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ライダーの『熱中症』は初期症状に注意!走っていると意外に気づきにくいんです!【バイクライフ・ステップアップ講座/熱中症の初期症状】【Safety】

夏のツーリングは爽快ですが、暑い中で直射日光を浴び続けているライダーが特に注意したいのが熱中症です。
今回はその対策として、熱中症になり始めの初期症状や、具合が悪くなる前の対処法を解説します。

バイクで走っていると気がつきにくい、熱中症の初期症状とは?

夏のライディングは風をたくさん浴びながら走れるから「涼しくて気持ち良さそう!」というイメージがあります。

確かに、風を受けながらの夏のツーリングは爽快で気持ちのいいものですが、同時に注意したいことは「熱中症」です。

バイクに乗っていると、自分ではこまめに休憩をとっているつもりでも、1〜2時間くらいなら平気で走り続けてしまう人もいるかもしれません。

けれどライダーは安全のためにヘルメットや長袖のライディングジャケットを身にまとっていますし、エンジンの熱や路面の照り返しなど、実は真夏のバイクツーリングではかなり過酷な環境下で走っていることになります。

だけどライダーの場合、大量に汗が出たとしても『夏だしバイクだし、そういうものでしょ?』と我慢してしまいがち。
その結果、熱中症のサインに気付くことが遅れやすい
んです。けれど自覚症状が現れる前に休憩することで、熱中症の危険は回避することができます。

それでは熱中症の症状とはどんなものなのでしょうか?

汗が引かなくなったら要注意! めまいや立ちくらみなどが起こる前に対処したい

熱中症で注意したいのは、ある程度進行するまで自覚症状がないことです。

地球温暖化の影響などで、真夏の最高気温が35℃を超えるような猛暑日が増えて来ていることもあり、バイクツーリングに限らず、熱中症対策は無視できない社会問題になっています。

ですから「自分は大丈夫でしょ!」と安易に判断せず、症状が現れる前に対処するのが肝心。

そんな熱中症の症状を、3つの段階に分けると下記のような症状が現れると言われています。

軽度の症状

●発汗 ●めまい ●立ちくらみ ●筋肉痛 など

軽度の症状に分類されるものでも、めまいや立ちくらみ、筋肉痛に似た症状などが現れます。
ですが、過酷な環境下で走るライダーにおいては、できればこれらの症状を感じる前に『そうならないよう』に対処していきたいというのが『ライダーの熱中症対策』とも言えます。

そこで気にしたいのは発汗量。

自分の感覚で『なんだか今日は汗がスゴいな』と感じたら、めまいや立ちくらみのような症状が出ていなくとも、一度休憩して軽く休む。そして、喉が渇いていなくても水分を補給する。それを『真夏特有のバイクでの走り方』として、心掛けておくことが重要なんです。

もちろん上記の初期症状を含め、身体に何らかの異変を感じたらすぐに『一度停まって休憩しつつ様子見する』ことが大事です。

中度の症状

●集中力&判断力の低下 ●頭痛 ●吐き気 ●倦怠感 ●虚脱感 など

中度の症状になると、集中力の低下や判断力の低下、頭痛や倦怠感などが現れると言われています。
このような症状を感じた場合は、すみやかに一度停まって、症状が治まるまでバイクに乗らないようにしましょう。

私は過去、高速道路を走行中に突如としてズキーンッ!と耳の奥に激痛が走ったことがあります。その時はすぐさまサービスエリアで休憩し、身体を休めて体温を下げるよう努力したところ、30分くらいで回復しました。それでもその30分間は、かなり身体的な不調を感じていたのを覚えています。みなさんもお気をつけください。

重度の症状

●体温の急上昇 ●歩行困難 ●言動不明 ●意識の喪失や痙攣 など

体温が上ったまま一向に下がらず、歩行が困難になるほど症状が進んだ場合は、重度の熱中症と言えます。
最悪の場合、意識の喪失や痙攣などが起こってしまう場合もあります。万が一、このような重度の症状が現れた場合は、非常に危険な状態と言えます。到底バイクを運転できる状態ではありません。場合によっては、直ちにツーリングを終了する決断をしましょう。

ライダーにとっての熱中症対策は、症状が出る前の段階から注意をはらうこと、あるいは初期症状のサインを見逃さないこと。
これに尽きます。

そして、その時に一旦、走るのをやめて『休憩する決断力』が重要。

先にも言いましたけど『バイクなんだから暑いのは仕方ない。こんなもんだろう』と思って、我慢してしまうことが何より良くないということを知っておいてください。

では、ここからは、軽度の熱中症にならないために適切な休憩の仕方を見ていきましょう。

安全で涼しいところに避難する

走行風を受けて走っているのにも関わらず、汗がまったく乾かないレベルでの発汗を続けてしまう場合は、もうその時点で休憩のタイミングが少し遅いと言えます。

特に夏は、走っている時間に関係なく特に疲れを感じていなくても、休憩の回数を多めにとりましょう。

直射日光を避けられる日陰などに退避して、15〜20分程度でもいいので、上着のライディングジャケットも脱いでクールダウンしてください。

保冷剤などで身体の太い血管がある場所を冷やす

日陰で休憩していても身体の暑さが引かない場合は、エアコンの効いた休憩所などで身体を休ませたいところです。

しかし、ツーリング先でそのような施設が近くにない場合は、脇や首など、太い血管が多い部分を冷やします。

市販の冷感スプレーやリフレッシュシートなどで身体を拭いたり、ヘルメットに冷却ジェルシートを貼ったりするのも効果的ですよ。

喉の渇きを感じる前から水分補給と塩分補給を心掛ける

そして何よりも夏に意識したいのは、こまめな水分補給です。極端な話『喉が渇いた』と感じていなくても水分を補給する意識を持ってください。

水分補給には基本的にスポーツドリンクやミネラルウォーター、お茶などで問題ありません。暑さによって身体に何らかの不調を感じた時は、最近はコンビニでも売っている「経口補水液」もオススメです。

経口補水液はスポーツドリンクなどよりもナトリウムなどの電解質濃度が高く、また水と電解質の吸収を速めるために糖濃度が低い設定になっているので、素早く必要な成分・水分を補給でき、脱水症状を抑えやすくなっています。

また、水分の摂取以外にも、暑さによる疲れを翌日に残さないようにするのも大切。

塩分やビタミン&クエン酸などを摂取できる飴やゼリーなどを水分補給にプラスして取り入れると、失われた栄養素を補うことができます。

いかがでしたか?

バイクにはクルマのように直射日光を避けられる室内や、体温を調節できるエアコンなどがありません。また、ソロで走ることも多いので、自分自身ですべて体調を管理しなければなりません。

つまるところ……

夏のツーリングは少し多めなくらいの休憩が正解。むしろ、休憩の回数がいちばん多くなるのが夏だと思っていてください。

暑さ対策と適度な休憩&水分補給をしっかり行って、夏もバイクを思いっきり楽しんでくださいね!

 

【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】

 

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