旅先で「ちょっとバイクを停めたいな」って思った時、そこが斜面だったら要注意。うかつに停めると大変なことになっちゃうかも?
駐車する場所が『常に平坦』なんてことはありえない
バイクでツーリングに出掛けるとと、道すがらに偶然、素敵なスポットを発見して、ちょっとバイクを停めてみたくなることがよくあります。
でもそういう時、あるいはそういう場所に『駐車しやすい平坦で広い場所』が常にあるとは限りません・・・
そして、斜面にバイクを停める時は、いくつかのことに注意しないと、後々苦労したり、大事な愛車を傷つけてしまうことがあるんです。
それはバイクを乗る中で、経験として自然に身についていくものですが、うっかりバイクを倒してしまったりしないように『知識』は事前に持っておきたいところ。
そこで今回は『坂道でのバイク駐車のコツ』にフォーカスします。
サイドスタンドを掛けた状態での『バイクの角度』に要注意!
まず気をつけたいのが、サイドスタンドを掛けた時に『バイクが直立気味になる』ような駐車はできるだけ避けましょう。
上の写真のような状態になっているバイクは非常に不安定。それこそ強い風が吹いただけで、サイドスタンドの逆側にバイクが倒れてしまうことがあります。
風くらいでバイクは倒れないと思うかもしれませんが、自然のチカラはあなどってはいけません。車体が直立に近づくほどリスクが大きくなるのでご注意ください。
しかもこういった状態だと、跨ったり、サイドスタンドを払うのもひと苦労。斜面の下側(写真の場合ライダーの右足)に着こうとする足がなかなか地面に届かないんです。
CB250Rのシート高は795mm。車両重量は144kg。身長が176cmの私(北岡)の場合、CB250Rは平坦な場所では足つき性も余裕だし、取り回しも軽々行えるのですが、写真のようなシチュエーションになると一気に緊張します。可能なかぎり避けたい駐車方法です。
じゃあ、その逆なら大丈夫か?っていうと、そこも注意。
上の写真のように、サイドスタンドを掛けた時に『あまりにもバイクが寝た状態になる』のも危険なんです。
この写真の状態だとライダーが手を離した瞬間に『サイドスタンドを乗り越えて』バイクがライダー側に倒れてくる危険性があります。
上り坂・下り坂でも状況が変わるので一概には言えませんが、今回の場合はリアタイヤが浮き上がって、車体がサイドスタンドを乗り越え、倒れようとしました。
斜面に駐車する際、サイドスタンド掛けた状態で『バイクが直立しすぎ』もしくは『バイクが寝すぎ』の状態は避けるようにしてください。
解決方法としては、できるだけ『水平に近い場所』を探して駐車するしかありません。
平坦な場所でバイクを駐車している状態に、なるべく近いのが理想。ライダーの体感としては『なるべく均等に左右の足が着く場所』を探すことがひとつの目安になると思ってください。
足つき性が状況によって変化する?
そして、サイドスタンドを良い塩梅に掛けられる場所を見つける他に、注意したいのが足つき性。
上り坂・下り坂では平坦な場所に比べて足つき性が変化、と言うか、だいたいにおいて『悪化』します。バイク初心者の人でしたら、教習所の坂道発進で足つき性に不安を覚えた記憶があるかもしれません。
なので坂道に停車する場合は、ゆっくり減速していって『ちゃんと足が着くかどうか』を探りながら、じんわり停車するように意識するとアクシデントを未然に防ぐことができると思います。
『あ、ちょっと怖いかも』と感じたら、その場所に停めることを諦め、再び走り出して安定感を回復する。その『判断力』も重要です。
不安定な状態では『ギア1速』の駐車が鉄則
そして、これらのシチュエーションすべてに共通して重要なのが『必ずギアを1速に入れておく』ということ。
ギアを1速にしておくと後輪が簡単には回らなくなるので、サイドスタンドの掛かりが甘かったり、急な下り坂の駐車でサイドスタンドが外れてしまうといった不測の事態を防ぐことができる可能性が高まります。
最新のバイクはサイドスタンドが掛かった状態だとエンジンが掛からない仕様になっていたり、ギアがニュートラル以外だと、クラッチを握っていない限りセルモーターが回らないようになっているなど、安全面が強化されているので『いつでもどこでも(平坦な場所でも)駐車の時はギア1速』というライダーも実はけっこう多かったりするんですよ?
時には『諦める勇気』も必要です!
偶然見つけた素敵なスポットでちょっと写真を撮りたい! など、クルマに比べて駐車スペースを大きく必要としないバイクの場合は、ちょっとした『寄り道』も醍醐味のひとつ。
だけど、それらはすべて『安全・確実にバイクを停める場所』が確保できる場合に限ります。
無理して駐車しようとして、立ちゴケしたり、バイクを傷つけてしまったら本末転倒ですから。
時には『諦める勇気』を持つこともバイク乗りには必要です。
愛車と共に過ごす時間をより充実したものに、ちょっと参考にしてみてくださいね!
【文/北岡博樹(外部ライター)】