エンジンを停止した状態でのバイクの押し引きって、けっこう難しいですよね。
でもそれが上手にできると『スマートなライダー』っぽくてカッコいいですよ?
バイクを降りた状態での押し引きにはコツがある
高速道路のサービスエリアや旅先の施設でバイクを停めるとき、なんだかんだで必要になるのが『エンジンを止めた状態でのバイクの押し引き』です。
でもこれ、初心者ライダーにはけっこう難しいんですよね。特にバックなんて、バイクを倒してしまいそうで怖い・・・
バイクは軽量な250ccでも重量にして150kg以上あるのが一般的。タイヤがついているとは言え、そんな重い物を押し引きするんですから不安があって当然です。
だけど、ちょっとした“コツ”で不安は大きく軽減できる! 今回はその『押し引きのコツ』にフォーカスします。
まず知識として。
理屈の上で話をするなら、バイクは『完全に直立している状態』であれば、その重量はほとんど地面に掛かりますから、写真のように片手で支えることだってできます。
つまり、直立に近い状態であれば、ライダーはわずかな力でバイクを支えることができるんです。
そして逆に、バイクが傾くほど、車体を支えるのにパワーが必要になります。
そこでまず重要なのが、バイクを少しだけ自分側に傾けて『燃料タンクのあたりを腰に当てて支える』こと。
腕の力じゃなくて、自分の体重を使ってバイクを支えるイメージです。
この状態だと両手を離しても全然平気。少なくとも、バイクを支えていることに不安を感じることはまずありません。
そこから前にバイクを押していくのですが・・・
この時、腕の力と脚力だけで押そうと思うと、かなり大変!完全な筋力勝負になります。
だけど先に言った『バイクを腰に当てて支えている状態』から、自分の身体を前のめり気味に傾けていくと・・・バイクは自然に前に進んでいってくれるんです。
なるべく腕力に頼らない意識を持って、自分の体重を使ってバイクを押す。腕ではなく『腰で押す』ようなイメージだと思ってください。
バイクは重いので『腰で押す』が上手くできたとしても、少しはパワーも必要なります。
だけど、腕の力だけに頼っているよりも断然ラクになることは間違いなし。
ただし、こういうのはある程度『感覚を身体で覚える』ことがどうしても必要。
ツーリングに出た先で、ぶっつけ本番ですぐできるとは限りませんから、休日の空いた時間などにちょっと『練習』してみましょう!
後日、絶対に役立つこと間違いなしッ!!
前に進むよりも、バックが難関!
そして! バイクの押し引きは、前に進むよりもバックのほうが断然、難しい!
だけど困ったことに、駐車スペースからの出し入れなど、バックのほうが必要になるシーンが多いんですよね。
基本は前に進む時と同じなのですが、バックの場合は先に言った『腰で支える』ができないケースが多いので、前進よりも難易度が高いように感じるのが普通だと思います。
前身の時と同じように、すこしバイクを自分側に傾け、ハンドルとシートを持って車体を支えます。
まずはバイクを動かさずに、このカタチで『なるべくラクにバイクを支えていられる状態』を探ってみてください。
腕力に頼らないようにできるだけバイクを直立させつつ、でも不安が無い程度には自分側に車体を傾ける。このポイントを身体が覚えることが、バック上達の第一歩です。
そして、そこから身体を進行方向に倒していくんです。基本は前進の時と一緒。腕力で押すのではなく、後ろに向けて体重を掛けていくイメージが近いと思います。
ヒジも真っ直ぐに伸ばして、シートを支える右手に体重をのせていく。
バイクが倒れないように左右のバランスが取れている状態で、体重を使ってバイクを押すと、予想以上に力を使うことなくバックすることができるようになります。
バックも前進と同じく、というか前進以上に『ちょっと練習してみる』のが効果的。
『自分とバイクがバランスするポイント』を身体に覚えさせる。
ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、時間のある時に『押し引きの練習』をしてみるのは、実はかなりおすすめです。
ちなみに『ハンドルを切った状態』でバックをしようとすると、難易度がいきなり上がるのでご注意を。
まずは『真っ直ぐバック』が不安なくできるように専念する。最初はそれでOKです。
また、どうしても不安な場合は、腕力&脚力のパワー勝負になりますけど『ハンドルを両手で持って』『腰でバイクを支えて』『脚の力でバックする』という選択も間違いではありません。
その場合は腰の位置を意識的に低くして、足をがっちりと踏ん張れるようにしてください。慣れないうちは、このほうが安心できるかもしれません。ちょっと疲れますけどネ(笑)
250ccのバイクだってエンジン停止状態で押し引きするのは、それなりに重くて大変です。もしそれが重量級の大型バイクともなれば、その苦労は想像以上。
だけど『腕力になるべく頼らない押し引き』を身につけていれば、その負担は大きく軽減することが可能です。
それに、バイクの取り回しが上手い人って、周囲から見ていてもカッコいい!
仲間から一目置かれるスマートライダーを目指して、ちょっとでいいから『バイクの押し引き』は練習してみてください。それは必ず、あなたのバイクライフの中で役立つはずですから!
【文/北岡博樹(外部ライター)】