バイクを運転するには様々なパーツを連携させながら操作する必要があります。
混乱しないためにも、それぞれの役割を理解して、安心して運転できるように項目を絞って解説していきましょう。
前回の『操作に関する部分』に引き続き、7つの重要なバイク各部の名称と役割を解説します。
バイクを動かすために必要な各部の名称と役割って?
バイクを動かすには様々なパーツを動かし、両手、両足の全て使って運転する乗り物なので、最初は色々と戸惑うこともありますが、まずは教習所に行く前のレベルで覚えておきたい項目(中級編)をお届けします。
前回の【初級編】はこちら
前回はバイクを操作する(走らせる)ために必要な7つのパーツを紹介しましたが、今回はCB400 Super Fourを使って、バイクが動くメカニズムを把握しておくために覚えておきたいパーツを7つに絞って解説していきたいと思います。
①ラジエーター
水冷エンジンのバイクに搭載されている四角い窓のようなカタチをしたパーツが「ラジエーター」です。
空冷エンジンは基本的に走行風を直接エンジンの外側に当てることによってエンジンを冷却していますが、水冷エンジンはクーラント液(LLC/ロングライフクーラント)と呼ばれる“冷却用の水”をエンジン内に循環させることでエンジンを冷やす構造になっています。
このクーラント液には水温が100℃に上昇しても沸騰しない特殊な液体が使用され、エンジン内の熱を吸収し、高温になった冷却水がこのラジエーターに戻り、走行風などで再び冷やされてエンジン内を循環しています。
水冷エンジンは高温になりやすい高回転型・高出力のスポーツバイクはもちろん、排気ガスをクリーンにするための熱管理にも有効なので現在では主流となりつつあります。
②スイングアーム
車体のフレームとリアタイヤ、さらにはリアサスペンションの3点を繋いでいるパーツが「スイングアーム(リアアーム)」です。
走行中に路面から受ける衝撃は、タイヤと上下するスイングアームを通じて、サスペンションによって吸収されています。
駆動輪となるバイクのリアタイヤは、地面の僅かな凹凸などがあっても、しっかりと路面を捉えて走らなければなりませんので、非常に重要なパーツとなります。このスイングアームの完成度によってライダーが感じる後輪の接地感、もしくは走っている時の安心感に大きく差が出ます。
そのため、走りにこだわったバイクには軽量・高剛性なアルミ素材のスイングアームが採用されています。
③インストゥルメントパネル(メーターパネル)
バイクの走行中でも確認しやすい位置にあり、速度計やエンジン回転数、距離計や時計など様々なインジケーターが見られるのが「インストゥルメントパネル(メーターパネル)」です。
速度を示す「スピードメーター」や、エンジンの回転数を示す「タコメーター」の他にも、「時計」や「燃料計」「距離計」など、走るにあたって必要な情報を把握するためのパーツとなります。
最近では、今、ギアが何速になっているかを示してくれる「ギアポジションインジケーター」や概算燃費を計算してくれる「燃料消費率」、バッテリー電圧を表示してくれるモードなど、様々な情報を確認できるモデルが増えています。
ちなみにメーターは、ただ情報を表示するだけでなく、バイクに乗るたびにそれを見るため「オーナーの満足感」に大きく影響するパーツでもあります。
④燃料タンク
バイクを走らせるために必要なガソリンを入れておくためのパーツが「燃料タンク」です。
車種によって入れられるガソリン容量も様々ですが、容量のほか、バイクにおいてはデザインの要ともなり“見た目も重要なパーツ”でもあります。
また、スポーティーなバイクにおいては膝でタンクを挟む“ニーグリップ”等、車体のホールドがしやすいような形状になっています。単なるガソリンの貯蔵庫ではなく、デザインにも走りにも関わってくるのが『バイクの燃料タンク』の特徴です。
ちなみにスクータータイプやNC750Xなどのように、燃料タンクの場所が一般的なスポーツバイクの位置と異なる場所に配置されている車両も存在します。
⑤マフラー(サイレンサー)
マフラー(サイレンサー)
エンジン内でガソリンと空気の混合気を爆発させ、その排気ガスを排出しているのが「マフラー」です。
マフラーの後端部分、写真のパーツは別名「サイレンサー」と呼ばれ、排気ガスの排出だけではなく、エンジンの爆発音を緩和させる“消音効果”や、排気ガスをクリーンにする“浄化装置”などの役割も担っています。
バイクの楽しみのひとつでもある排気音や、デザインにも関わるパーツにもなっています。
エキゾーストパイプ
マフラーの前半部分、エンジンから突き出たパイプ状のパーツは「エキゾーストパイプ(エキパイ)」と呼ばれ、エンジンとマフラーを繋ぐ細長い管が装着されています。
エキゾーストパイプは、サイレンサー部分に排気ガスを通すためだけのパイプではありません。実はエンジンのパワー特性を調整する役割も担っており、その長さや形状、連結方式などによって出力特性をコントロールしています。車両によってはエキゾーストパイプ内も排気ガスの浄化装置を組み込んでいる場合もあります。
⑥シート
ライダーやパッセンジャーが座るためのパーツが「シート」です。
車種やデザインによって様々なシート形状がありますが、CB400 Super Fourのようなライダーシートとタンデムシートが一体型になっている車種や、ライダーシートとタンデムシートが独立しているセパレートタイプのシートもあります。
バイクのシートは、ただ座るためのものではありません。
長時間座っていてもお尻が痛くなりにくいクッション性や、カーブを曲がっている時のライダーのホールド性など、様々な工夫が盛り込まれた高機能パーツとなっています。
CB400 Super Fourはメインキーでシートを取り外せるタイプになっていて、リアフェンダーにシートを脱着するためのキーシリンダーが備わっています。
シートを外すと、その下に書類入れや車載工具が備え付けられている場合が多いです。車種によっては小物入れやETC車載器などのスペースが設けられています。
⑦灯火器類
バイクの電装部品の中でもヘッドライト・テールライト・ウインカーは「灯火器類」と呼ばれ、一般公道を走るために装着される「保安部品」でもあります。
走行中に前方を明るく照らしたり、ライダーが右左折するための意思表示や、被視認性を高める重要なパーツになります。
ヘッドライト/ウインカー
昼夜問わず、走行中の前方を照らすだけではなく、そのバイクのデザインを決定付ける“顔”と言っても過言ではないのが「ヘッドライト」です。
ヘッドライトはロービーム、ハイビームが切り替えられるようになっており、シチュエーションに合わせて使い分けることができるようになっています。
左右にあるオレンジ色の球体が『ウインカー(方向指示器)』になっていて、右左折の際に点灯させて周囲に意思表示します。
ちなみに、バイクのヘッドライトは平成10年4月から「常時点灯が義務化」され、走行中に点灯していないと整備不良の罰則を受ける可能性もありますので、走行前にヘッドライトがしっかり灯いているか確認しましょう。
テールランプ
車体の後方に設置され、キーで電源をONにすると常に赤く光るのが「テールランプ」です。
テールランプはブレーキをかけることで更に濃く(明るく)点灯します。ブレーキをかけることで点灯する部分は「ストップ(ブレーキ)ランプ」と呼ばれ、通常はテールランプ内に組み込まれた一体型となります。
後方にいる後続車などにバイクとライダーの存在を知らせ、安全な走行をサポートしてくれる重要なパーツです。
いかがでしたか?
バイクの各部パーツは実用面での役割だけでなく、走るための機能やデザインを兼ねるものがほとんどなんです。そう考えると、安全性や実用面を満たしつつ、同時に『カッコいいデザイン』を生み出すのって、実は相当スゴいこと。バイクって『機能美の塊』なんですよ!
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】