キャンプグッズ選びの中でも、特に慎重に選びたいのが『寝袋(シュラフ)』。キャンプの夜にしっかり眠れるかどうかはシュラフ選びにかかっているんです!
たくさんの種類がある寝袋(シュラフ)はどれを選んだらいいの?
お気に入りのテントを見つけたら、次に選びたいのが『寝袋(シュラフ)』です。
そして、キャンプグッズ選びの中でも、シュラフは特に慎重に選びたいものになります。
せっかく楽しいキャンプも、夜にしっかり寝られなかったら辛い思い出が残ってしまいますからね。
今では1000円くらいから買えるものもあれば、何万円もするものまで、種類も価格も様々です。
では、キャンプツーリングを快適に過ごすにはどんなシュラフを選べばよいのでしょうか?
シュラフの形は『封筒型』と『マミー型』の2種類がある
まずはシュラフの種類から見ていきましょう。たくさんあるように思えるシュラフの形は大きく分けて2種類しかないんです。
【いろいろな使い方ができる封筒型】
長方形の形をしていて長いファスナーが備わっているのが「封筒型」シュラフです
一般的な封筒型シュラフはジッパーでフル開閉でき、グランドシートのような使い方もできます。
また、ファスナーを別のシュラフと連結させて「大きな布団」のような使い方もできるので、家族みんなで寝るようなファミリーキャンプにも向いています。
首元が密閉されていないので保温性はマミー型シュラフに劣りますが、様々な使い方ができます。
【暖かくソロキャンプ向きのマミー型】
ミイラを意味する“マミー”から名付けられた「マミー型」シュラフ。
頭の部分までスッポリ入ることができるので、保温性に優れているのが特徴です。
登山やツーリングなど、より本格的に楽しむアウトドア派に向いています。
保温性が高く、冬場もキャンプをするという通年キャンパーはマミー型を選ぶと良いでしょう。
シュラフ内の素材は「化繊」と「ダウン」どっちがいいの?
シュラフの内部に入れられている素材は、主に上の写真の2種類に分かれます。
ポリエステルやナイロンなどの合成繊維でできた素材が「化学繊維タイプ」、グースやアヒルなどの鳥の羽毛を使用しているものが「ダウンタイプ」です。
一般的に化繊素材のシュラフは低価格で、自宅で洗えるほどメンテナンス性にも優れています。
一方、ダウン素材のシュラフは高額で、洗いにくいデリケートな素材と言われてきました。
しかし、最近は洗えるダウンや低価格な羽毛素材のものも増えてきたので、使い勝手の差はあまり無いと言って良いでしょう。
一番異なるのは「サイズ感」や「重さ」が違ってきます。
素材の違いによる『収納サイズ』と『重さ』のサイズ比
上の写真はモンベル製シュラフの「化繊」と「ダウン」の、ほぼ『同スペック』のものをセレクトしました。
“同スペック”とは、サイズや価格帯ではなく、後に紹介する「対応温度」がほぼ同じものを対比させています。
温かさのレベルは同じでも、サイズや重さはダウンタイプより化繊タイプの方が1.5〜2倍近く大きくなってしまいます。
しかし、価格はダウンの方が2倍ほど高額になってしまいます。
それぞれ一長一短ありますが、バイクに積載できる荷物に限りがあるキャンプツーリングでは、できるだけコンパクトなものを選びたいですね。
ここに注目!シュラフの温かさを示す「対応温度」の見分け方
さて、シュラフの形や素材の違い以外にも特にチェックしたいのが、そのシュラフの「対応温度」です。
モンベル製のシュラフを例にとって見てみると、写真の「ISO TESTED」の部分に「T Comfort 0℃/33F」…など、何やら温度のようなものが記載されています。
「0℃は摂氏」「33°Fは華氏」を指していて、これがそのシュラフがどのくらいの温度下で使用可能なのかをレベル別にテストしたものです。
ブランドによって表記や書き方は異なりますが、ほどんどのシュラフには概ね「対応温度」が明記されています。
モンベルのシュラフは「EN13537」と呼ばれる『ヨーロッパ規格』で表記されています。
モンベルの定番シュラフ「ダウンハガー 800 ♯2」を例にとって見てみましょう。
【コンフォート温度 0℃】一般的に代謝が低く、寒さに対応する耐性が低い人がリラックスした体勢で寒さを感じることなく睡眠できる温度
【リミット温度 -6℃】一般的に代謝が高く、寒さに対する耐性が高い人が寝袋の中で丸まった状態で寒さを感じることなく睡眠できる温度
【エクストリーム温度 -20℃】一般的に代謝が低く、寒さに対応する耐性が低い人が寝袋の中で丸まった状態で寒さを感じ、震えを伴いながら6時間まで持ちこたえられる温度
…ということになります。
なんとなく理解できたような、できないような感じですが、寒さの感じ方は人それぞれ違いますから、3段階のレベルで対応温度が表記されているのです。
また、天気予報などでそのエリアの最低気温などは把握できますが、実際にはその場所の標高差だったり、体感温度などは結構異なりますから、あくまでも参考の数値として捉えた方が良いですね。
ちなみに、これはあくまでも筆者の経験上の話ですが、外気温がマイナス15℃以下だった場所でキャンプした時、エクストリーム温度値がマイナス20℃のシュラフを持っていきましたが、シュラフだけでは寒くて寝られませんでした(笑)。
個人的には真ん中の『リミット温度』を参考にして、その季節や時期に持っていくシュラフをセレクトしています。
だけど、絶対に寒いのはイヤ!という場合は『コンフォート温度』を参考にするのが良いでしょう。
まずは3シーズン用のシュラフから選びたい
シュラフはキャンプ道具の中でも一番お金をかけた方がいいアイテムだと思います。
極寒のキャンプツーリングへ出かけたいツワモノライダーは別ですが、最初のシュラフ選びは、春夏秋に対応した「3シーズン用」がオススメです。
シュラフはテントに次いで高額なものですが、対応温度をしっかりクリアしているシュラフなら、キャンプの状況下でもぐっすり眠れるようになりますよ!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】