真夏に比べれば比較的過ごしやすい日が続く、5月中旬から6月後半の初夏のシーズン。
しかし、バイクの暑さ対策は梅雨入り前の初夏から「熱中症対策」に人一倍気をつけた方がいいんです!
「バイクの暑さ対策」は梅雨時期の前から準備しておきたい
春になるとバイクで走るのが特に気持ちの良い季節になりますが、それを過ぎると夏の暑さがやってきます。
寒い時期のバイクツーリングと暑い時期のバイクツーリングでは、着るものや持っていくものなどで違いはあるものの、気候に合わせた体温維持と安全性を考慮しなければならないのは1年を通して同じです。
開放的なこれからの季節はバイクツーリングの楽しさを倍増させてくれますが、初夏にかけて注意したいのが「熱中症対策」です。
熱中症予防なんて真夏のように暑くなってからでも良いのでは?と思うかもしれませんが、バイクの暑さ対策は5月後半の梅雨入り前くらいから準備しておいた方がいいんです。
5~6月くらいから紫外線がどんどん強くなる
7月や8月のような真夏の暑さではないものの、5月や6月の初夏から注意したいのが「紫外線」です。
気象庁の観測データによりますと、特に6月は、1年で一番紫外線の量が多いとされる7〜8月とほとんど変わらないくらいの太陽光が降り注いでいると言われています。
6月は曇の日や雨の日が多いので、真夏に比べると紫外線を感じにくい時期ではありますが、紫外線対策は初夏の段階から注意した方が良いのです。
バイクは直射日光などからの逃げ場が少ない
バイクは、暑かったら車内に駆け込めるクルマなどに比べると、絶えず直射日光を浴び続けることになる乗り物です。
ライディングウエアに身を包んではいるものの、生身の身体で乗っているのに変わりはありません。
走っている最中は紫外線や直射日光からの逃げ場がほとんどないので、そんなに疲れを感じていなくても適度に休憩して身体を休める必要があります。
特に5〜6月の初夏は、まだ身体が夏の暑さに慣れていないので、油断せずに多めの休憩をとるようにしましょう。
湿度が高くなると汗をかいても乾きにくくなる
高温多湿の日本では、初夏になってくると気温の上昇とともに「湿度」が高くなってきます。
紫外線や外気温以外にも、この湿度の高さが熱中症の危険度に大きく影響します。
人間の身体は暑い時期になると汗が蒸発する時の気化熱によって体温をコントロールするのですが、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、身体に熱がこもったままの状態になってしまうのです。
身体に熱がこもったままの状態が続くと(湿度で汗が気化できないのに)身体は大量の発汗を続けてしまい、筋肉痛や吐き気、倦怠感などの症状が現れ、最悪の場合、熱中症になってしまうのです。
夏ツーリングの「休憩」と「水分補給」は少し多めなくらいがちょうどいい
安全性や紫外線対策のためにも長袖のライディングウエアは必須ですから、太陽光や湿度で疲れを感じたら、大量に汗をかき始める前に休憩をとることをおススメします。
休憩の際には適度な水分補給を忘れずに取るようにしましょう。
水分補給にはスポーツドリンクやミネラルウォーター、お茶などで問題ありません。
だけど、暑さによって身体に何らかの不調を感じた時は「経口補水液」がオススメです。
経口補水液とは、体液とほぼ同じ浸透圧になっている水分で、吸収率や吸収速度が非常に高く“飲む点滴”とも呼ばれています。
経口補水液はスポーツドリンクなどよりもナトリウムなどの電解質濃度が高く、また水と電解質の吸収を速めるために糖濃度が低い設定になっているので、素早く必要な成分・水分を補給でき、脱水症状が抑えやすくなっています。
種類にもよりますが、緑茶などには微量ながらカフェインが入っているので利尿作用も高くなります。また、たくさん汗をかいた後にミネラルウォーター(水)だけを飲んでしまうと、体液中の塩分濃度が下がってしまい、摂取した水分を身体が吸収できていないまま、尿として排出されてしまいます。
そして、スポーツドリンクは糖分が多く含まれており酸性度も強い飲料なので、経口補水液に比べると体内の吸収度が鈍いです。
このため喉の渇きは潤っても、脱水症状を抑えることが難しくなってしまうのです。
経口補水液はドラッグストアで見かけることが多いですが、最近は真夏になるとコンビニでも販売されるようになりました。
たくさん汗をかくような時期のツーリングには、万が一の備えのひとつとして経口補水液も持っておくと安心です。
元気な時に飲んでも美味しいと感じる飲み物ではありませんが、暑さで身体が不調になった時に飲むと、やけに美味しく感じます。
ちなみに経口補水液は『一気にゴクゴク飲む』のはNGで、『ちょっとずつ飲む』のが正しい飲み方なので覚えておいてください。
これからやってくる真夏のツーリングでは、寒い時期よりも多めの休憩と、適度な水分補給が何より重要! 暑さ対策を万全にして快適なバイクライフを楽しんでくださいね!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】