愛車をピカピカにしたい。
いつまでも新車のような輝きを維持したい。
そんな夢を叶えてくれるのが「ガラスコーティング」。
一度は耳にしたことがあるライダーさんも多いのでは?と思いますが、ここ数年で愛用者がグッと増えてきた「ガラスコーティング」の魅力とメンテナンス方法について少しお話ししたいと思います。
ガラスコーティングとは?
ざっくり言えばボディ表面をガラス皮膜で保護(コート)することで、艶感を増して撥水(雨や水を弾く力)効果を得られる施工のことです。
コーティングの歴史は1940年代に登場したワックスがスタート。天然カルナバ蝋(ロウ)を使ってボディ表面をツヤツヤに仕上げる施工で世界中にコーティング文化が広がりました。その後はポリマーコートやフッ素コートなど、より高性能なコーティング技術が登場し、近年では長期にわたって効果が持続するガラスコーティングが主流となっています。
ガラスコーティングは大きく分けて2種類
ガラスコーティングには車両販売店やショップなどで業者(プロ)に施工してもらうガラスコーティング(本格ガラスコーティング)と、用品店やホームセンターなどで販売されているスプレータイプのガラスコーティング(簡易ガラスコーティング/ガラス系コーティング)があります。名前は似ていますが、中身は全くの別物。
ここ最近、バイクの艶出しで主流になっている簡易ガラスコーティング(スプレータイプ)は、一本2,000円〜5,000円程度と入手しやすいだけでなく、使い方もシュッとしてサッと拭くだけと簡単なのが魅力的なアイテムです。
手軽に使える反面、効果の持続力は数週間〜半年程度となっており、定期的な再施工が必要になります。また、ガラスコーティングと呼ばれていますが、中身はガラス系成分を含んだ艶出し剤となっており、本物のガラスとはちょっと違います。
それに比べて硬いガラス皮膜を形成する本格ガラスコーティングは、業者やコースによって違いはあれど、数年間は艶と撥水の効果に期待できるのです。
本格ガラスコーティング解説
本格的なガラスコーティングは、ガラス成分を含んだ液体を車体表面に塗り、空気中の水分と化学反応を起こすことで強固な被膜を形成し、バイクのボディに艶を与えるコーティング剤です。(※コーティング方法の一例であり、コーティングの仕組みは施工業者やメーカーによって異なります)
艶のあるボディを長期間にわたって維持
分かりやすく言えば、表面に極薄のガラス膜を貼って塗装面を保護するイメージで、スマートフォンの画面にガラスフィルムを貼るイメージが近いかもしれません。皆さんご存知の通りガラスは非常に固く、熱に強く、そしてキラキラと美しい素材です。劣化が少なく耐久性が高いガラスによって、愛車は美しい状態を長期間維持することが可能になるのです。
耐久年数はおおよそ1年〜3年ほどですが、10年ほど効果を維持できる施工業者やメーカーもあるようです。
費用が高いのが唯一の弱点?
専門のスタッフが下地処理から施工、乾燥まで時間をかけて施工しますから費用が高額になりがちです。使用するコーティング剤のランクや施工店によって違いはありますが、1台当たり数万円〜場合によっては10万円以上かかることもあります。
傷や汚れの付いた中古車や、購入後にある程度使用したバイクだと、下地処理(傷落とし・汚れ落とし・錆おとし等)が必要になり、費用はさらに膨らむケースがあるのでご注意を。
バイクへの施工がオススメな理由
高い費用を払ってバイクへ施工した場合「やっててよかった!」と思う場面にいくつも遭遇します。具体的な例をあげてみましょう。
撥水する
水を弾いて流れ落ちる様子は見ていて気持ちが良いものです。撥水効果があれば、洗車後や雨天走行後の拭き取り作業も簡単になります。
汚れがつきにくい
水(無機物)と油(有機物)が馴染まないのと同様に、ガラス(無機物)に対しては油や虫汚れ(有機物)などが付着しにくくなります。さらに表面がスベスベつるつるになることと相まって強い「防汚効果」を得ることができるのです。
傷がつきにくくなる
硬度が高いガラス被膜で覆うことで、洗車時におけるスポンジの洗い傷や、ジャケットやジーパンなどが触れた際の擦り傷などがつきにくくなります。
エンジンやマフラーのキレイを維持できる
ガラスコーティングは耐熱性に優れているため、エンジンやマフラーなど高温になる場所も保護できます。
チェーンオイルなどで汚れやすいホイールのメンテが楽になる
洗浄が面倒な足回り(ホイール等)の油汚れがコーティング効果によって簡単に落とせるようになります。
錆防止
酸化しやすいボルトやアルミパーツなどを保護することで錆の発生を抑えることができます。
艶消し塗装にも施工できる
最近人気の艶消し塗装(マット塗装)に施工しても艶が出てしまうことなく施工が可能となっている場合がほとんどです。
ガラスコーティングは水洗いだけでOK?
ガラスコーティングは水で洗うだけでピカピカ!と言われることもありますが、実際にはメンテナンスが必要。泥・砂・埃などの汚れは水洗いだけでも落とせますが、油汚れや虫汚れなどは落としやすくなっているとはいえ、水だけでは簡単に落とせません。
汚れたらバイク用シャンプー(中性タイプ)を使った洗車が必要不可欠です。洗車をサボると汚れの種類によってはガラスコーティング皮膜を劣化させてしまう場合もありますのでご注意を。
また、傷がつきにくい高硬度のガラスコーティングとはいえ、その硬さはライディングジャケットのファスナー部(鉄)と同程度。砂埃(砂・石)に関してはガラスコーティングの2倍ほど硬い鉱物ですから、適当な手入れをしていたら傷だらけになってしまいます。
細かい傷が積み重なるとせっかくの艶感が損なわれますし、撥水効果も弱まってしまいますから、状況に応じて簡易ガラスコーティングスプレーなどでメンテナンスして、艶感や撥水力をアップすることを心がけてください。
※コーティングメンテナンスの方法は施工業者によって異なります。
ガラスコーティング最大の注意事項
色々話しましたが、ここが一番気をつけてほしいポイント!
風呂場や洗面所の鏡などに白いウロコ状の汚れを見たことありませんか?
このような汚れは「水染み」「雨ジミ」「イオンデポジット」などと呼ばれ、水道水(または井戸水)や雨水が蒸発した後、それらに含まれるカルシウムや塩素などのミネラル成分が固着した状態を指し、一度付着すると簡単に取り除くことができない特殊な汚れなのです。
さらに厄介なのが、この汚れはガラス成分と強く結びつく性質があることです。汚れが付きにくい理由を説明したときに、無機物と有機物は馴染まないとお伝えしましたが、逆に無機物(ガラス)と無機物(塩素やカルシウムなど)は同じ仲間ということで馴染みやすく、このウロコ汚れは塗装面(有機物)に付着した時よりもガラスコーティング(無機物)に付着した時の方が、より頑固にこびり付いてしまうのです。
これを取り除くには専用のクリーナーを使うか、プロにメンテしてもらわなければなりません。場合によっては高価なガラスコーティングを傷めることにも繋がりますので、発生しないように日頃から気をつけましょう。ガラスコーティングをしたからといって、メンテナンスの手間が減るわけではありません。むしろ気を使うことが増えると言うことも頭に入れておく必要があります。
雨に濡れたり洗車した後はしっかり水分を拭き取ることがガラスコーティングを護る一番の方法なのです。
ガラスコーティングをより長く楽しむ
いかがでしたか?
愛車をいつまでも綺麗な状態でキープしたいという欲求を叶えてくれるガラスコーティング。この記事を最後まで読んでいただいた方ならそのメリット・デメリットをわかっていただけたと思います。正しい知識を持ってメンテナンスをすれば、その輝きは永遠・・・とは言いませんが長く美しく保つことができるでしょう。
ガラスコーティングは「洗車する必要が無くなって楽になる方法」ではなく「新車に近い状態をできるだけ長く維持できる方法」だということを理解し、キラキラの愛車と楽しいバイクライフを過ごしてください。