寒い時期は路面温度が低くてタイヤがグリップしない、というのは何となく聞いたことがあると思います。でも実感なんて湧きませんよね……
今回はそれを実際に経験した時のことをお話します。後学のために是非どうぞ!
気温&路面温度が低い時に『それ』は突然やってくる
バイクに乗るって楽しいですよね! 寒い時期はちょっと厳しいところもあるけれど、それでも『走りたい!』って思う人は私(北岡)も含めてたくさんいると思います。
そんな元気なライダーに、今回はちょっとだけ『経験者』として注意喚起!
これ、何年か前の私の実体験なんですが……
みなさんも『冷えてるタイヤはグリップしない』とか『冬の路面、特に朝晩は気をつけたほうがいい』みたいな話は聞いたことがあると思います。
だけど実際には、どれくらい寒いとそうなるのか……なんて想像がつかないですよね。私もそうでした。
でも『それ』は突然、何の前触れもなく起こるんです。
私の場合はいつも通る道の、どこにでもある普通の交差点での出来事でした。時間は朝 6時くらいで真冬1月の早朝、外気温は1度くらい。
それが起こる前には『今日は寒いから横断歩道の白線とか気を付けないとな……』なんて考えていた矢先の出来事です。いつものように、いつもの道を、特にスピードを出す訳でもなく右折しようとしてバイクを傾けたところ……
フッとバイクが軽くなったような気がした次の瞬間には、ガシャン!? と転んでいました。ここで「フッとバイクが軽くなったような……」と言っていますが、実際にそれは転んだ後で『あの時、そういえば……』と思い返しての感想。体感としては違和感を感じたと思ったら、もう転んでいたと言うほうが近いです。
しかも交差点内の『なにもないところ』でいきなり、でした。道路の白線やマンホールなどわかりやすい危険は意識していたし、走り慣れた道で“いつもは大丈夫”だったのに……
幸いにして、と言うか早朝で交通量も少なく、交差点内でスピードも出ていなかったため、特に怪我などはありませんでした。でも、お気に入りのバイクウェアは上下とも破れちゃったし、大事なバイクもそれなりのダメージ(右折だったので特にマフラーが残念なことに)で、何より気持ち的にガックリと落ち込みました。
今にして思えば……ですが、右折の際にいつもより直立状態から『急』にバイクを寝かせようとしたかもしれません。でもここで誤解してほしくないのは『バイクを深くバンクさせたから転んだのではない』ということ。車体を寝かせ始めてすぐに前輪がグリップを失った、という印象でした。履いていたタイヤは特にハイグリップということもなく、冷間時にも安定して性能を発揮できるオールマイティな銘柄。路面凍結などもありません。
でも、いきなり転んだんです。
この経験から私が学んだのはふたつ。
ひとつは『運転技術うんぬんで回避できるものじゃない』ということ。そして『予測ができない』ということです。
なので、私のように『いきなり転倒!』を経験しないためにできることは、ただひとつ!
気を付けること。具体的な方策ではないので申し訳ないのですが、本当にそれしかないと感じています。
路面が冷えている環境では『そうは言っても大丈夫でしょ? いつも大丈夫だし!』と油断しないことです。これはバイク初心者の人に限った話じゃありません。むしろ、ある程度バイクに慣れている人の方が気を付けてほしいと思います。
でも冒頭で言ったとおり『冬でもバイクはやっぱり楽しい!』ですから、恐れてばかりでは楽しむものも楽しめません。冬だからこその楽しさもありますしね!
だからみなさん、冬もガンガン走ってバイクを全力で楽しみましょう! 私もバリバリ走ります!
でもそのときに『路面が冷えていると前触れもなく転ぶことがある』というのを、頭の片隅で良いので覚えておいてください。その意識を持つこと自体が、きっと何よりも『楽しい冬のバイクライフ』を安全に支えてくれるはずですから!
【文/北岡博樹(外部ライター)】