脇さんはビックバイクに長く乗り続けてきたライダーです。ところがここ数年はカブに夢中。
最初はスーパーカブ90に乗っていましたが、日本中を旅するためにクロスカブ110に乗り換えたところ。「クロスカブ110の魅力を語るなら任せてくださいよ」なんて笑いながら言うくらい惚れ込んでいる様子です。
そんな脇さんにカブ遍歴と現在の愛車クロスカブ110について語ってもらうことにしました。
林道に行くためにカブを買ってみたら……
脇さんは元々古いビックバイクに乗っていました。
所属するツーリングチームの人たちとレースに参戦したり、ツーリングに出かけていたのだと言います。
ところがあるとき、チーム内でカブを使った林道ツーリングが流行りだします。
ちょっとした林道でもカブで行くと大冒険になったります。
これが面白いということでどんどんカブに乗るメンバーが増えて、脇さんもスーパーカブ90の中古車を購入。
この頃は毎月のように皆でカブの林道ツーリングを楽しんでいたそうです。
カブ旅の楽しさにはまる
カブの楽しさを知った脇さんですが、興味の対象は林道からツーリングへと移っていきました。
「カブでツーリングに行ったら、ビックバイクとはぜんぜん違う楽しさがあったんです。」
高速道路には乗れなかったけれど、そこにもまた新たな発見がありました。
「ビックバイクのときは、目的地まで高速道路を使って移動してしまうでしょう?でもその途中には素晴らしい道がたくさんあることに気付かされました。カブでそういう道を走るのが最高に楽しかったんです。」
「昔からの幼馴染み2人にも無理やりカブを買わせました(笑)。2人ともバイクから長く遠ざかっていたけど、カブだったらそんなリターンライダでも不安なく走れるし、スキルがぜんぜん違うライダーが集まって走ってもストレスがない。乗りやすいから誰が乗ってもペースがあんまり変わらないんですよね。」
それからは3台で日本中をツーリングすることになります。
「ビックバイクのときと違って人が優しいんですよ。色々な人が話しかけてくれる。ビックバイクに乗っていた頃はオレ達が怖そうな格好に見えたのかもしれません(笑)。ナンバーを見て『そんな遠くからカブで来たの?』って驚かれることも多いです。カブのデザインって、日本人の頭の中に身近な乗り物として刷り込まれているのかもしれませんね。」
スーパーカブ90を満喫した脇さんは、ロングツーリングが増えたことをキッカケにクロスカブ110へと乗り換えることにします。
クロスカブ110、一択だった
脇さんは買い替えのとき、クロスカブ110しか考えていなかったと言います。
「CT125・ハンターカブが人気だったから『なんでハンターカブにしないの?』と良く言われました。でもオレは最初からクロスカブ110しか考えていませんでした。クロスカブ110のほうが軽くてコンパクトだしキャストホイールを履いているからです。」
脇さんのツーリングはハードで一気に400kmくらい走ることも少なくありません。
これだけ長く走れば釘などを踏んでパンクすることもあります。ローカルな道を走ると色々なモノが路肩に落ちていたりするからです。
チューブタイヤだとホイールを外してパンク修理をする必要があります。旅先でトラブルが出ると修理担当は脇さん。
手慣れてはいますが、パンク修理をするとなれば30分程度は時間をロスします。
「ツーリングで地方に行ったら、皆で地元の美味いものを食べて酒を飲むのが楽しみなんです。でもパンクするとその時間がなくなってしまう。それがとても嫌だったからキャストホイールは絶対でした。キャストでチューブレスタイヤなら釘を踏んだとしても簡単に空気は抜けないし修理も簡単ですから」
「幼馴染みたちも同時にクロスカブ110に買い替えさせました(笑)。一緒に走る誰かがパンクしたら一緒ですからね。」
ビックバイクのときはカスタムやチューニングを色々とやってきた脇さんですが、クロスカブ110についてはツーリングに使うためのボックスを取り付けたのみ。
これ以外手をいれるつもりはないのだと言います。
「周囲の人達に受け入れてもらえるのがカブの魅力ですから音もスタイルもノーマルの優しいところを崩したくないんです。一緒に走っている仲間も誰一人としてマフラーを交換していません。」
クロスカブ110の性能に大満足
クロスカブ110は昔乗っていたスーパーカブ90に比べて色々な部分が進化していました。
「パワーもあるし、振動が少ないから高速域で走るときは楽ですね。前のカブもパワーはけっこうあったけど幹線道路などを走るとスムーズさがまったく違います。」
エンジンの造形も気に入っているところ。
「最近のモデルになってエンジンの造形が変わったじゃないですか。シリンダーフィンの感じとかすごく美しいと思います。」
ツーリングで重要な燃費もアップしました。
「幹線道路を走ると回し気味になるから前のカブは40km/Lくらいしか走らないこともありました。でもクロスカブ110はどんな使い方をしても60km/Lくらい走ります。タンク容量はそんなに大きくないけど150kmから170kmくらいは無理なく走れるので長距離のツーリングが楽になりました。」
オンロードの乗り心地も良く、オフロードの走破性も向上していると言います。
「サスペンションはいいですよ。フロントフォークがテレスコピックだし前後サスのストロークが長めになっているから。前のボトムリンク式のサスペンションも好きでしたけどね。」
ディスクブレーキで制動力も高くなっているのもありがたい点。
コーナーリング性能も満足できるものでした。
「地方に行くとカブにピッタリの道がたくさんあります。そういうところを走るのが本当に楽しくなるハンドリングです。」
「これが最高!」と絶賛するのはシート。
「古いカブだと150kmくらい走ったところでお尻が痛くなったりしたんです。でもこのクロスカブ110だと400kmくらい走ってもなんでもない。実はこのシートにずい分前から惚れ込んでいて、前に乗っていたカブにもこのシートをつけていたくらいです。」
もうカブからは離れられない
脇さんは多くの人にカブの素晴らしさを知って欲しいと言います。
「この楽しさを知らないなんてもったいない。一度カブで出かけたらバイクの世界観が変わるんじゃないかと思います。」
長い休みは必ずカブ仲間とツーリングに行く脇さん。
次の休みには知覧の特攻記念館を含め、九州の南をツーリングする予定で準備の真っ最中。
これからもクラスカブ110との濃密な時間が続いていきそうです。
【文/後藤武(外部ライター)】