霧島ももさんは、これまで色々なビッグバイクに乗り継いできました。
けれど、最初に買ったCBR400Rだけは手放さないのだと言います。
どんな魅力があるのか、長く乗り続けたオーナーの視線から語っていただくことにしました。
初めて乗った瞬間からバイクに夢中
霧島さんがバイクに乗り始めたのは大学時代でした。
しかし当初は、自分がバイクに乗ることになるとは思っていなかったと言います。
「車の免許を取る時、バイクとセットにすると料金が割安になるパックがあったので、勢いで免許を申し込んだんですけど、バイクに乗ることはまったく考えていませんでした」
そんな状況が一変したのは大学の二輪部を訪れた時。
先輩に後ろに乗せてもらって、その爽快感に驚くことになりました。
「ものすごく感動してしまって、それから自分のバイクが欲しいと思うようになりました」
バイクの知識は何もないまま、バイクの販売店を片っ端から見て回ることに。
「スーパースポーツに憧れていたからフルカウル付きのバイクであることが条件でした。でも真っ黒や真っ青のバイクばかりで、どれもピンとこなかったんですよ。そんな時にCBR400Rを見つけて『コレが欲しい』と思ったんです。一目惚れでした」
目に止まったのはホワイトにブルーのストライプが入ったCBR400Rでした。
納車した日に1,000kmのロングツーリング!?
CBR400Rをオーダーしたのは、当時住んでいた宮崎県ではなく、遠く離れた石川県金沢市のお店でした。
「金沢のバイクショップで働いている人とSNSを通じて知り合って、CBR400Rが欲しいというようなことを話していたら『じゃあウチのお店で買えば?』という話が出たので、そこで購入することにしてしまいました。向こうの人も驚いたと思います。まさか本当に宮崎の人が購入するなんて思っていなかったでしょうから」
納車の日、霧島さんは宮崎から金沢までバイクを取りに行きます。
もちろんそこからは自走。
いきなり宮崎まで、1,000kmのロングツーリングとなりました。
「免許を取ってから初めての公道でした。そして初めてのバイクで初めての高速道路。何も知らないからバイクをナメていたんですよね(笑)」
新車で慣らし運転が必要なため、5,000回転以上回さないように気をつけて長い旅に出発します。
この日はあいにくの雨。
けれど、この時の霧島さんは、雨のことなどまったく苦にならなかったと言います。
初めて走るバイクの楽しさに夢中になっていたからです。
「風とか匂いとかダイレクトに感じられるじゃないですか。車で窓を開けて走るのとは全然違う。楽しすぎて「なにコレ!」ってずっと叫びながら走っていました」
金沢から関西までは、初めてバイクで走る感動でハイテンション。
でも1,000kmは、ベテランでも一気に走るのは大変な距離です。
バイクに慣れていないこともあって、さすがに後半は疲れてきました。
「筋肉痛になりました。ずっと走っていたからお尻も痛くなるし、後半は辛かったですね」
もちろん、そんなことでバイクが嫌いになるはずもありません。
宮崎に戻ってからは、バイクにどっぷりと浸かった日々を過ごすことになるのです。
海岸線をバイクで1人走るのが毎日の日課
「ドハマリしました(笑) 朝イチの授業がない時は、朝から海岸沿いを走ってから学校に行って、授業が終わったらまた走りに行くという感じで、1日2回は走っていました。雨でも乗っていたんですよ。でも、マンホールの蓋で滑って怖い思いをしてから雨は走らなくなりました」
最初は公道でどんな乗り方をすれば良いかわからないこともありました。
「教習所ではスピードもそれほど出ないので、低めのギアしか使わないじゃないですか。何キロで走っていたら、何速に入れるのが良いのか悩んだりしました」
教えてくれる先輩や友人が近くにいなかった霧島さんは、マニュアルを読んで考えたり、実際に走りながら一つずつ解決していきます。
この頃の霧島さんにとっては、学びながらライディングスキルを磨いていくこともまた喜びになったのです。
走る時は基本的に1人でした。
「速い人達と一緒に走るテクニックもなかったし、山道のキツいコーナーとかUターンが怖かったんです。それよりも1人で海沿いの気持ちの良い道をトコトコ走るのが好きでした。ツーリングにも行きましたよ。九州にいたので熊本や別府、鹿児島は行きましたし、神戸の実家に帰るときもバイクでした」
ノーマルの雰囲気を大事にしたドレスアップ
霧島さんのCBR400Rは、モリワキ製のマフラーに交換されています。
「ノーマルのマフラーは少しボッテリして見えたので、交換したいなと思っていた時にお店の方から『こんなカスタムもありますよ』とモリワキのマフラーのことを教えていただいたので、納車する時に交換してもらいました。デザインも良いし、適度な音質と音量なので気に入っています」
ホワイトとブルーのコンストラストをもう少し際立たせたいと考えてミラーやレバーなど、ブルーのパーツを見つけて交換。
カウルにさりげなく貼られたウサギのステッカーは、四国のうさぎ島に行った時の思い出。
イルカと柴犬のステッカーは友達がハンドカットしてくれたものです。
何があってもCBR400Rだけは絶対に手放さない
その後、霧島さんはリッタークラスのスーパースポーツなどにも乗るようになり、何台かのバイクを乗り継ぎます。
けれど、どんなときもCBR400Rだけは手放そうと考えませんでした。
初めてのバイクだから愛着があることに加え、あるゆる点でCBR400Rが気に入っていたからです。
「そんなに上手なわけじゃないから、リッターバイクだと公道で使い切れないんです。CBR400Rは、ビッグバイクに比べたら加速もそんなに凄いわけじゃないし軽いから乗り換えた瞬間は『原付きみたいだな』って思います。でもこの軽さがいいんです。ビッグバイクみたいに『どっこいしょ』みたいな感じにならないで、凄くヒラヒラと曲がってくれるバイクです。ポジションも前傾がキツくないから長距離を走っても疲れません」
色々なビッグバイクに乗って、故障も経験するようになると、CBR400Rの信頼性の高さにも気付かされることになりました。
「手がかからなくて、とっても良い子なんですよ(笑)。 優秀でまだどこも壊れたことがありません。走りやすいし。これからもずっと手元に置いておきます」
自分と同じように、初めてバイクを買う人にもCBR400Rをオススメしたいと霧島さんは言います。
「CBR250RRも初心者に良いと思います。でも400も同じくらい乗りやすいし、何よりも低回転から力があるので、その点では250より乗りやすいんです。ビッグバイクと一緒に走っても、まったく不足のないパワーもあります。峠なんてCBR400Rの方がビッグバイクより走りやすいし。総合的に考えたら、CBR400Rはこれからバイクに乗る人にとても良いバイクだと思いますよ」
シックなライディングウエアで大人カジュアルを追求
霧島さんは、最近バイクに乗るウエアの趣向が変わってきたと言います。
バイクに乗りだしてからしばらくは、ロゴの大きく入ったジャケットを着ていましたが、最近着ているのはWのレザージャケット。
「最近やっと大人の渋み、みたいなものがわかってきたんです(笑)。普通のバイクウエアよりもカジュアルで良いものがないかなあと考えていたら『革ジャンが良いよ』って教えてもらいました。7万円もしたから買う時は緊張しました。私にとっては簡単に出せる金額じゃなかったので。でも長く着れるなら良いかなと思いきって買うことにしました。最初は革が硬かったけど、最近やっと馴染んできた感じです」
自由と発見に溢れたバイクライフ
仕事の関係で愛知に住むようになった今も、霧島さん1人で走ることが多いのだそうです。
「ライダーの集まるスポットにあまり出かけていかないので、バイクに乗る知り合いがあまり増えないんですよね」
それは霧島さんが、今でも自分だけのバイクの楽しみ方をしているからかもしれません。
「名前もないような、クネクネした道を探して『ここ良さそう』と思ったら行ってみるんです。実際に行ってみたら『メッチャキレイじゃん!』みたいな感じになると嬉しくなります」
霧島さんのバイクの楽しみ方はとても自由。
そして小さな発見を大きな喜びに変えていくことができるから、バイクに乗る楽しさは大きくなっていく一方です。
そんなバイクライフができているのは、信頼性が高く、どんなときも思ったように走ってくれるCBR400Rが身近にあるからかもしれません。
【文/後藤武(外部ライター)】