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グロム 新旧比較試乗「新エンジン&改良されたフレームで走りはどう変わったのか?」

3代目 グロムの走りを従来型と比較

新開発エンジンを搭載するのみならず、フレームも改良が行われた3代目グロム。
実際「走り」はどのように変化しているのか? 従来型(2代目)と、ショートツーリングをしながら比較試乗を行った。

2021年3月に登場した新型=3代目グロム。5速ミッションを組み合わせた新エンジンを搭載、フレームも大幅な改良が行われた。

従来型=2代目グロム。2代目のデビューは2016年でエンジン、フレームは2013年登場の初代から継承(写真は2020年モデル)。

3代目グロムの特徴は、なんといっても従来型よりエンジンの加速が軽快で力強くなったことである。
従来型=2代目グロムの4速は各ギヤの守備範囲が広く、レスポンスは鷹揚で回転の上昇もやや重い印象だった。しかし、3代目グロムの5速ミッションは矢継ぎ早のシフトアップで鋭く加速し、同じコーナーを走っても脱出速度や立ち上がり加速は明らかに速い。
そのエンジン特性と軽量化、そしてサスペンションのセッティング変更によって、3代目グロムはハンドリングも軽快そのものだ。 足まわりの衝撃吸収性や収斂性も3代目グロムは優れており、ターンインからフルバンクまでの動きも実に素早い。ただし、直進安定性などハンドリングや車体の安定感という部分では従来型の方が落ち着いている感じだ。それらの違いを安心感と取るか、重さと取るかはライダー次第である。

3代目グロム

2代目グロム

ライディングポジションも3代目グロムはシート座面がフラットになって気楽な感じになったし、体重移動もスムーズだ。2代目グロムのシートは座面にくぼみがある形状で、これはこれで下半身の収まりは良かったのだが、前後の体重移動などを妨げる場合がある。
総じてそのフィーリングは、2代目グロムは落ち着いた昔ながらの「4ストミニ」、3代目グロムは全体の精度が向上したモダンな乗り味になっている。例えるなら2代目グロムが落ち着いた大型犬で、3代目グロムは機敏なネコ科。 2代目グロムのエンジン・車体は2013年登場の初代からキャリーオーバー、基本設計が8年も違うのだからこの違いは当然だ。

3代目グロムの足着き・ライディングポジション

こちらの写真は、身長170cm、体重59kgのライダーが跨ったときの様子。
シート高は761mmで、両足停車時では足の裏が全面接地。 ライディングポジションは、ハンドル幅が比較的開き気味なのとハンドルまで十分な距離があるため、「いかにも小さいバイクに乗っている」といったような窮屈感はナシ。

3代目グロムの改良点は、ビギナーライダーにもメリットあり!

さて、普通二輪免許を取得してから3年弱とまだまだ初心者で、身長も159cmという小柄なモーサイweb編集スタッフの女性ライダーにも意見を聞いてみた!

3代目グロム

2代目グロム

乗ってすぐに感じたのはライディングポジションの変化だという。
バイクを選ぶときは、真っ先にシート高と車重を見るという彼女いわく──。

「ハンドルの位置が高くなっているようで、3代目グロムはアップライトでリラックスした姿勢になっている気がします。あと、車両のサイズが小さいので2台とも足着きがいいのは当然と言えば当然なんですが、3代目グロムは乗車姿勢の自由度が高いだけでなく、シートが平坦なのでどこに座っても足着きが変わりません。コレはいいですね!」

長時間走行で疲れたときに着座位置を変えるライダーも少なくないだろうが、シートに傾斜があると足着きも変わってしまう。小柄なライダーにとっては、地味ながら困るポイントなのだという。
3代目グロムで一番の変更点とも言えるエンジンについては、乗る前にイメージしていたものとは違っていたそうだ。

「よくベテランライダーの方から『ロングストロークは低回転が強い』なんて話を聞くので、新しいエンジンの3代目グロムはゆったりトコトコ走るような感じを想像していたんです。でも、2代目グロムよりもキビキビとした加速! 以前自分が乗っていた125ccバイクは信号の発信で、ホントに遅ッ、って思うくらいだったのですが、それとはもう完全に別物で笑っちゃいました」

3代目グロムのシート。シート高は761mmで、フラットな形状。快適性の向上も図られている

2代目グロムのシート。シート高は760mmで、前席はくぼんだ形状となっている

3代目グロムの新エンジン。123ccの空冷単気筒OHC2バルブエンジンで、5速ミッションを組み合わせる。最高出力10ps/7250rpm、最大トルク1.1kgm/5500rpm

2代目グロムのエンジン。124ccの空冷単気筒OHC2バルブエンジンで、ミッションは4速。最高出力9.8ps/7000rpm、最大トルク1.1kgm/5250rpm

ハンドリングは3代目グロムの軽快感が気に入ったようだ。

「少し体を預けるだけでヒラヒラと曲がってくれるので、バイクを傾けて曲がるっていう楽しさが気軽に味わえて、ワインディングでは『自分、上手くなっちゃった!?』と盛大に勘違いするほどです。3代目グロムはより『操る楽しさ』を感じられるバイクだと思います」

つまり、ベテランが振り回しても、経験の少ない若手が走り回っても、3代目グロムはストレスなく楽しく操ることができるという点で意見は一致しているのだ。

それに、扱いやすさは疲労軽減にもつながる。

ちょっとした距離を走るツーリングを想定して試乗を行ったが、苦にならなかった。 最後に筆者の個人的感想。3代目グロムはどこでも軽快に走れて、ワインディングもそれなりのペースで走りを楽しめる(特にタイトコーナーは得意だ)。 3代目グロムにはHRCによるレースベース車があり、既にミニバイクレースで大活躍しているというが、その実力はノーマルでも十分に堪能できるのだ。

グロム 主要諸元

[エンジン・性能]種類:空冷4サイクル単気筒OHC2バルブ|ボア・ストローク:50.0mm×63.1mm|総排気量:123cc|最高出力:7.4kW<10ps>/7250rpm|最大トルク:11Nm<1.1kgm>/5500rpm|変速機:5段リターン
[寸法・重量] 全長:1760、全幅:720、全高:1015、ホイールベース:1200、シート高761(各mm)|タイヤサイズ:F120/70-12 R130/70-12|車両重量:102kg|燃料タンク容量:6L
[車体色] フォースシルバーメタリック、マットガンパウダーブラックメタリック
<道路運送車両法による型式認定申請書数値(一部、Honda公表諸元)>

グロム製品情報の詳細はこちら

 

【試乗レポート:関谷守正、写真:柴田直行/岡 拓、編集:上野茂岐】
*当記事は八重洲出版モーサイwebの内容を編集・再構成したものです。

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