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原付二種相当のEVスクーター『CUV e: 』ってどんなバイク? 足つき性や航続距離など実際に触れて「わかったこと」を解説します!【Hondaバイク資料室/CUV e:(2025)】

2025年6月に発売された原付二種相当のEVスクーター『CUV e: 』の装備解説に加えて、実際に跨ってみての感想など「基本となる情報」をお伝えします!

Honda CUV e:(2025)

Hondaが「2050年カーボンニュートラル社会の実現」に向けた取り組みの一環として進めている二輪車の電動化。その歴史は1994年の『CUV-ES』からはじまり、2025年の今日までに蓄積されたHondaの知見と開発技術を結集して生み出されたのが、原付二種(ガソリンエンジン車 50cc~124cc相当)クラスの新型EVスクーター『CUV e: 』となります。

CUV e: の車名は『Clean Urban Vehicle e: 』の頭文字から命名されており、ひと目でEVとわかる先進的なスタイリングと日常生活での扱いやすさ、電動ならではの力強さを併せ持った新世代コミューターとして2025年6月に新発売されました。

スタイリングのコンセプトは『Simplicity and Emotion』となっており、シンプルさが生む先進の美しさを目指しています。

動力源として、着脱可能なリチウムイオンバッテリー『Honda Mobile Power Pack e: 』を2個搭載し、96VのEVシステムを採用。使用方法にもよりますが、フル充電時の最大航続距離はメーター上の表示でRange(距離)74kmとなっていました。発進や加速、停止など日常生活の走行パターンを考慮した国際的な燃費値であるWMTCモード(クラス1)における計測では、新型『CUV e: 』の航続距離は最大79.8km(※欧州届出値)となっており、日常生活において十分な航続距離を確保しています。

CUV e: は電動スクーターでありながら、これまでのガソリンエンジンのスクーターから乗り換えても違和感をほとんど感じることがないのが大きな特徴。車両重量も120kgにまで抑えられているため、実際に運転してみた感覚として「EVならではネガティブ」を感じるシーンは一切ありませんでした。

実際の購入時には補助金なども入るためコスパ面でも既存のスクーターに引けをとらず、乗り始めてすぐに日常生活に溶け込む使い勝手の良さと柔軟性、動力性能を確保することに成功。Hondaが総力を結集して開発した最新のEVスクーターとして、過去のEVスクーターとは比較にならない完成度の高さを誇る次世代のシティコミューターとなっています。

■メーカー希望小売価格:528,000円(10%消費税込み)※メーカー希望小売価格は車両本体200,200円/バッテリーHonda Mobile Power Pack e: 108,900円×2個/充電器Honda Power Pack Charger e: 55,000円×2個の合計額となります。

CUV e: の乗車姿勢や足つき性は?

CUV e: に身長176cmの男性が跨った場合、背筋がまっすぐと伸び、肘や膝の曲がりにもゆとりのある快適な姿勢をとることができました。

走行中に足を置くフットスペースを軸に、シート上での「座る位置」を体格に合わせて前後に調整することで、幅広い体格にフィットする乗車姿勢となっています。シートの座り心地も十分に快適なクッション性が確保されており、街乗り程度の乗車時間でお尻に痛みを感じることはまずないでしょう。

また、シート下にバッテリーを搭載しながらもシート高は766mmの低さにまで抑えられており、これまでのガソリンエンジン車と同程度の足つき性の良さを確保しています。

そのため両足はカカトまでべったりと接地して安心感は十分。車両重量も120kgにまで抑えられているので、日本人の標準的な体格の男性であれば、足つき性に大きな不安を感じることはないと思います。

また、EVらしい機構のひとつとして、後進をアシストする「リバースモード」が備わっているため、手狭な場所や傾斜地などでライダーの負担を軽減することができます。このリバースモードを使いこなせば、小柄な体格の女性でも取り回しに苦労するシーンが減るだろうと感じました。

CUV e: は1回の充電でどれくらい走れる?

CUV e: は走行時にリチウムイオンバッテリー『Honda Mobile Power Pack e: 』を2個、使用します。

1回の充電で走れる距離は60km/h定地走行テスト値(1名乗車)で57km。定値走行テストよりも現実の走行距離に近いWMTCモード(クラス1)計測では最大79.8km(※欧州届出値)となっています。バッテリー残量や航続可能距離はメーターに表示されるので安心して走ることが可能です。

最寄り駅までの通勤やちょっとした買い物などには十分な航続距離を確保され、充電時間はバッテリー残量ゼロから満充電まで約6時間となっています。※充電時間はHonda Mobile Power Pack e: の状態、充電時の環境、車両、整備などの諸条件により異なります。

CUV e: の主要装備を解説

新開発モーターは定格出力0.98kWで、最大出力6.0kW。馬力に換算すると8.2馬力相当の最大出力となります。しかしながら電動モーターらしく最大トルクは22N・mを発生するため、その力強さはガソリンエンジン車を大きく上回ります。一般的な125ccスクーターの最大トルクを12N・m程度と考えると、CUV e: の22N・mがいかにパワフルかを想像することができるはずです。

しかし、走行時に感じる加速フィーリングに乱暴さは皆無。スムーズかつ伸びやかでありながら、低振動で快適な走りを楽しむことができます。

また、走行シーンや運転者の好みに合わせてライディングモードを「誰もが安心して扱えるSTANDARDモード」「力強い加速と鋭いスロットルレスポンスを楽しめるSPORTモード」「出力を抑え、航続距離を伸ばせるECONモード」の3種類から選ぶことが可能。

利便性だけでなく「バイクで走る楽しみ」も味わえるのはCUV e: の魅力のひとつです。

ブレーキはコンビブレーキを採用。左ブレーキレバー(後輪ブレーキ)をかけると前輪ブレーキにもほどよく制動力が配分される前後連動ブレーキとなっています。街中でのゆとりのある運転をサポートしてくれます。

試験的にCUV e: 試乗会の会場内でフロントブレーキを中心に急制動をかけてみましたが、車体の動きに乱れは生じず、安定したブレーキングが可能でした。

CUV e: の大きな特徴のひとつとして、大型7.0インチTFTフルカラー液晶メーターをBluetoothでスマートフォンと連携させられる「Honda RoadSync Duo(ロードシンク・デュオ)」の搭載があります。

車両の状態を常に監視し、メーター上に多彩な情報表示が可能なだけでなく、「Honda RoadSync Duo」との連携によって大画面でのナビゲーション機能のほか、ヘルメットのヘッドセットと連携させれば通話や音楽も楽しむことも可能となります。

シティコミューターにここまでの先進装備が搭載されることは珍しく、CUV e: の大きな魅力のひとつということができます。また無線通信を介してソフトウェアが常にアップデートされるというのも見逃せないトピックスです。

CUV e: のヘッドライトやライン状のポジションランプ、テールランプ、ウインカーなど灯火類はすべてLEDとなっており、夜間走行時の視認性・被視認性にも貢献。同時にデザイン面でも最先端EVならではのスマートさを感じることができます。

CUV e: はスマートキーを採用しているため、エンジンの始動時などにキーを取り出す必要はありません。停車から発進、施錠までが圧倒的にスムーズに行えるので、この便利さに慣れてしまうともう戻れなくなります……。

キー側の操作でウインカーが点滅するアンサーバック機能も搭載。愛車の駐車位置を見失う心配も軽減されます。ちなみにスクーター定番のコンビニフックもしっかり装備。先進のEVでありながら実用面にも抜かりはありません。

フロント左側にはプッシュ式で開閉可能なリッド付きインナーボックスを装備。ボックス内にはUSB Type-Cソケットが配されているのでボックス内に収納したスマートフォンや電子機器類を充電することが可能です。

座る位置の前後の自由度が高いシートはシート高を766mmの低さまで抑えつつも、快適な座り心地を両立。足つき性と快適性に貢献しています。

CUV e: は原付二種クラスとなるため、タンデム走行を楽しむことができるのも特徴のひとつ。後席の座面も広く確保されているのでパッセンジャーも快適なクルージングを満喫することが可能です。

シートの後部にはタンデム時のグラブバーを兼ねた頑丈な大型キャリアを標準装備。このままでの十分な積載力を発揮しますが、純正アクセサリーパーツのトップボックスを装着することでCUV e: のシティコミューターとしての利便性は飛躍的に向上します。

純正トップボックスの容量は35L。トップボックスの開閉や脱着をアナログのキーで行うタイプと、スマートキー連動により、ボックス取付ベース下のスイッチでボックスの解錠が可能です。純正トップボックスの詳細や取り付けに必要となる部品は『HondaGO BIKE GEAR』にて確認してみてください。

【HondaGO BIKE GEAR/CUV e: 】

https://hondago-bikegear.jp/bike/detail/CUVe_2025

【文/北岡博樹(外部ライター)】

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