バイクに乗る上で事故のリスクはできるだけ下げておきたいもの。
自分が事故に合う可能性は安全運転によって軽減できますが、他のライダーが事故をしている状況に遭遇した際、どういった行動が正しいでしょうか…。
ここでは、もしバイク事故に遭遇した際にできることと、命を守る確率を上げるライダーのファーストエイドについて解説していきます。
場合によっては順序や手順が変わる場合もありますが、いざという時の参考に頂けましたら幸いです。
今回の内容は動画でも解説していますので、より詳しく知りたい方は動画も併せてご覧ください。
バイク事故に遭遇した際の対応
バイク事故に遭遇した際、まずは自分の車両を安全な場所へ停車、移動させ、安全を確保しましょう。
適切ではない場所に車両を停めてしまうと、救護中に後ろから追突されてしまう危険性があるため、自分の安全を守るといった意味でも車両を路肩など安全な場所へ移動させます。
次に負傷したライダーを救護します。
その際、負傷者のバイクのエンジンを切り、周りに助けを呼べる人がいた場合は声をかけて助けを呼ぶようにしましょう。
不安でどうしたらわからないときはまず119番へ通報して救急車を呼びます。
この時、負傷者の状況や具体的な場所を伝えられるとベストです。医療従事者からの指示を仰いでください。
後は救急車の到着を待ちますが、後続車や対向車に轢かれないように他の車に自分たちがいることをアピールしましょう。
次に負傷者のバイクの引き起こしについてです。
先述しましたが、まずはバイクのエンジンをオフにします。
車体右側に倒れている場合は左側のサイドスタンドを出しておきます。
引き起こす際にはバイクと体を密着させ、腕の力ではなく足腰の力で車体を引き起こします。
引き起こしができたら車体を安全な場所へ移動させます。
状況によっては無理に動かさず、バイクはキーオフで倒れたままにしておいて、救急、警察の到着を待ちましょう。
負傷者の移動
次に負傷者の移動について。
負傷者が動けそうな場合は安全な場所への移動をサポートしましょう。
負傷者が動けない場合は安全な場所へ移動させる必要があります。
移動させるべきか迷う場合は119番通報をした際に、医療従事者の判断を仰ぐようにしましょう。
動けない負傷者を移動させる場合、負傷者の背中側から自分の腕を脇の下へ入れてしっかり体を密着させ、一歩ずつ後ろに下がって移動させましょう。
次に正確に負傷者の状況・体調を把握するため、負傷者のヘルメットを脱がしていきます。
脱がせ方は負傷者の首や頭に負担がかからないようにアゴ紐を横に思い切り広げてゆっくり脱がせていきます。
ここまでの流れはツーリングに出かける際の基本的注意事項をまとめた『ツーリングワンポイントアドバイス』にも記載されています。
事故に遭遇した際は率先して行えるように参考にしてください。
また動画でもより詳しく解説しているので、こちらもぜひ御覧ください。
命を守る確率を上げるファーストエイド
意識がある場合
安全確保、119番への通報を行った後は負傷者の意識の確認を行います。
負傷者に意識がある場合、「大丈夫ですか?」「お名前言えますか?」「もうすぐ救急車が来ます」など声掛けしながら様子を伺います。
意識がない場合
次に負傷者に意識がない場合、まずは呼吸の確認をします。
自分の顔を負傷者の口元に近づけ、息を確認します。
救護者側の目線は負傷者の胸の上が目安です。
呼吸がある場合は緊急度はそれほど高くありませんが、そのままにすると舌で気道を塞いでしまう「舌根沈下」という症状が起こってしまう危険性があるため、気道の確保を行う必要があります。
気道確保の方法は負傷者を仰向けに寝かせ、負傷者のおでこを手のひらで押さえ、同時にもう片方の手でアゴ先を上に引き上げます。
こうすることで舌が持ち上がり、気道の確保ができます。
意識・呼吸がない or 死戦期呼吸をしている場合
次に、意識も呼吸もない場合、その場合は「胸骨圧迫」が必要になります。
またリズムがバラバラでしゃくりあげるいびきのような呼吸「死戦期呼吸」をしている場合も同様に胸骨圧迫が必要です。
胸骨圧迫の詳しい方法、AEDの使い方については動画でわかりやすく説明しているのでこちらを御覧ください。
止血について
次に負傷者から血が出ていた場合の止血について。
方法はいくつかありますが、ここでは「直接圧迫止血法」という基本的な止血方法を説明していきます。
この方法は負傷者の患部を圧迫することで血を止める方法です。
患部を清潔にして布などをかぶせ、その上から力強く押して、この状態を5〜15分維持していきます。
血が止まれば完了、止まらなければ医療従事者に指示を仰いでください。
あなたの行動が命を繋ぐかもしれない
より詳しく応急救護を学びたい場合は、日本赤十字社や消防署などで講習を行っているので、そちらもご活用ください。
応急救護はあくまで救急隊員が到着するまで命を繋ぐための措置です。
特に、初めての場合は戸惑うこともあるかもしれませんが、勇気を持って行動に移していただければ、負傷者の命を繋ぎ止められるかもしれません。
いざというときに備えて正しい方法を知っておきましょう。
また、万が一のバイク事故に遭遇した際の対処方法も紹介している「安全で楽しいグループツーリングのワンポイントアドバイス(PDF)」もご参考にしてみてください。
【文/佐藤快(外部ライター)】