岡崎静夏プロフィール :全日本ロードレース選手権J-GP3クラスを戦う岡崎静夏が、気軽にスポーティ気分を味わえるミドルネイキッドを駆って真夏旅へ!!
フロントまわりの軽さも操縦しやすさに大きく貢献
猛暑が続いていても、やっぱりバイクに乗りたい……というわけで、今月はCB750 HORNETでプチツーリングしてきました!
このバイクは、アドベンチャー系のXL750 TRANSALP と同時開発されたスポーツネイキッドで、754cc水冷並列2気筒エンジンとスチール製フレームを共用。初代はʼ23年型で、スタイリング変更や装備充実化が施されたʼ25年型から、日本市場にも導入されています。
初ライドのCB750 HORNETで、まず気に入ったのはエンジン。とくに、低回転域からスロットルを開けていくところに楽しさがあります。低めの回転域でも十分にトルクフルだけど、リッタークラスほどの有り余るパワーではないため、扱いづらさは皆無。そこから開け続けて中回転域に達すると、今度は思いのほか力強いパルス感が湧いてきます。
近年はシュンシュンと軽く回るエンジンも多いと思いますが、それらとは違う、しっかりした鼓動でドドドッと進む力強い雰囲気。これが心地よく、高揚感にもつながります。
しかも、その回転域を下か上に外してあげれば、スムーズなフィーリングで走らせることも可能。全域でパルス感が強いと、もしかしたら疲れてしまうかもしれませんが、そんな心配は無用です。
ライディングモードは、プリセットとなるスタンダード/スポーツ/レインと、自分好みにカスタムできるユーザーの計4タイプが用意されていて、エンジン出力とトラコン介入度とエンブレ制御が連動して切り替わります。この中で心躍るのはやはりスポーツですが、レインを選択すれば、スポーツのようにグングンと引っ張る加速感ではなく後ろから優しく押してくれるフィーリングに変化。雨の日だけでなく、狭い市街地や路面状況が悪い峠道を走るようなときにも重宝すると思います。
シンプルだからこそ奥深く、飽きもない!
一方、車体でとくに長所だと感じたのは、フロントまわりの軽さ。旋回時に、フロントから車体が起きようとする嫌なフィーリングがなく、少しハンドルを切り気味にスッと寝かせると、機敏に動いてくれます。車重は192kgで私の体格からしたら軽いわけではないし、キャスターが立っているわけでもないですが、フロントタイヤを近くに感じながら自在に操れる感覚があります。
その扱いやすさは、普通に走っているときだけでなく、Uターンや極低速走行時も同じ。しかもエンジンは、適度なトルクで極低回転域でも扱いやすいので、旅先で出会った狭
い道にも臆することなく飛び込んでいけそうです。
エンジン関連の電子制御システムは要所を抑えてあるし、メーターもフルカラーでスマホ連携機能も備えているとはいえ、総合的に考えたら装備はベーシック。ゴージャスなサスペンションやブレーキなどが与えられているわけではないし、クイックシフターだって搭載されていません。でもだからこそ、“自分でバイクを操る楽しさ”が詰まっているのがCB750 HORNETの魅力。中上級者にとってはオーバースペックではないので、さらにポテンシャルを引き出したり意のままに操縦したりといったことにも挑戦しやすく、飽きずに長く乗れると思います。
スペックや使われているパーツで乗り味を想像していた段階では、正直なところこんなに楽しいバイクだと思っていなかったので、試乗してみてちょっと驚かされました。さらに価格を知ってビックリ。これは超バリュープライスだし、所有満足度はかなり高いと思います。
スロットルのオンオフでピッチングをつくり、エンジンのトルクと鼓動を感じつつ、スポーティにワインディングを駆けるようなシーンは、本当に心地いいですよ!
CB750 HORNET:SHIZUKAの評価
1)スタイリング:シャープな造形を引き立てる、シックな車体色も魅力。このカラーリングだからこそ、ちょっとヤンチャな顔つきとのバランスが取れています。
2)スポーツ性:扱いやすいエンジン特性とワクワクするパルス感で、スロットルをどんどん開けたくなる雰囲気。それでいてパワー感も公道にピッタリです!
3)ツーリング:ライディングモードが切り替えできるため、幅広いシチュエーションに対応しやすいし、スロットルを開ける楽しさがここでも活きてきます。
4)街乗り:スタンダードモードかレインモードを選択すれば、あまり気を遣わずかなり快適に走れます。車重を感じずスッと操れるところも魅力です。
5)コストパフォーマンス:いわゆるナナハンクラスで、この時代ということを考えたら、確かに装備はベーシックとはいえ安すぎ。満足度はかなり高いと思いますよ!!
SHIZUKAのお気に入りポイント
【低回転域から力強いエンジン】
公道走行で持て余すことも退屈することもない、ちょうどいい低回転域トルクと、中回転域で盛り上がるしっかりとした鼓動感が魅力。スロットルを開けていくのが快感に!
●まとめ:田宮 徹 ●写真:楠堂亜希
※当記事は(株)内外出版社ヤングマシン電子版掲載記事(2025年10月号)の内容を編集・再構成したものです。