2021年4月に発売された空冷単気筒エンジン搭載のロードスポーツ『GB350』が大人気です！ 車検のある400ccクラスのバイクなのに、ここまで売れてる理由ってなんだ？
バイクの魅力はスペックだけじゃない
GB350は今のHondaのラインアップの中で見ても、いちばんシンプルなバイクだと言っていいと思う。
完全空冷の単気筒エンジンを搭載したパッケージには、煌びやかな先進装備で完全武装されている訳でもなく、スペックだって言ってしまえば普通。逆に、エンジンの最高出力19馬力なんて『あまりパワーの無いバイクなの？』と思ってしまうくらい……。
だけど、実際にGB350に乗ってみると『パワーが無い』なんてことは全然思わないんです。
クラッチをつなぐとフワっと車体が軽くなるような感覚で、滑るように走り出すGB350。単気筒350ccのエンジンと聞いて、スタートダッシュから荒々しく加速するような走りをイメージするかもしれないけど、実際は真逆で、包み込まれるような安心感を感じることができます。
GB350は『自由であること』を楽しむためのバイクで、懐古主義的なバイクじゃありません。だけどその走りの質感の中には、往年の名車たちが持つ上質感を想起させるものがあって、それがとてつもなく心地いい。テイスティなバイクが好きな人なら、走り始めてすぐにヘルメットの中で笑顔がこぼれることは間違いないと思います……実際に私（北岡）もそうなりましたし。
GB350の排気量は先にも言ったとおり350cc。当たり前のことだけど、車検があるバイクです。だけどGB350の魅力の前にはそんなこと関係ない。事実として、多くのバイク乗りたちがそう判断した結果が、好調な販売として表れたんでしょう。
GB350が人気の理由はなんだ？
じゃあ、なんでここまでGB350が支持されているのか？
その理由はひとつじゃありません。というか、たくさんありすぎる……ただ、その中でもまず特筆したいのが『スタイル』です。
今の時代は新しいものがどんどん生み出されるので、数年経ったらもう『古くさい』となってしまうことは、バイクに限らず珍しいことじゃありません。だけどGB350というバイクのスタイリングには普遍性というか『モーターサイクルとしての王道』といった趣があって、流行廃りに流されない。移り変わりが激しい世の中だからこそ、飽きずに、変わらない魅力を感じることができることは大きな魅力だと思います。
だけど、GB350は古めかしいバイクじゃなくて、前後独立制御のABSや意図せず後輪がスリップしてしまった時にエンジントルクを制御するHonda セレクタブル トルク コントロール（HSTC）も搭載。現代の最新バイクとして安全に楽しく走れる配慮もなされています。もちろん電子制御も万能じゃないけど、万が一のセーフティがあるのはけっこう大事なこと。大人としてはやっぱり『安心して走れる』のも重要なんです。
大好きなバイクで、それを不安なく楽しめる。そして、走り出すたびに新鮮な気持ちで愛車と向き合える。見た目と安全性への配慮、という2点だけでも既に魅力的……ですが！
それらを踏まえたうえで、GB350は空冷単気筒エンジンによる走りの味わいが素晴らしすぎる……
続編ではその『走りの魅力』について、再発見したことをお伝えしたいと思います！
続編はこちら！
【文／北岡博樹（外部ライター）】
