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ライダー必読の知識!?標識マニアが語るディープな矢印標識の世界【Safety】

バイクで走っていると色々な標識を目にします。
そんな道路標識の魅力に取りつかれてしまったのが大学生の山﨑賀功さんです。

道路標識マニアとして様々なメディアに登場している山﨑さんが、数ある標識の中でも魅力的だと言うのが矢印標識です。
今回は山﨑さんに矢印標識についてうかがいながら、ライダーがどのように矢印標識を見ていけば良いのかなどを紹介していきたいと思います。

矢印標識はかっこいい

矢印標識は道路の状況や交通規則などによって形を様々に変えます。
山﨑さんはこういった理由から特に矢印標識に魅せられるようになっていきました。

「たまたま家の近くにものすごく複雑な矢印標識があって、その標識に一目惚れしたんです。変わった矢印標識のことを私は〝異形矢印標識〞と名付けて、そこに特化していくようになりました。矢印標識こそが私の追い求めているものだと思っています」

「矢印標識は〝生命体〞みたいなものが形状を変えながら頑張っているみたいな風に見えて……カッコイイというか可愛らしさも感じるんです。私にとっては愛らしい存在ですね。もっと色々な標識を見てみたいと思うようになって、全国を旅するようになりました」

これは山﨑さんが運営する「道路標識は面白い」のWebサイトです。
道路標識に関して山﨑さんが撮影してきたことなどが詳しく紹介されています。

個性的な異型矢印標識

ここからは山﨑さんが撮影してきた個性的な矢印標識を紹介していくことにしましょう。

ちなみに矢印標識には地方色が強く現れるようです。

「交通量や道路の複雑さというのも多少は関係していると思うんですが、東京よりも神奈川の方が個性的な矢印標識が多かったりするので、たぶんそれぞれの都道府県警察の考えが大きいのだと思います」

独自に進化した矢印標識

異形矢印が同じ場所に3種類集まっているのは、山﨑さんが知る限り全国で2箇所しかないのだそうです。
これはそのひとつ。

「トラックの通行できる道路と、平日朝のスクールゾーン、時間指定の一方通行を示しています。よく見ると矢印の形や進む方向も少しずつ全部違っているんです。混沌とした感じがものすごく面白いと思います」

進行方向を示す数が多い矢印標識もあります。

「矢印の分子が最も多いのは7方向です。この標識は6方向ですが右方向の分子数が密集していてアバラ骨のようになっています。造形的に奇妙な感じが面白いですね」

矢印の方向が他と異なるものもあります。

「まるで“地面に潜れ”と言っているかのように矢印が下を向いた矢印標識です。細い道から斜め左手前方向へ曲がることを意味しています。一般的に一番下が元の位置になるので本来なら時計方向に60度ほど回転させた状態になるはずなんですが、このような向きになったのは右方向に行けないことを強調したかったからではないかと思います」

矢印の形が変わっているものもあります。

「Uターンと右折できることを示している標識です。線が細いので槍のような矢印になっていますが、これは進む方向が多いので線を細くして見やすくしようと考えたためではないかと思います」

駅のロータリー入り口に設置された矢印標識です。

「ロータリーの丸がすべて再現されているだけでなく、3つ目の交差点までが一枚に集約しています」

進化版矢印標識が多い県は?

異形矢印標識に×印などを組み合わせた進化版が多く見られるのは宮城県と佐賀県だそうです。

「×印の色や形は決まっていないので白や赤の×印 が組み合わされることがあるんです」

これは徳島県にある矢印標識。

「侵入禁止の表示が組み込まれているめずらしい矢印標識ですが、現在この標識は進入禁止がない通常の矢印標識に置き換えられたようです」

これは佐賀県の矢印標識。

「進めない方向を赤矢印で示している標識で、かなり特殊な例です。オーバーな言い方をするとこれを見つけたときは前代未聞という感じでした(笑)」

地域ごと色々な工夫がされているので、ツーリング先で変わった矢印標識を探すのも楽しそうですが、最近ではこういった変種も少しずつ減ってきているようです。

標識マニア一番のお気に入り

日本各地の矢印標識を追いかけてきた山﨑さんが最も気に入っているというのがこの矢印標識です。

「見た感じのバランスが良くて美しいですよね。それに線の太さなどを変えていることで、色々な情報を1枚の道路標識に分かりやすく集約させた機能美も感じます」

最近では矢印標識の本も出版されて大きな反響があるようです。

バイクで走っているときは、目に入ってきた標識を短時間で理解しなければなりません。
そのため「あれ、どう行けば良いんだろう」と判断に迷うと思わぬ事故につながる恐れもあります。
自身が走行するルートを事前に地図などで確認し、慌てず・焦らずの走行や時には安全なところに停止することも心がけ、標識の理解を深めればよりバイクでのお出かけも楽しく、安全なものになります。

【文/後藤武(外部ライター)】

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