原付に乗り始めたばかりの人にとって二段階右折はもっとも混乱しがちなルールのひとつです。通常の右折、いわゆる小回り右折とは方法が異なり、交差点でいったん直進してから進行方向を変えるという、独特の動きが必要になります。なぜ原付だけがこの動きになるのか、どのような場所で行なうのかを正しく理解することで、安全に右折でき、違反を防ぐことにもつながります。
二段階右折が生まれた歴史=安全のために導入されたルール

原付に二段階右折が導入されたのは、交通量の増加と交差点事故が増えはじめた1986年(昭和61年)のこと。「道路交通法の一部を改正する法律」(昭和60年法律第87号)による道路交通法の改正により原付の保護を図るため、多通行帯道路などにおいて二段階右折が義務付けられたのです。原付は車体が小さく、加速性能も高くないため、当時、普通の右折車線に混ざるとクルマから見落とされるリスクが高かったのです。
そこで、原付が交差点で安全に右折できるよう『右折レーンには入らず、交差点を直進し、対向側で向きを変えて右折する』という方式が定められたのです。今回はこの二段階右折に関して深掘りしていきます。
二段階右折を“しなければならない”状況とは?
二段階右折は、どんな交差点でもしなければならないわけではありません。以下の条件を満たす場合に義務づけられています。
① 交差点に『二段階右折の標識』がある場合

このような標識(原付のアイコンと矢印)が設置されている交差点では、必ず二段階右折を行なう必要があります。
② 片側三車線以上の交差点

信号機などで交通整理が行なわれている片側三車線以上ある道路では、原付は右折レーンからの小回り右折ができません。そのため、二段階右折の標識がなくても二段階右折をする必要があります。
二段階右折を“しなくてもいい”状況とは?
『原付=二段階右折をしなければならない』わけではありません。以下の状況であれば、通常の小回り右折をすればOKです。
① 片側二車線以下の交差点

片側二車線以下の道路であれば二段階右折をする必要はありません。通常の小回り右折をすることができます。また、片側三車線以上の道路であっても信号のない交差点や警察官によって交通整理が行なわれている交差点であれば二段階右折は不要です。
②二段階右折禁止の標識が設置されている

信号機などで交通整理が行なわれている片側三車線以上ある道路であっても「二段階右折禁止」の標識がある場合は、二段階右折をする必要はありません。右折レーンに入って、十分注意を払って右折しましょう。
③ 片側三車線の道路で「ト型」の交差点
片側3車線の道路でも直進と右折しかできない「ト型」の交差点でも、二段階右折をしなければなりません。そういった場所には信号が変わるまで安全に待機していられる場所=原付用の待機スペースが設けられていることもあります。ただし、待機スペースがない場所では手前に二段階右折禁止の標識が設置されていることもあるので、その場合には小回り右折をします。その際、右折レーンに入るときは他の車両との速度差を考え、後方の車両に十分注意するようにしてください。写真のような待機スペースがあるか、二段階右折禁止の標識がないかを、走りながら素早く確認するようにしましょう。
実際の二段階右折の手順:覚えておくべき4ステップ
1)車道の左端を直進する

交差点に向かうときは、必ず左端の走行位置をキープします。右折レーンに入ってしまうと違反になります。
2)交差点をまっすぐ渡る

右折方向には曲がらず、交差点手前で右ウインカーを出しながら直進して反対側へ渡ります。
3)渡り終わったら左端で停止し向きを変える

反対側の横断歩道を越えたあたりで、安全を確認してから停車し、右折したい方向へ車体を向けます。その後ウインカーを消し、当初右折して行きたかった方向の信号が青になるのを待ちます。
4)信号が青になったら発進する

進行方向の信号が青になったら、ゆっくり発進して走行します。
走るときの注意点:事故を防ぐために意識したいポイント
① 周囲のクルマに自車の存在をアピール
直進するタイミングはとくに注意が必要です。後続車に原付が見落とされたり、先行車が急に左ウインカーを出して左折して巻き込まれる可能性があるからです。とくに左折レーンから直進する場合は気をつけましょう。早めの合図と速度調整が重要になります。
② 停止位置を間違えない

渡り終えたあと、横断歩道の上や歩道に乗り上げて停止すると歩行者の妨げになります。そうならないことと、直進する四輪に巻き込まれない、青い丸印のあたりに停車しましょう。また、すべての道路で同じ状況とは限らないので、状況に合わせて調整してください。
二段階右折にまつわる罰則規定

原付で二段階右折をしなければならない交差点において小回りで右折してしまった場合は『右左折方法違反』で、1点の行政処分と3,000円の反則金を払わなければなりません。また、逆に二段階右折禁止の交差点で二段階右折をした場合も同様『右左折方法違反』となります。
ちなみに現実には二段階右折をする必要のある交差点で小回り右折をした場合は、右左折方法違反だけでなく、本来大回りでまず直進してから方向を変え、次にその正面の信号に従って走らなければならなかったので『信号無視』が加わってしまいます。同じ場所での取締りは違反の重い方で処理されるので、信号無視の行政処分の加点が2点、反則金が6,000円となってしまいます。
しっかりと二段階右折が必要/不要を理解すること。そのうえでルールに即して走行すれば問題ありません。
原付以外のバイクは二段階右折をしてもいいのか?

結論からいうと、原付以外の二輪は二段階右折をする必要はありません。原付二種・中型・大型バイクは右折レーンに入り、車と同じルートで小回り右折できます。
たとえば原付二種(父)と原付(息子)とで 一緒に走りその途中で原付の二段階右折が必要な交差点があったとします、原付二種に乗るお父さんが息子さん(原付)に付き合って二段階右折(小回りすべきところを大回り)をするとお父さんが『右左折方法違反』となってしまいますので注意してください。
まとめ:二段階右折は『守らされるルール』ではなく『安全を守るための仕組み』

原付は車体が小さく、加速性能も原付以上の二輪や四輪ほど高くありません。だからこそ、通常の右折レーンに入ると事故のリスクが跳ね上がります。二段階右折は、原付が安全に交差点を渡るために設けられた大事な仕組みです。
正しい手順を理解し、落ち着いて行なえば、二段階右折は決して難しくありません。原付を乗るうえでの『安全運転の基本』として、しっかり覚えておきましょう。























