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安全に楽しく学ぶ!「高校生のためのバイク講習カリキュラム」は大人も学ぶべきことがいっぱいでした【高校生の自動二輪等の安全講習会レポート<実技 後編>】【Safety】

高校生のバイクを抑止する「三ない運動」という言葉があまり聞かれなくなってきましたが、現在では実際のところどうなっているのでしょうか? 埼玉県の教育委員会が主催している「高校生の自動二輪車等交通安全講習」で行われた<実技 後編>をご紹介します。

<開催概要>令和3年度 高校生の自動二輪車等交通安全講習(埼玉南部) 日時:2021年7月26日 会場:レインボーモータースクール和光(埼玉県和光市) 主催:埼玉県教育委員会 共催:一般社団法人 埼玉県指定自動車講習所協会 後援:埼玉県警察本部/一般財団法人 埼玉県交通安全協会/埼玉県二輪車普及安全協会/埼玉県高等学校安全教育研究会/埼玉県交通安全対策協議会/ホンダモーターサイクルジャパン

<前編からの続きです>

埼玉県警の現役白バイ隊員から教わる「6つ」の安全走行カリキュラム

前編でお伝えしたとおりですが、実技講習で行われたカリキュラムは「一本橋」「Uターン」「千鳥走行」「パイロンスラローム」「急制動」「コーナリング」の6つ。

後編ではそれらを細かくお伝えしたいと思います。

高校生向けの安全講習ですけど、大人のライダーにも役立つことがいっぱいでした!

【一本橋】

30メートルほどの1本橋を、できるだけゆっくり落ちずに安定して走る「一本橋」に挑戦します。

高校生はスクーターの参加者も多いので、ニーグリップできないスクーターでも指導。

納得するまで何回でもチャレンジが可能。タイムも計測してくれ、好成績の生徒には記念品などが贈呈されます。

普段からスクーター通勤している生徒も多く、意外なほど皆さん上手に渡っていました。

【Uターン】

続いては「Uターン」の練習。

大きなバイクに乗る参加者にとっては最も気を使う練習かもしれません。

コンパクトに回るためには、曲がりたい方向へ首ごと目線をしっかり持っていきます。

上半身にチカラが入らないようにニーグリップし、リアブレーキを使いながら速度とハンドルを調整。

立ちゴケや握りゴケも多く、苦手な人が多い「Uターン」をしっかり練習しました。

【千鳥走行】

マスツーリングなどで使われる「千鳥走行」と言う言葉ですが、このカリキュラムでは等間隔に並べられたパイロンの間をゆっくり上手に通り抜ける講習。

Uターンよりも極低速で侵入し、パイロンを抜けて曲がる練習です。

この千鳥走行も、やはり大事なのは「目線」と「上半身のリラックス」そして「リアブレーキの使い方」です。

車種によってはこれも難しいカリキュラムだったかもしれませんが、皆さん真剣に取り組んでいました。

【パイロンスラローム】

そして、お馴染みの「パイロンスラローム」です。

50メートルほどの長さに等間隔に置かれたパイロンを左右交互にクリアしていきます。

パイロンを避けて走るという意味では、千鳥走行と似ていますが、大きく違うのは「速度域」と「アクセルワーク」。

できるだけリズミカルに、素早くパイロンをかわしながら走る練習です。

最初はギクシャクしていても、後半は皆さんスムーズに走れるように上達していました。

【急制動(ブレーキング)】

続いては、教習所でもお馴染みの強いブレーキによる「急制動」。

100メートル先からスタートし、速度は30km/hまで出して、パイロンの手前でブレーキング!

「しっかりとした目線になっていたか」「ブレーキング操作が遅すぎないか」などを指導員がチェックしてくれます。

最近のバイクはABSが搭載されているので、その感触も確かめていました。

【コーナリング】

実技カリキュラムの最後は「コーナリング」講習です。

このコーナリング講習は、いわゆるライテク的なコーナリング走法を教えるのではなく、スピード域での“コーナリング感覚”の違いを身につけるためのもの。

コーナーの侵入速度が「25km/h」の時と「30km/h」の時の「わずか5km/h」の差で、コーナー曲線がどれだけ違ってくるかを体感します。

まず、白バイ隊員がノーブレーキでコーナーに侵入→「25km/h」でのコーナリングがこちら。

注目したいのは、路面中央にある「白い点線」。ここをはみ出さないようにコーナリングすること。

続いてノーブレーキで「30km/h」でのコーナリング。

驚いたことに、バイクの運転に慣れている白バイ隊員でも点線からはみ出してしまいました。

わずか「5km/h」の違いでここまで変わってくるのですね。

以上の6つの実技講習を踏まえて、時間の許す限りトレーニングを繰り返しました。

普段バイク通勤している生徒も多く、バイクの運転慣れをしていることを考慮しても、皆さんどんどん上達していくのが見ていてわかるほどで、見ていてすこし羨ましくなったくらいです。

それに、こういう機会があれば、若いライダーたちも正しく育っていってくれるはず。

安易に高校生のバイクを禁止するのではなく、導いていく。

こういった動き、もっともっと広がっていくといいですね!

【文:岩瀬孝昌(外部ライター)】

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