯につけて洗います。曇り止めの「PINLOCKシールド」が付いている場合は必ず取り外してから作業を行いましょう。
洗うときはスポンジを使わず手のひらで優しく撫でるように汚れを落とします。
中性洗剤で落ちない汚れがあったら固形石鹸を手で泡立てて洗ってみましょう。固形石鹸は弱アルカリ性となっているため、油汚れを分解洗浄してくれます。
シールドにはアルカリ系の洗浄剤を使ってはダメ!と言われていると思いますが、弱アルカリ性であれば基本ポリカーボネートに影響はありません。洗い終わった後にしっかり濯いで、洗剤の付着がなければ安心して使ってもらってOKです。
洗いおわったら水滴が残らないようにマイクロファイバークロス等で水滴を拭き取ります。この時も綿のタオルやキッチンペーパーの使用は絶対NGです。
外さずに洗う
取り外しが面倒なら、シールド専用のクリーナーをかけてマイクロファイバークロスで拭き上げればOK。落としにくい虫汚れなどがある場合は弱アルカリ性クリーナーまたは虫汚れ専用のインセクトリムーバーを使って落とします。
ミラーシールドは傷が付きやすいため、心配な場合は水洗いだけに留めておきましょう。慣れてくればミラーシールドも上記のやり方で綺麗にすることができます。
また、曇り止めの「PINLOCK」シールドにはクリーナーは絶対NGです。くすみや曇りが発生してダメになる可能性がありますのでご注意を。
ヘルメットコーティング
お手入れを簡単にするならコーティング施工も検討したいところ。
1〜3年程度の耐久性を持つプロ仕様のガラスコーティングで3,000円〜10,000円程度となっており、新品購入時に施工できる店も増えています。
最近は自分で施工するタイプのガラス系コーティング剤も手軽で人気。コーティングスプレーを全体に塗り込むだけで撥水効果と艶感を楽しむことができ、虫汚れなども簡単に落とせるようになります。
手入れが面倒なマット塗装にコーティングを施せば、汚れがつきにくくなり、メンテナンス性が格段に向上します。使用する際には艶消し塗装対応品かをチェック。ヘタなクリーナーを使うと艶が出てしまったり、マットの質感を損ったりします。
個人的にはマット塗装こそ、コーティングをこまめに施工してほしいなと思います。
シールド撥水&曇り止め
シールドの撥水剤や曇り止めも併せて施工しておくと雨の日のライディングで視界を良好に保ってくれます。
せっかく綺麗にしたのならシールド曇り止めも塗っておきましょう。最近増えてきた曇り止め用のシールド「PINLOCK」を採用しているものにはもちろん曇り止めの塗布は不要です。
まとめ
最近のヘルメットは非常に高額になってきていますし、個性的なデザインのものが増えたことで選ぶ楽しさが増えました。
また、国産のヘルメットはほとんどが手作りで、職人さんたちが世界中のライダーのために心を込めて制作してくださっています。
自分のライディングスタイルを象徴するアイテムの一つと言っても良いヘルメット。
単なる道具として見るのではなく、定期的にメンテナンスを行って大切に扱ってもらえればと思います。