アウトドアレジャーをメインとした趣味を楽しむことに特化した「カブ」シリーズの大人気モデル『CT125・ハンターカブ』は、不整地での走破性を高める本格装備が盛りだくさん。
兄弟モデル『スーパーカブ C125』とベースを共有しつつも、これは完全に別の乗り物⁉

遊びに特化！ 本格装備の『CT125・ハンターカブ』

Hondaのラインアップする「カブ」シリーズの中でも、アウトドアレジャーの用途に特化したモデルが『CT125・ハンターカブ』。

往年の『CT110』を想起させるスタイリングは『スーパーカブ C125』をベースに、市街地走行から郊外へのツーリング、林道でのトレッキングなど幅広いシーンに対応できるよう最適化。未舗装のフィールドにおいての走破性を高める装備が多く搭載され、外見からもタフな印象を感じられます。

不整地での運動能力を高めるためフロントサスペンションのストローク量が110mmと大きく、したがってシート高も800mmと「カブ」シリーズの中では最も高い設定。

車両重量も118kgとシリーズの中では重量級ですが、シリーズに共通する低重心と足の下ろしやすさでシート高の割に足つきは悪く感じません。そもそも、バイクとして考えれば重量120kg以下は十分軽い部類に入るでしょう。

『クロスカブ110』以上に広く、高く感じられるハンドルの位置は身体の自由度も高く、狙い通りと言うべきか、オフロードバイクに近い印象を受けます。

そして『スーパーカブ110』と『クロスカブ110』の関係と同じく、ベースを共有する『スーパーカブ C125』と『CT125・ハンターカブ』もエンジンフィーリングがかなり異なります。

『スーパーカブ C125』に比べ、瞬発力重視になっているのは110シリーズと同様ですが、125シリーズは最大トルク・最高出力の特性にも手が加えられています。『CT125・ハンターカブ』は『スーパーカブ C125』に比べ、最大トルク・最高出力共にほんの僅かに劣るものの、最大トルクは1,500回転・最高出力は1,250回転低い回転数で発生する低～中速域で力を発揮する設定です。

そのため明らかに低回転からトルクフル。エンジンはストップ＆ゴーが多い街中での発進で頼もしく、ダートでのピックアップの良さも非常に魅力的に感じました。

それでいて、123ccのエンジンは60km/hでも余裕があり、市街地の幹線道路でもゆとりある走行が可能。これならばツーリングシーンでのゆったりとしたクルージングも気持ちよく楽しむことができるでしょう。

そんな『CT125・ハンターカブ』の前輪は扁平率80の太めのセミブロックタイヤを装着。ワイヤースポークホイール、しなやかなサスペンションとの組み合わせにより、ハンドリングは原付二種「カブ」シリーズの中で最も穏やかな印象がありました。

加えてヘッドライトやそれに付随するパーツがフロントフォークにマウントされていることもあり、見た目よりどっしりとした操作感があります。

しかし様々なシチュエーションにおいて、フロントタイヤに安定感があるのはメリットが大きく、舗装路のコーナリングからダート走行まで安心して楽しむことができました。

ストロークの長いサスペンション、セミブロックタイヤ、ワイヤースポークホイールの他にも、不整地での走破性を高める装備としてアップタイプのマフラー、アンダーガードなどを標準装備。

最低地上高も165mmと高めに設定してあるので、林道トレッキングでもバイクの底面が地面と接触する心配は少ないでしょう。

これらの装備は機能面だけでなく、スタイリングにおいてもワイルドなイメージを印象付けるのに貢献しています。

また、実際にダート走行で便利だったのはシフトペダル。

「カブ」シリーズのシーソーペダルはシフトダウンの際、かかとで後ろ側のペダルを踏みこみますが、『CT125・ハンターカブ』だけはつま先でシフトダウンできるよう前ペダルが普通のバイクのような構造になっています。

おかげで、未舗装路を走る際の「スタンディングでのライディング」でも楽にシフト操作ができ、ダートでのライディングの魅力を高めてくれているように感じました。

『クロスカブ110』同様、『CT125・ハンターカブ』もフロントブレーキに2ポットのブレーキキャリパーを採用していますが、ブレーキの効き方はクロスカブよりも柔らかいタッチでコントローラブルな印象。

また、『CT125・ハンターカブ』はリアブレーキにもディスクブレーキを採用していて、荷物を多く積載している際やタンデム時でも安定した制動力を発揮します。

そんなシーンを選ばない走りに加え、レジャーでの楽しみに大きく貢献しているのが、大きなリアキャリア！

シリーズの中でも特に大きいこのキャリアのおかげで大きな荷物も安定して積載することができ、人それぞれのライフスタイル、幅広い趣味に応えてくれます。

このほか、スクエア型のLEDウィンカーをはじめ、各部の細かなパーツひとつひとつが『CT125・ハンターカブ』の特別感を演出。

カブシリーズらしく街中でも扱いやすい車体やエンジンですが、『CT125・ハンターカブ』の街から飛び出したくなる装備とデザインは、趣味を全力で楽しみたい方にうってつけ。

なので、どちらかと言えばシティーコミューターというより「趣味のバイク」という印象でした。そういう意味でも『CT125・ハンターカブ』は、他とは違う特別な1台なのかもしれませんね！

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【文：石神邦比古（外部ライター）】