秋はバイクで走るのが気持ちいい絶好のツーリングシーズン！しかし同時に、これからの季節は標高の高低差による「寒暖差」と、道路の交通規制が行われる「冬季閉鎖」にも気をつけたいところです……

標高の高い山岳エリアは冬の訪れもひと足はやい

極端な暑さに苦しむこともなくなり、バイクツーリングが最も快適なシーズンがやってきました。

紅葉ツーリングに秋の味覚、焚き火が気持ちいいキャンプツーリングなど、この時期ならではの楽しみは沢山あります。みなさんも本格的な冬の到来の前に、走っておきたいところへバイクで訪れてみてはどうでしょうか。

お気に入りのライディングウェアを着て、極端な暑さや寒さを感じずに快適に走れる季節は、一年を通して考えてみるととても貴重なタイミング。まさに今が絶好のツーリングシーズンとも言えます。

しかしながら、近年の秋はどんどん短くなっているように感じられ、夏の極端な暑さが落ち着いたのも束の間、気がつけば急激に寒くなっていた、なんてこともしばしばあります。

そこで今回は、これからの時期のツーリングに知っておきたい、秋の急激な「寒暖差」と交通規制による「冬季閉鎖」について解説します。

近年の秋ツーリングはより一層「寒暖差」を意識した備えを忘れずに！

秋は紅葉やワインディングなどを楽しむために、標高の高い山岳ルートへ走りに行くことも多いと思います。

しかし、これからの時期のツーリングは、出発前の平地の気温と高低差のある場所での気温差が特に大きくなってくる場合があります。

例えば、気温は一般的に「標高が100m上がると約0.６℃下がる」とも言われ、海抜0mの場所との気温差は単純計算のイメージですが標高1,000mのエリアでー6℃、標高2,000mともなればー12℃も低くなると思っておいた方がよいでしょう。

それに天気予報や予想気温などは事前に調べられても、刻々と変わる気象条件や外気温などは、やはりその場所に行ってみないと実際には分かりません。

バイクツーリングは長時間の走行風による身体の冷えや、標高差による温度変化がつきものです。出発時点はいつものライディングウェアで平気でも、エリアや環境が変わる場所へ行くことで予想以上の寒さや冷えを感じる場合があります。

そんな思いがけない気温差に備えて、これからの時期のツーリングにはコンパクトに折りたためるウインドブレーカーやインナーダウンなどの防寒具を追加で持っていくのがオススメです。

ツーリング先でのアウトドア環境下において、ライダーの体温を維持・調節できるのは、基本的に“着るもの”でしか解決できませんからね。

もし、ウインドブレーカーなど「備えとして持ってきた防寒具」を着ても更に寒さを感じる場合は、雨が降っていなくても「レインウェアを防寒具として着る」ことで寒さを防ぐという方法も有効です。

特にこれからのシーズンは、雨が降りそうな天気予報でなくともツーリングにレインウェアを“備えとして”持っていくことがオススメ。現に筆者の私もレインウェアを着て寒さを凌いだことが何度もありますし、遠方へツーリングへ行くときは雨予報でなくともレインウェアを必ず持って行くようになりました。

日本を代表する絶景ロードは概ね11月上旬ごろから「冬季閉鎖」が始まります

これからの秋冬シーズンでは、寒暖差による急激な気温差と合わせて注意したいのが標高が高いツーリングルートの「冬季閉鎖」です。

“冬季閉鎖”と聞くと、真冬に路面の凍結や雪が降るような地域で主に行なわれているようなイメージですが、特に標高が1,000m以上になる道路や地域によっては、早いところで11月上旬ごろからバイクやクルマが通行できなくなる道も出てきます。

ですから、これからの秋冬シーズンは、出発前にツーリングで走る予定の道が冬季閉鎖や通行止めになっていないかを事前に調べてから向かうのがオススメ。

ワインディングが楽しめる山岳ルートへ向かってみたものの、走りたかった道が思いがけず通行止めになっていて、残念ながら引き返すハメに…… なんてことはできるだけ回避したいものです。

出発前は快適な気温でも、ツーリング先の標高の高いエリアでは“冬の訪れがひと足早い”と心得ておきましょう。

ここからは秋の終わりごろから冬季閉鎖される全国の有名スカイラインをご紹介します。

11月上旬ごろから冬季閉鎖されるスカイライン

岩手県：八幡平アスピーテライン

• 【青森県】津軽岩木スカイライン
• 【秋田県・岩手県】八幡平アスピーテライン
• 【秋田県・山形県】 鳥海ブルーライン
• 【宮城県・山形県】 蔵王エコーライン
• 【福島県】磐梯吾妻レークライン・西吾妻スカイバレー

11月中旬ごろから冬季閉鎖されるスカイライン

長野県：志賀草津高原道路（国道292号）

• 【福島県】磐梯吾妻スカイライン
• 【静岡県】富士山スカイライン
• 【群馬県・長野県】志賀草津高原道路（国道292号）

11月下旬ごろから冬季閉鎖されるスカイライン

長野県：ビーナスライン

• 【長野県】ビーナスライン
• 【長野県】御岳スカイライン
• 【岐阜県・滋賀県】伊吹山ドライブウェイ
• 【高知県】瓶ヶ森線（UFOライン）

12月上旬ごろから冬季閉鎖されるスカイライン

愛媛県・高知県：石鎚スカイライン

• 【愛媛県・高知県】四国カルスト公園縦断線
• 【愛媛県・高知県】石鎚スカイライン
• 【和歌山県】高野龍神スカイライン
• 【鳥取県】大山環状道路

これらの有名スカイラインは秋の終わりから春先まで冬季閉鎖に入ってしまいます。

紅葉ツーリングや今シーズンの走り納めとして、これらのスカイラインや名道へ向かう場合は、事前に道路交通情報や観光協会などに確認してみましょう。

秋のツーリングを堪能しよう！

そうは言っても、秋はツーリングのベストシーズンと言えるほどに素晴らしい魅力がたくさんあります。

走るだけではなく、紅葉や秋の味覚などこの時期にしか味わえない体験もできますから、変わりつつある環境の変化を楽しみながら、今シーズンも秋ツーリングを安全に楽しんでくださいね！

【文：岩瀬孝昌（外部ライター）】