街中から高速道路、そして高原道路のツーリング。ここまでの新型『CB1000F』の印象は、どちらかといえば「平和なバイク」でした。でもHondaの『CB』ですからね? ワインディングに持ち込んでみると……
MAX124馬力のリッターバイクとは思えない
聞きかじった話だけで専門的な予備知識はゼロ。そんな状態で乗り始めた新型『CB1000F』は乗る前の“レース的”なイメージと大きく違って、どんなシチュエーションでも乗り手を優しく包んでくれるようなキャラクターでした。
でも、個人的には『それで終わってもらっちゃ困る』というのが本音。だって新型『CB1000F』は次なるHonda「CB」のトップモデルですよ? やっぱりHondaのバイクだし、CBといえばスポーティさが真骨頂でしょう!? ワインディングに持ち込んだ途端に荒ぶる鬼神の貌を覗かせてくれるに違いない!
さぁ来いCB1000F……真の姿を見せてもらおうじゃないか。

スーパースポーツ由来の4気筒エンジンは最高出力124馬力。はっきり言うけど公道でそのパワーを全面開放することなんて無理です。それはわかっているけれど、秘めた実力の一端だけでも垣間見るべく、ライディングモードは一番スポーティな「SPORT」にセット!

ライディングモードの設定を表すメーター左上のライダーマークが、低く伏せた前傾姿勢になって疾走モードに変化します。というかこの「マークでライディングモードの状態を表示する」を考えた人のセンス良すぎ。なんだかちょっとほっこりしつつ、ヤル気がでる(笑)
新型CB1000Fが伏せろって言ってきてる!(気がする)
さぁ行くぜ!!!………って、あれえ?

みなぎるヤル気と共に走り出したけど、CB1000Fはひとつめのコーナーをヒョイッとクリア。続くコーナーも同じくヒョイっと。
いやそうじゃなくて!
もっとこう「ガッ!」と来る感じを覚悟していたんだけど……
タイヤもまだ温まっていない段階だというのに、低速から中速コーナーが入り乱れる峠道をスイスイ気楽に泳いでいく感じ。誤解しないで頂きたいのは、この時、ライダーの私(北岡)は心のライディングモードをちゃんと“SPORT”にセットしているということです。気合い入れて走ってるつもり、なのに!?

バイクがね、“スルーン”と曲がっちゃうんです。緊張感ゼロで。
気合い入れてバイクを深く寝かせて! とか、そういうド根性がまるで必要ありません。そんなに深くバイクを寝かせていないのに気が付いたらコーナー脱出状態。そこからアクセルを開けていくんだけど、その時も唐突さは皆無で普通に加速状態に移行できます。アクセルを開けたら開けたで「クッ」とリアタイヤが優しく路面を掴んだ感触が伝わってくるので安心できるし。
えっと……ぜんぜん「怖さ」が無いんだが。

新型CB1000F、おそらくですが「ものすごくバランスがいい」のだと思います。
ブレーキもコーナー進入でバイクを寝かせはじめる時も、コーナー脱出までの一連の何もかもがフラットにつながっていくイメージ。サーキットでコンマ1秒を削る目的ならもっとダイレクト感があったほうが良いタイムを出せるかもしれませんが、先の読めない一般公道のワインディングロードの場合は「幅広い適応力」のほうが重要になります。言い換えると、乗り味が「シビアすぎない」ことも大事になるんです。

フラットトルクなエンジンの扱いやすさ、コントロール性が抜群に際立つブレーキ、多少のギャップは気にしないで済む足まわりの柔軟性。安心感でまるごとライダーを護りつつ、気楽にコーナーを駆け抜けてしまう車体のディメンション。
CB1000Fって一般公道のワインディングを楽しむことにかなり意識を割いて設計がされているのかもしれません。
ぶっちゃけ言いますが大型バイク初心者の人が乗っても、CB1000Fなら「わぁ大型バイクって気持ちいいー!」って笑顔をキープしたまま走れると思う。バイクでスポーツすることを味わう程度のペースなら破綻する兆しなんてゼロだと言ってもいいくらいです。いやでも待てよ……

じゃあ、このバイクでコーナリングABSをフル活用してギリギリのバンク角まで追い込んで、トラクションコントロールに支えられながら走るペースってどういうレベルなんだ?
今回はCB1000Fと初対面なのでお互いに様子見をしつつですが、私としては親密度が増しても、そんな高みまで持っていける気がしません。そこはもうサーキットの領域になるだろうし。

ただ「底が知れない」という感じでもないんです。
公道でスポーティ感を楽しむ時にはライダーを全面的に優しく包んでくれて、実はしれっといいペースで走れちゃってる。
ひょっとしてCB1000Fって……ワインディング走行におけるベストバランスを追求したバイクなのでは!?
【文/北岡博樹(外部ライター)】


















