バイクの消耗品の中でも特に定期的な交換が必要になるのが、“バイクの血液”とも言われる「エンジンオイル」。
でも、自分の愛車にあったオイルの種類ってどうやって選べばいいのでしょうか?
今回は、Honda純正オイルの新ブラント「Pro Honda(プロホンダ)」の「SPORTS(スポーツ)」について解説します!
エンジンオイルをよりグレードの高いオイルに変えるメリットとは?

長年「ULTRA(ウルトラ)」シリーズとして親しまれてきたHonda二輪車用の純正オイルが、2025年4月より新ブランド「Pro Honda(プロホンダ)」として生まれ変わりました。
“ライダーと製品を力づける“というブランドコンセプトを表現し、ボトルパッケージのデザインも一新され、Honda二輪車のエンジン性能を最大限に引き出してくれる最適なバランスを目指してリニューアルされました。

Pro Hondaシリーズの「4サイクルエンジン用オイル」は「STANDARD(スタンダード)」「SPORTS(スポーツ)」「PREMIUM SPORTS(プレミアムスポーツ)」「RACING(レーシング)」のトランスミッション用オイルに加えて、CVT(連続無段階変速機)専用オイルの「SCOOTER(スクーター)」を加えた全5種類がラインアップされています。
バイクのエンジン性能やマシン性能にも違いがあるように、エンジンオイルにもその性能に相応しいオイルのグレードや規格を選ぶことで、エンジンのパフォーマンスを最大限発揮できるようになります。さらに燃費性能や走りの快適性能などにも影響しますから、愛車や走るシチュエーションなどに相応しいエンジンオイルを選びたいものです。
そこで一つ疑問になるのが「自分の愛車にはどのエンジンオイルを選ぶのがいいの?」ということでしょう。
自分のバイクに推奨されるエンジンオイルの種類は、Honda DreamやHonda二輪車正規取扱店に行けばスタッフの方がアドバイスしてくれますが、新車購入時に付属されている取扱説明書や、インターネットでいつでも確認できるHonda Motopubでも確認することができます。

取扱説明書には「エンジンオイルの選び方」についての項目が載っていますので、まずは自分の愛車に推奨されているエンジンオイルの種類を確認してみましょう。
ここでチェックしておきたいのが、❶の「推奨エンジンオイル」と、❷の「オイル規格」の2項目。
この項目にはその車種に推奨されるエンジンオイルの油成分やグレード、規格などが書かれていて、「この規格を満たしているオイルを選んでください」ということなんですが、❶の「推奨エンジンオイル」を選んでおけば、そのバイクに推奨されているオイル規格を全て満たしてくれています。
そして多くのHonda車は、Pro Hondaの4ストロークエンジンオイルの中でも幅広いバイクやシチュエーションにマッチする「STANDARD」が純正オイルとして指定されていますが、そのSTANDARDよりも更に上位グレードとなる「SPORTS」や「PREMIUM SPORTS」などを選ぶとマシン性能などはどう変わるのでしょうか?
そこで今回は、Pro Hondaの定番オイル「STANDARD」と、一つ上のグレードとなる「SPORTS」がどのように違うのかチェックしていましょう。
「STANDARD」と「SPORTS」ってどう違うの?

左:Pro Honda「SPORTS」メーカー希望小売価格(税込み)2,530円 、右:Pro Honda「STANDARD」メーカー希望小売価格(税込み)2,090円 ※1リットルあたり
Pro Hondaの「STANDARD」と「SPORTS」の違いをチェックしていくにあたり、まずはそれぞれのオイル規格やスペックを見てみましょう。
オイル粘度(SAE規格)
■Pro Honda「STANDARD」のSAE規格:「5W-30」
■Pro Honda「SPORTS」のSAE規格:「10W-40」
オイルの粘度(硬さ)や使用できる環境を示している「SAE規格」は、「Winter」の頭文字Wをはさんで、前半が低温時の粘度を表し、ハイフン後の数字で高温時の粘度を表しており、簡単に説明するとそのオイルが使用できる環境を示しています。
エンジン内部の環境は温度によって変化しますので、エンジンオイルは低温時でも高温時でもちょうどいい状態を保つ必要があります。
STANDARDの「5W-30」と、SPORTSの「10W-40」を比較すると、SPORTSの方がより“高温粘度向け”になっていて、一般的に高回転エンジンが採用されているスポーツバイク向けのオイルであることが分かります。
API規格 & JASO規格
■Pro Honda「STANDARD」のAPI規格:「SL」、JASO規格:「MA」
■Pro Honda「SPORTS」のAPI規格:「SL」、JASO規格:「MA」
エンジンオイルにはオイル品質を維持するために、そのオイルのグレードや規格の新しさを示す「API規格」と、そのオイルの摩擦特性を示す「JASO規格」の、主に2つの規格が示されています。
STANDARDとSPORTSのAPI規格とJASO規格は共に、二輪オイルの最上級グレードとなる「SL」と、最良規格となる「MA」の規格が採用されていますので安心です。
ベースオイル(油種)
■Pro Honda「STANDARD」のベースオイル:「部分化学合成油」
■Pro Honda「SPORTS」のベースオイル:「部分化学合成油」
オイルを製造する際の基礎となるベースオイル(油種)は、主に「化学合成油」「部分化学合成油」「鉱物油」の3つの種類に分類されますが、Pro HondaのSTANDARDとSPORTSのベースオイルは共に「部分化学合成油」が採用されています。
部分化学合成油は、鉱物油や高度水素分解油に化学合成油をブレンドして品質が高められているオイルです。

Pro Hondaの「STANDARD」と「SPORTS」のオイル規格は主にこれら3つの違いがありますが、スペック的な部分で大きく異なるのは、最初に紹介した「オイル粘度(SAE規格)」の部分が、STANDARDよりもSPORTSの方がより“高温粘度向け”になっていることがわかりました。
また、1リットルあたりの価格はSTANDARDが2,090円(税込)、SPORTSが2,530円(税込)で、1本あたり440円の差があります。
例えば、エンジンオイル量が3リットル必要な車種の場合は、STANDARDなら「2,090円×3本=6270円(作業工賃別)」、SPORTSなら「2,530円×3本=7590円(作業工賃別)」で、オイル代だけで言えば料金が1320円ほど変わってきます。
ご自身の愛車がSPORTSグレード指定の場合はもちろんのこと、走るシチュエーションや使用環境によってはSTANDARDグレード推奨のバイクでもSPORTSグレードへアップデートするのもエンジン性能をより高めてくれます。
スポーツ走行が好きな方や高温になる真夏シーズンは「SPORTS」にグレードアップするのもおすすめ!

Pro Hondaのエンジンオイルは定番クラスの「STANDARD」から愛車のマシン性能を最大限に発揮してくれる純正指定オイルではありますが、使用環境やエンジン性能にあったオイルグレードを選ぶことで、燃費性能や走りの快適性能などにも影響します。
STANDARD指定の車両でも高回転まで回してスポーツランを楽しむのが好きな方や、エンジンがより高温下での使用が多いサマーシーズンなどでは、より“高温粘度”まで対応してくれる「SPORTS」グレードを選んでみるというのもおすすめです。

他にもPro Hondaの4ストローク用エンジンオイルはSCOOTERを除くスポーツバイクに相応しいオイルグレードが「STANDARD」「SPORTS」「PREMIUM SPORTS」「RACING」の4種類から選ぶことができます。
自分の愛車や走り方に相応しいエンジンに迷ったらHonda DreamやHonda二輪社正規取扱店のスタッフさんに相談してみること、最適なオイルをアドバイスしてくれますので、ぜひお店で気軽に聞いてみてくださいね!
▶広報リリースはこちら
※ API(アメリカ石油協会)が定めた品質規格
※ SAE(米国自動車技術者協会)によるオイル粘度分類※ JASO(日本自動車規格)が定めたエンジンオイル規格
※ DOT(アメリカ交通省)が定めたブレーキフルード規格[アメリカ連邦自動車安全基準(FMVSS) ]
※車種ごとにJASO規格の指定があります。必ず取扱説明書やサービスマニュアルをご確認ください。
※価格はすべて1リットルあたりです。価格はメーカー希望小売価格(消費税10%込み)で参考価格です。販売価格は販売店が独自に定めております。
※価格には、交換工賃は含まれておりません。詳しくは販売店にお問い合わせください。
※Pro Hondaは本田技研工業株式会社の登録商標です。
【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】
 
		 
                                 
                     
                    


















