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どっちが好き? 空冷シングル『GB350』と『GB350S』の走りはどう違う?【ホンダの道は1日にしてならず/試乗インプレ GB350シリーズ比較編】

排気量348ccの空冷単気筒エンジンを搭載したHondaの大人気ロードスポーツGB350シリーズ。スタンダードとスポーティー仕様の『S』で迷っている人は参考までにどうぞ!

バイク選びにおいて重要なこと

2022年4月の発売から一躍Hondaの人気モデルへと躍り出たGB350シリーズだけに、このバイクをこれから『欲しい!』と狙っている人はたくさんいると思います。でもそこでスタンダードのGB350とスポーティー仕様の『S』は何がどう違うんだろう?と気になってしまうかもしれません。

ただ、基本的な前提として言っておきたいのは『愛車選びは何かと比べるものじゃない』ということ。

大事なのは自分がそのバイクをとことん愛せるかどうか、です。

だからもし、見た目として『こっちのほうが好き』というのが決まっているのであれば、個人的にはそちらを選ぶべきだと思います。自分が一番カッコいいと思えるバイクを選ぶこと。まずはそれが幸せバイクライフの第一歩だと信じていますので。

だがしかしっ!

そう言われても、気になるものは気になる、というのがバイク乗りの人情というもの。そこで今回は主にワインディングでの走りを中心に、両車の違いをお伝えしていきたいと思います。

ワインディングでの走りは大きく違う

HondaがスタンダードのGB350よりも『スポーティーなモデル』としてラインアップしているだけに、両車の違いとして最も大きなものは当然ワインディングでの走りです。

でもこれ、一概にどっちが正解!というものじゃありません。あくまで好み、あるいは趣味嗜好の問題だと思います。

GB350

まずスタンダードのGB350の走りなんですが、こちらは基本的にスムーズ&ソフト。でもここで誤解してほしくないのが、スタンダードのGB350じゃワインディングが楽しめないっていう訳じゃないことです。

それと言うのも、私(北岡)の感覚だとGB350の走りのフィーリングはかなり好みに近いものがあるから。

GB350の走りは、実を言うと『S』よりも軽快感があるんです。

GB350

その違いを生み出すのはスタンダードが『S』よりも細いリアタイヤを履いていること。そして『S』よりも上半身が起きたアップライトな乗車姿勢だということの2点。

細いリアタイヤは見た目に頼りなく感じるかもしれませんが、正直なところGB350シリーズの走りを受け止めるぶんにはスタンダードのタイヤ幅で十分。グリップ力が不足するなんてことはありません。そのうえで細いリアタイヤはバイクが軽快に動かせるというメリットがありますし、そこに加えて後輪への荷重が若干高くなるライディングポジションによって、ヒラヒラとコーナーを駆け抜けていくことができます。

ただし、ステップ位置やマフラーの違いなどによって許容できるバンク角には限界がある。その限界を引き上げてあるのが『GB350S』になるんです。

GB350S

まったく同じ環境で2台を走らせてみると、その違いは想像以上に大きく感じられます。

わかりやすく言うとスタンダードのGB350で『このあたりがちょうどいいかな?』と感じるラインで走っても、同じ環境でGB350Sはバンク角にぜんぜん余裕が残されてる。そこから1歩どころか2~3歩くらい奥へと踏み込めそう……走りにもこだわりたい人にとって、この違いは大きいはずです。

そして、走っている間のライダーへのフィードバック。GB350Sは、そこがスタンダードよりもダイレクトに感じられます。

GB350S

スタンダートよりも低いハンドル位置とスポーティな走りに対応するステップ位置は、コーナリング中にライダーが積極的に安定感を作り出すような走りかたまでサポート。

シート高は2台ともに同じ800mmなこともあり、乗車姿勢の違いによってフロントタイヤへの荷重が激増し! といったような違いはそれほど大きく感じませんが、スポーティなライディングフォームが取りやすいことで、車体がホールドしやすく、車体を傾けている間のバイクとの一体感は『S』に軍配があがります。

そして両車ともにコーナリングでは前後サスペンションの動き、引いては車体の姿勢をどうコントロールしてやるか? が走りの焦点になってくるんですけど、バイクをホールドしやすく、太いリアタイヤで走りにしっかり感がある『S』はライダーが感じられる情報が多い。だから『次にどうするか』の判断を乗り手がより素早くジャッジメントすることができます。

ただ正直なところ、この『走りのキャパシティ』の違いに関して、どちらが自分にしっくりくるかは、今回の私のように同じ環境で乗り比べでもしてみないとわからない部分だと思います。

突き詰めてこだわる人であれば、HondaGO BIKE RENTALなどを利用してお気に入りのワインディングで自ら違いを体感してみるのが最善でしょう。

だけど! 基本は最初に言ったとおり!

愛車選びのいちばん大事な基準は『そのバイクを自分がとことん愛せるかどうか』です。

実際に2台を乗り比べてみて私が最終的に感じているのは、それぞれに違った面白さがあるバイクだな!ということ。

でもそれって当然のこと。だって、GB350シリーズは懐古主義のバイクじゃない、最新の『Hondaのロードスポーツ』なんですからネ!

【文/北岡博樹(外部ライター)】

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